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第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー39話

2023-03-08 10:45:47 | 第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー


典子や玲子の両親は篤志に話す直也の言葉を聞くとただ黙って春樹の事を考えていました。春樹の死は同級生の家族や学生達同級の両親達を悲しみに巻き込んでいました。直也の言葉は春樹は生きている心の何処かに生きていると言う事を訴えていたのです。中学生になった頃の春樹は街中で知られていました。それだけに春樹の影響が大きかった。直也は涼一と仁矢と英二と政次に学生服を着てくるよう話をして叔父夫婦のラーメン屋に集まるよう伝えます。同級生の典子は直也を追いかけるように走り出し直也のいるラーメン店の前で立ちすくんでいました。典子は直也との出会った時の事を思い出しています。電車の中でからかわれていた時に直也が典子を助けた事がありました。その時の直也は沢村一騎と同じように歪んだ感情を持ち典子を助けるつもりはなかったのかもしれない。歪んだ感情が直也の孤独を産み怒りを相手にぶつけ人を殺す事すら平気だったから表情も変えずに相手の首を締め付ける事が出来たのかもしれない。電車の中で典子は直也に恐怖心を抱いた事も思い出していました。家に戻った直也は部屋で学生服に着替え春樹との写真を眺めています。
「春樹よ、お前の代わりに時間かけて終わらしてやるからな、しっかり見てろよ」
直也は喧嘩をして解決しようと考えていません。殴る蹴るという事はせずに解決しようとしていたのです。直也は命をかける事なく仲間達を守る事を考えながら階段を上っていきます。雰囲気の違う直也を敏感に感じた叔母は言いました。
「ちょっとあんた、直也が何か変じゃないの」
「うるせぇなぁ、ババー黙って仕事しろ!」
叔母は心配して叔父に声をかけますが叔父も内心は直也の表情と無言が気になっていました。今までに見た事のない雰囲気の直也の姿を見たからです。春樹とは違う叔母には何か胸騒ぎがしていたようです。真一は相変わらずヘトヘトになるほど出前のバイトをしています。出前先での直也の評判を聞きお客と話す事で直也の姿を追いかけていたのです。出前から帰ってきた真一は店の前で立っている典子に声をかけます。
「須藤か、中に入ればいいじゃんか、直也は出かけたみたいだけどね」
「ううん、直也は戻ってきてると思う」と真一は店の外で直也の様子を典子から話を聞きます。
「加藤君、変な胸騒ぎがするの」
「そういうことか四谷学園の沢村一騎のことだろ」と真一は典子の顔を見て笑顔で言います。
「心配なんかしなくて大丈夫だよ直也は強い喧嘩だけじゃないアイツは喧嘩してもしなくても勝てるんだ、だから3つの高校での争いがなくなったろ」
典子は夏休みに入ってすぐに直也の流血した姿を見ています。
「あの日から、みんなが変わったんだよ直也と一緒にな、だから心配いらないよ」
真一と典子がそんな話をしていた時です。
「ちょっと、典子ちゃんも真一も何やってんのよ入るなら入る、ほら!」
叔母さんに声をかけられ2人は店の中に入ります。しばらくすると学生服を着た直也が亡くなった春樹の特攻服を肩にかけ2階から降りてきたのです。店内にいるお客や叔父夫婦や真一に典子は、みんなが静かに直也の姿を見つめます。
「叔父さん、真一をちょっとだけ借りてもいいかな?」と直也の叔父と叔母は直也の顔を見つめ叔父は真一に言います。
「真一、学生服に着替えてきな、直也を頼むぞ」
叔父は直也を「信じる」と決めていたので直也のする事は全てに自由を与えていたのです。
直也を誰よりも支える事が出来るのは真一しかいない事も知っていました。真一は苦笑いしながら白衣を脱ぎ私服で学生服に着替えに家に戻ります。ラーメン店の中には座敷で学生専用の席があり直也は静かに座敷に座り考えごとをしていました。一時間ほどすると真一は学生服に着替え直也の前の席に座ります。直也と真一は店内の座敷の奥に座りテーブルの上にドリームキャッチャーをおいて仲間達を待ちます。
「典子、悪りぃな、お前は帰ってくれねぇか、足手まといになるからよ、頼む」
直也は春樹の関わる事でもあったので典子の事を思って家に帰るよう言葉をかけると典子は店で待ってると言い距離をおいてカウンターの席に座ります。松陰高等学校の涼一と仁矢、崔高等学校の英二と政次は6人の仲間達を連れて店内に入ってきました。
「すまん直也、四学の話をしたら、ちょっとびびっててよ、でも情報はもらってきたよ今日は三原倉庫に集まってるらしいよ」
「いいよ、それだけわかれば、そんなには人数はいらないから」
その頃では廃墟となった三原倉庫では沢村一騎他と30人ほどが集まり松陰高等学校の1年生2人と2年生2人をサンドバックのように殴る蹴るを繰り返していた。カウンターに座っていた典子は席を立ち店を出て走っていきます。典子は走って自宅へ戻り今日これから起こる事を姉の玲子に話していました。
「篤志!直也がどんな人間か見に行かない私達とこれからさ」
返事をしない篤志に対して典子の父親は篤志の顔を見て首を縦に振り行ってこいと目で合図をします。叔父夫婦や典子の両親は数ヶ月で仲間達をつくっていく直也を春樹と重ね合わせることがあった。春樹と似たような直也が、どうやって解決をするのか典子の両親や今は亡き春樹の両親は、直也を気にしています。何か声をかけたかったと思うが声をかける事はできませんでした。直也の性格から考えれば人の話を聞き素直に行動するとは思えない四谷学園の問題は直也が人の話を聞き入れるレベルを超えてしまっていたのです。過去の直也に戻り怒りと憎しみに包まれ沢村一騎と同じ思いでいたのです。同じ思いを沢村一騎は受け入れるでしょうか。
「12人で、大丈夫かな?」
松陰高等学校の涼一と仁矢や崔高等学校の英二と政次や他6人の仲間達は少し緊張していました。直也と真一は久美子にもらったドリームキャッチャーを見ながら苦笑いを浮かべています。
「なぁ真一よ、これっていったい何なんだろうな?」と直也は真一に言います。
「いつどこにいても、お前には久美子ちゃんが付いてまわってるんだなぁ直也」
真一は直也に小さな声で話しかけます。
「過去の俺を知ってるのは真一!お前だけだ止めるタイミング見逃すなよ」
「あぁ、わかってるよ、どこまでも一緒だ」
「さて、そろそろ行くか」と直也は仲間達に声をかけ店を出ていきます。
「警棒3本だけは持ってきたよ直也」と仲間の一人が言います。
「絶対に使うなよ、いつもと同じ絶対に手も足も出すなよな見てるだけでいいから」
叔父夫婦は店を出ていった直也達を店の外で見送りますが声をかける事はしませんでした。直也は少し歩いたところで足を止め仲間達に向かって言いました。
「たぶん暴力振るうのは、これで終わりにするからさ大丈夫だよ、みんな」
仲間達の緊張をほぐすかのように笑顔を見せる直也は仲間達に声をかけます。
直也の笑顔を見ると仲間達の緊張がほぐれ直也と同じ笑顔になりました。


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