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第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー53話

2023-05-31 10:31:16 | 第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー


直也は紀華の姉が働く喫茶店で出会った時の事を思い出していました。最初に直也が紀華を見かけた姿は会話もなく存在感のない紀華でした。直也達は紀華の後ろを通り仲間達と話をしながら大声で笑ったり色々と馬鹿な話をしていた。姉の恵美が直也の事を教えると紀華は直也の行動に興味を持ったようだった。姉の話に最初の印象はあまり良くなかったが噂や伝説の話の学生として目立ってるのが気に入らなかったらしい。施設で育った人見知りの紀華の性格はいつも冷静で笑顔を見せず存在感を消し静かに人間模様を見ていただけであったのです。直也は笑顔でも眼が笑う事はなく仲間達の話を静かに聞いていただけでした。最初の印象は本当の姿をみせない暴力的な直也に紀華はイライラしていたのでしょう。公園でのチンピラ達の事や屋上での出来事で直也は紀華に会いにいき顔についた血を拭いた時から紀華が直也を見る目が変わっていきます。直也は本当の姿を見せた事で紀華には望む存在である事に気がつき直也に興味を抱き始めていました。何故あの時に紀華に会いに行ったのか直也自身わからなかった。ただ求めるまま思うがままに行動をとっていた直也でした。紀華は言葉は嘘もつけるが行動は嘘をつかないと思って生きてきたのです。あの時の行動が紀華にとって直也は素顔であったのでしょう。直也にとっても心が許せる相手になっていたのかもしれません。紀華の一言で直也は崎山源一という問題児と話し合い解決する事が出来たのです。いつかは直也は崎山源一と何かしらの関係を持つ事になると思っていたのですがタイミングで紀華は直也の背中を押したのだと思います。私鉄電車では途中で30分待ちの国鉄電車に乗り換え約3時間、電車に揺られなが直也の実家に向かいます。乗り換えの駅までは2時間で疲れたのか直也と紀華は寄り添いながら眠りにつきます。2人にとって互いに違う悪夢をみる事もなくただ眠りについていました。乗り換えの駅は最終です。駅員に肩を軽く揺すられ直也と紀華は起こされました。り換えの時ホームで電車を待つ間に紀華は直也に声をかけています。
「どうして、私を実家まで連れて行くの?」
「愛や幸せというものがどんなものなのか教えてもらいたいんだ」
「愛とか幸せとか言われても知らないよ知ってるのは孤独であることだけ」
「だからだよ俺も孤独に生きてるけど距離と時間をかけた事で何かを見つけるが出来るかもしれない」「孤独だから?」「そうだ春樹の話は知ってるよな春樹の部屋にいるのは俺なんだ春樹の日記を読んだ時涙が止まらなくなった時がある孤独だったでも両親の気持ちを考えると何故か愛と幸せを感じる時がある。日記にそう書いてあった、その意味を俺の両親ではどうなのか教えてくれて紀華も孤独だったのなら、きっと何か見つかると思う」「孤独だからこそ、愛や幸せを感じる?」「慣れ合いは、しょせん群れをなして強くなるが一人一人は強くなれないだろ俺達は強くなれると思うよ」
紀華の孤独と直也の孤独は似てはいるが紀華には憎しみを感じていて直也の孤独には悲しみを感じていました。
「俺は、お前となら、もっともっと強くなれる感じがする」
直也の言葉で紀華には心が安らぎ救われていくようになり直也の事しか見えなくなっていきます。紀華は直也に教わった笑顔を見せ直也の顔を見つめています。駅ホームの放送があり、国鉄の電車が近づいてきました。近づいてくる電車を見ながら直也と紀華は2人の関係の事を考えています。電車に揺られ約30分で目的の駅につき実家へは歩いて15分。手が触れ合うと2人は手を握りしめ歩いていました。直也は久しぶりの風景を見ながら紀華は初めての風景を見ながら会話はなく実家へ向かい2人は手を握りしめるだけで良かった。直也は店から入らず路地にある玄関から入り直也の本当の父親が経営する骨董店に顔を出し両親を驚かします。
「元気だった?久しぶりに戻ってみた、裏の縁側にいるから」
直也は裏の縁側で久美子の事から紀華に全て話をしていたが日がくれ店も暇になると母が縁側に来て驚いていました。
「まぁ直也ったら早く言えばいいのにね一人でいたのかと思ったわ」
そんな時に直也の実の弟の直継が中学から帰ってきて軽く声をかけると軽く挨拶を交わしました。直也と紀華は店内へ呼ばれ少しすると弟の直継も現れ店には直也の両親と弟と紀華だけが客席で食事を始めます。紀華は初めて会う家族の前では笑顔を見せる事は出来なかった。でもいつもの通り直也が人差し指で紀華の頬を軽く突きます。直也は紀華の顔を見ながら笑っています。恥ずかしそうに紀華は笑顔を見せると会話が始まりました。直也はまず両親へ紀華が施設で育った事を話し紀華は自分の境遇を話します。直也の実の両親は理解する事が出来て、おかずの料理の種類を多く出してきてくれました。弟は中学時代の直也の姿を話し兄直也の存在の大きさ噂によって困るような事も包み隠さず話を紀華にするのです。紀華は直也の家族関係に包み込まれるような暖かさを感じていたようです。これまで氷のうように冷たい心が溶けていくかのように何を話していても笑顔が絶えずお互いの意見を言い合います。父親はそれほど話をする事はなかった。その父の笑顔を見る紀華は直也と春樹の笑顔とそっくりな事に気がつきます。
「これが家族なの?」紀華は冷たい心に暖かいものが流れ込み何かに包まれているような気分を感じていました。直也の部屋は、そのまま残されていて16畳の部屋でした。そこに2つの布団を敷いてくれる母でした。しばらく直也と紀華は母と話し合います。母の心配する事は中学でも高校でも直也の行動に問題があるのか他人に迷惑をかけてはいないかという事でした。母は紀華に高校での話を聞くと安心した様子で噂の話などはしません。紀華は主に仲間の話しや紀華との関わりばかりを話しています。もちろん最初の印象は最悪であった事もです。直也は話しに加わる事なく何を考える事なく中庭の風景を見つめていました。直也の両親は自由に何でも自分でやらせ困った時だけ相談にのり解決策に導くといった教育方針であったようです。紀華は母親の教育方針を聞くと良く理解ができ親ありこの子ありなんだと思ったのです。両親へ伝えてはいない、直也の姿は教育方針と両親の思いから作られたものだったのかもしれないと紀華は思います。紀華は孤独だったけれど直也の両親と話ができた事で特別なものを感じるようになるのです。暖かいものに包まれながらも孤独で自由で直也は紀華を同じように包み込んでいてくれた事を強く感じていきます。次の日は直也の育った街を歩き紀華と一緒にバイパス下の以前は遮断機のない踏み切りであった場所へ行きます。
「ここからはじまったんだね直也の孤独感は?」「そうかもしれない一生忘れる事はないと思うよ」
「忘れる必要ないよね、人生の一ページでしょ大切な一ページ」
「紀華は、わかってくれるんだ、俺の気持ち」「私にもあるもの、直也の気持ちと一緒だよ」
この日ドリームキャッチャーは2個しか縛られていなかった、直也は久美子の作ってくれた古くなったドリームキャッチャーを縛り付けます。「ありがとうクーコもう俺は大丈夫だ見つけたよ大切なもの」と直也は心の中で久美子に伝えていた。紀華はドリームキャッチャーを持ってはいません。直也はフェンスへ縛ってしまったので持つ事がない持つとすれば自分で作る事になるでしょう。でも紀華の為には直也はドリームキャッチャー作る事をやめます。
「久美子さんの重荷は私が半分持ってあげるね、それから今持ってる重荷も半分、私には重荷はないもの家族愛みたいなものもらったし」
「紀華は俺の、おとんとおかんから何か感じたの?」「うん持った事もないものをもらったよ中学でも色々あったんだね弟さん言ってたよ中学の時の事も大切な一ページだよ忘れないでね、ありがとう直也」
紀華を実家に連れてきて良かったと思う直也でした。遮断機のない踏み切り跡の前で紀華の表情は今までにはない素顔ですっきりした表情をしていました。1週間だけ直也の実家でゆっくり過ごした直也と紀華は直也が両親の思いを感じてるはずなのに感じられてない事を紀華は直也に教える様になります。紀華が1週間で感じていたものは「愛と友情」であったのです。時間をかけて紀華は直也に「愛」を感じさせていきます。紀華は自分が直也に伝えていく事になるとは信じられなかったのでしょう。


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