
「さてと三原倉庫までは長い道のりだなぁ」直也と真一含め12人は直也を先頭に三原倉庫まで歩きはじめます。篤志は直也が殴る喧嘩をするなら止めようと思い典子や玲子は一騎の中に春樹が戻ってくる事を祈りながら直也達を追いかけていきます。篤志は廃墟の三原倉庫の場所を知っています。春樹や一騎と一緒に溜まり場にしていた場所であったのです。直也は炎天下の中で春樹の特攻服を肩にかけ真一以外の一緒に歩く仲間達は春樹の伝説を考えながら直也の背中を見ていました。直也と真一は何も感がる事はなかったが他の仲間達は色々と考えていくうちに不安と緊張が高まっていくのを感じでいました。コンクリートのビル街を通り一般の住宅街を通り徐々に道路も狭くなり畑が見えてくる。小高い所には立ち入り禁止の看板がありその先には6棟の廃墟の三原倉庫が並んでいました。チェーンが掛けられ立ち入り禁止の看板のある入り口に立ち止まります。
「お前らは絶対に手を出すなよ俺が一人で沢村一騎と話をつけるからな」と直也は仲間達に言います。
「冗談じぇねぇよ、こちとら何人もやられてんだぞ」
松校の涼一や仁矢は直也に思いをぶつけます。
「気持ちはよくわかるが目をつぶってくれ、頼む」
沢村達と争そえば又更に争いが続くと直也は考え涼一や仁矢に言ったのです。真一はどうなるか分からないが直也の気持ちが良く分かるような気がして直也を信じる事にします。チェーンをまたぎ倉庫の敷地内に入ると典子や玲子や篤志も追いつきます。直也は振り向き3人の顔を見ただけで何も言わず倉庫内へ向かいます。倉庫の大きな扉を開けると笑い声と何か話し声が聞こえたが扉を閉めると倉庫内は静まり返りました。倉庫内の先の方に人影が見えます。
「あそこか、けっこういるな」直也達は人影の方へ向かい歩いていきます。
「誰だ、おめぇら、どこのもんだ」と四谷学園の学生1人が叫びました。
「もう面倒くせい事は止めにしようと思ってよ、こっちから出向いてきたよ」
真一は四学の連中に声をかけます。直也には言葉はなく頭に血が上った状態です。四学の連中はゾロゾロと直也達の前へ立ちはだかります。
「ほぉ松校に崔校か、それとおとなしい尊学ちゃんねぇ、そんだけの人数でよく来れたもんだな」
四学の連中の後ろの方から沢村一騎の声が聞こえていた。
「出て来いよ沢村一騎、お前に話がある」と直也は一樹に声をかけます。
沢村一樹は、その声を聞き前へ出てきました。
「うちらも、なめられたもんだな尊学ちゃんに出て来いなんて言われるとは思わなかったぜ」
沢村の周りの四学の連中からは笑いが出てきた。直也は学ランを脱ぎ春樹の特攻服を着て沢村の前へ歩き覚めた目で沢村の目を見つめます。笑っていた四学の連中は春樹の特攻服を着た直也の姿を見て静まり返りました。沢村一樹は、その特攻服が春樹のものだと思ったのです。
「お前誰だ!その特攻服は春樹のもんだろ!何故お前が着てるんだ!」
沢村は、いきなり殴りかかってきたが直也は先に沢村の腕を取り右手で首を締めつけ覚めた目で沢村の顔に近づき瞳を見つめます。
「ううぅ・・・」と言いながら一樹は立てなくなっていました。
「なぁ沢村一騎君よ、もう終わりにしてくれねぇか?俺はいつでも殺されてやるからよ春樹と同じようにな」
沢村一騎は倒れ直也は馬乗りになりながら沢村一騎の首を締め付けていきます。
「これが春樹が求めていたものか従いたくねぇならしたがうな。沢村よ、もう一度聞くが、これが春樹が求めていたものか?」
直也が沢村一樹に言った言葉で周りにいた四学の連中は直也に飛び掛る事も動く事も出来ずただ黙ったまま立ちすくんでいました。
「本当はお前ら喧嘩しかけたくねぇんだろ沢村を慕ってるやつはどこにいる、いるなら沢村を助けてみろよ」
直也は春樹のように筋を通す考え方で相手を思う気持ちが周囲を取り囲む学生達の足を止めていたのです。春樹の事は伝説になっていった。その伝説の特攻服を着た直也に「恐怖心」を抱いていたかもしれません。駅前での四学の学生達20人も三原倉庫にいました。直也の事は「変なヤツ」と話していただけに変なヤツが目の前に春樹の特攻服を着ているのです。
「直也君、もう止めて、お願いだから。死んじゃうよ殺人事件になったら会えなくなるんだよ」
後ろの方から典子の声が聞こえてきました。真一は典子の声を聞いてすぐに直也の腕をとり沢村の首から手を離そうとしたが1人では出来ず4人がかりで直也と沢村を引き離します。冷静さを失くした暴走中の直也でした。
「もういいよな、直也!直也!直也!」
引き離した真一は直也の顔を見ると涙ぐんでいるのを見ます。倒れこんでいた沢村は声が出ず息が荒くなり這うように恐る恐る直也の方を見上げていました沢村一騎は直也のとった行動で「春樹」の事を思い出していたのです。横たわり、大の字になり「春樹ー!」と倉庫内に響くくらいに叫びます。直也は沢村一騎に春樹は生きていると思わせたかったのです。その後の直也の行動は春樹がいつも首からさげていたドリームキャッチャーを沢村の胸の上に置きます。冷静になった直也は沢村に近づき声をかけます。
「中途半端な喧嘩はするなよ特攻服着てるときは楽しかったろ春樹がいたしな今度は俺が相手だ。これな春樹のお守りだから、お前持っておけよ」
沢村は直也に恐怖心を抱きながら直也の後ろにいる篤志の顔を見ながら春樹が生きている時の事を思い出していたのです。
「もういいかげんにしろよ一騎、もう終わりにしような」と篤志は一騎に声をかけます。
「あぁ!あぁ!」沢村一騎は、いきなり大声をあげ直也の胸ぐらを掴みます。
直也は覚めた目で一騎の顔を見つめ苦笑いを浮かべ篤志と一騎に話しかけました。
「春樹は俺の従兄弟だ、お前ら2人が春樹を殺したんだろ!俺はお前らを一生忘れない殺せる権利もある殺されたい時は言ってくれ殺してやっからよ年少(少年院)にはいくらでも仲間はいるからよ」
篤志と一騎は直也も同じ思いをしてきた事を感じます。大切なものを失い苦しんでいた事を感じていました。直也は篤志や一騎に嫌な事でも忘れる事なく勇気を持って受け入れる事が大切なのだと教えていたのです。直也は言葉ではなく行動から感じさせる事が篤志や一騎を助ける事が出来ると思っていたのでしょう。忘れたいと思う事は直也にも多くある。でも生きる環境を変えても忘れる事は出来ない事を知りますが仲間達や典子によって「勇気」を持ち全てを受け入れられる事が出来たのです。直也は自分と同じ思いをどうしたら怒りと憎しみの心から抜け出せるかを教えていたのでした。直也は暴力では敵を作るだけで決して何も変わる事はない自分や相手が変わるためにはどうするか駅前で四学20人をからかっていた時に考えていた事でした。沢村一騎が静かになると四谷学園の学生たちも静かになったが逆にこれまで喧嘩していた相手に一騎は喧嘩を売られたが一切手を出す事はないという噂話が直也の街に流れてきました。しばらくすると、その噂もいつしかなくなり四谷学園も静かな学校に変わる事になりこの日を境に四学との争いは終わりました。しかし学生同士の争いは徐々に減りますが退学をした元学生達が動き始めようとしてる。直也達の仲間の情報屋から直也は聞いていた。さてどうするか?と直也は考えます。
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