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第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー17話

2022-10-23 12:51:45 | 第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー


「ボボボッボボッボー ボボボッボボッボー ボンボンボン」
特攻服姿にマスクの暴走族のバイクが一台が駐輪場に入ってきました。
「何、面白いことしてるのかなー、直也ーっ!」
そこに表れたのは、暴走族の特攻隊長の宇治木大地(うじきたいち)です。大地は中学に入ったものの3ヵ月で学校へは全く来なくなった。九人家族、両親がいて、この家族の長男、直也とは物心ついた頃からの友達だった。友達というよりは古い言葉ですが「竹馬の友」といってもいいくらいでしょう。幼い頃から良く遊び喧嘩も良くしました。町内対抗のソフトボール大会では補欠ではあったがデッドボールがあると、まず一番先にピッチャーに向かって殴りに行くのが大地です。切れやすい性格というべきか。楽しんでいたようにも思えます。中学校へ入ったが自分の居場所がなくて中学に入るのと同時に暴走族に入ってしまったのです。家庭環境は、それほど悪いわけではなかったが大地は自分の居場所を探し、その場所が「暴走族」でした。先輩たちの中にも暴走族へ身をおいているものもいるが暴走族内でも大地はひときわ目立つ存在で暴走族の先輩でも手が出せない存在でありました。警察でも暴走族の大地のことは、いかに逮捕すべきか話しの種となっていたほどです。
「直也、手伝おうか、三対一はひどいだろう、なぁ先輩よ」
先輩たちは、大地の顔を知らなかったが大地は自分の名前を言います。
「オレの名前は、宇治木大地じゃ、先輩達よ、わかってるよな、知らねぇとは言わせねぇぞ、びびってんのはおめぇらだろがー」
この一言で、やばいと感じた先輩たちは次に会ったときのことを考えながら身を引く形になり駐輪場から去っていきます。
「宇治木」といったら誰もが知る暴走族の特攻野郎です。狂ってるやつとも言われ大地のやることには誰も声をかけることも止めることもありませんでした。
大地は先輩たちにドスの聞いた声で言います。
「また、来いや、いつでもあってやるぜ!あれっ行っちゃったよ逃げ足はえー」
「大地よ、助かったよありがとうな、お前中学には戻ってこれねぇのか?ちくしょう、皮むけた」
直也は拳の皮を見ながら、さりげなく大地に声をかけます。
大地は直也をバイクの後ろに乗せ、しばらくの間、爆音を上げて走りました。
いつも、たまり場だった、公園をまわると直也の仲間たちが驚いた顔をしています。
「あれ、宇治木と直也じゃねぇのー」
「おーい!無視かよ!」
大地は直也の仲間たちは無視です直也も面白くなってきて爆音と共に河川敷まで走ります。河川敷につくと直也と大地の2人はバイクを降りて2人で利根川を見ながら話をしました。
「何で、お前あの場所に来たの?」と直也は大地に聞きます。
「暴走の通り道、良くあの道は通るんだよ、それに今回のことで、お前にも、はくがつくだろ、偶然だと思うよ」
大地は直也に偶然と答えます。実際は先輩らがあの時間帯よく見かけ直也を狙っていたのを知っていたのですが、そのことを直也に話すことはありませんでした。
2人で芝の上で横になって空を見上げながら話をしました。直也は大地に幼かった頃の話やボクシングジムでのことなどを殆ど全てを話します。直也の話を黙って聞く大地です。
「やっぱりな、やっぱよ、お前は違うよ。オレは悪で名前が通ってるが、お前は、悪(わる)じゃないや。何気にお前の話し聞いてるよ」
「何で、オレのことお前が知ってるの?」
「悪(わる)の仲間でな、大島直也の名前が何度か聞いてるよ。お前さ、いっぱい敵がいるのにどうして平気なの?」
「誰にでも敵はいるさ。オレにもな、でもツッパルつもりもねぇし、オレはかわれねぇ。オレが変わったら仲間たちが可愛そうでな」
「なにが仲間だ嘘つくな。水泳やってもチャレンジ、ボクシングやるのもチャレンジ、それは何のためか、いや誰のためなんだろうな直也」
「オレのことわかるんかい?だいぶ会ってないのによ」
「あぁ、わかってるよ。お前ボクサーだったな。拳(こぶし)で喧嘩するんじゃねぇよ、捕まるぞ」
「バーカ!プロなら!だろうがよ、オレはアマチュアだ」
「同じことだよ、お前の試合見たとき思ったよ。お前とは殴り合いはしたくないね」
「お前・・・?」
「だから言ってんだろ!知ってるってよ。お前の試合見たから悪にはなれないし、まっすぐ生きてく野郎だよ」
「えっ!」
「お前には、きっとこれからもっと仲間が寄ってくるだろうよ、その仲間たちに教えてやれよ、苦しい気持ちから立ち直る方法をよ」
「オレの苦しみ?」
「ごまかすなよ!お前は悪(わる)の標的(まと)にもなってるのになんで助かってるんだ?オレに感謝しろ!これわかるか」
大地は久美子からもらったドリームキャッチャーを直也に見せます。直也は何故それを見せたのかわかりませんが大地は直也と久美子のことを良く知っていたのです。大地が直也に見せたものは久美子が大地に渡したものでした。
「お守り?」
それから大地は直也の大切な人だからと家まで渡しに来たといいます。久美子は直也を守って欲しいといいながら涙を流していたことを直也は大地から聞かされます。
「当たり前のこと、言いにきてよ、死んじまったなー。だから誰かがお前を守らなきゃならねぇって思ってよ」
大地は直也に言いますが直也には言葉がなく久美子と遊んだ日々を思い出していました。もちろん大地も一緒だった日のことも久美子は町内対抗ソフトボール大会の女子応援団だったのです。
「直也!オレら、生きてる世界違うけど、友達だよな」
「バーカ!あったりめぇじゃねぇか」
大地の生きる世界は、この先どん詰まり、いずれは少年院に入ることを覚悟していたのです。
「直也は、オレみてぇになってほしくねぇんだ、お前は、オレの唯一の誇りだからよ」
「おまえ・・・」
「いいんだよ、オレに歩く道ってそんなもんだから、覚悟しなきゃ生きていけねぇんだよ」
大地は暴走族の中に自分の居場所を見つけていた、そして覚悟もしていたのです。
「下手な喧嘩なんかするなよ。別の喧嘩の仕方もあるからな。お前はオレとは違う」
大地の言葉は直也の生き方の道筋のような感じを受ける直也でした。ある貼り紙から試合のことを知った宇治木大地が見たボクシングの試合をする直也の試合とはアマチュアボクシングトーナメントでは16人のアマチュアボクサーがトーナメント式で戦うものでありました。格闘技の世界には準優勝はなくチャンピオンを目指していくものであるのです。このトーナメントでは勝負に勝ち続けると4回戦になります。まずリングの上に16人が15分ほど軽く練習をし身体をあた為その後、順番通りに3ラウンドの試合をしていきます。直也は1回戦、2回戦と順調に勝ち抜きました。3回戦からは体力の衰えで厳しい戦いとなっていましたが勝利をものにします。次の四回戦で勝利をするとアマチュアチャンピオン、そしてプロテストへの切符が与えられます。直也の顔は一部腫れ上がっています。右目がほとんど見えないほどでした。最終決戦まで直也は真っすぐとチャンプへ向かいはじめます。苦しい戦いの末、直也はアマチュアチャンピオンの座を手に入れたのです。直也の戦いは相手を倒そうとするものではなく、あれほど苦しんでいた自分の感情を出さず最後まで戦い抜いたのです。その直也の姿を見ていた由子と大地や他のサポーターなども直也がチャンプになった時おそらく直也のような新人が優勝チャンピオンに成るとは思っていなかったのでしょう。リングの周囲は静かになりますが拍手とお祝いの言葉などが飛び交いました。直也は自分では気づきませんがプロ級の戦いを見せ感動というものを与えていたのです。
そして・・・試合終了後。
由子の涙を流す意味とは。特攻隊長の大地が涙をこらえた意味とは。


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