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第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー10話

2021-11-10 12:30:42 | 第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー


直也は断片的な記憶の友達や真一や久美子の人生の夢を見ていました。公園で遊ぶといっても、会話は少なく、ため息や食べ物の話し、中学に入ってつまらない。先輩たちが背中を見ている感じがするなどの話ばかり、この頃の生徒の心の中で何か変化がはじまるのです。
「直也、最近さぁオレたち変わったのかなー?」
友達の一人が直也に声をかけてきました。
「これぞっていう楽しいことってねぇかなー。波乗りも真一がいなくなってから面白くなくなったしよ」
直也は変わりつつある自分と、他の友達らもみんな自分達の変化に戸惑ってることに気づきます。楽しいことは何かを考える直也や友達らでしたが、いくら考えても答えはありません。ただ色々な出来事があって、そのつど感情をいだいていたものをどう受け入れたらいいのか、わからないときでもありました。直也は、できることなら嫌なことは忘れたい悲しいできごとを忘れたい、とにかく逃れたかったようです。友達らのことを考えると、直也は平然と冷静でいなければならなかったのです。そろそろ先輩たちとの戦いがはじまるような気がして、友達らには「勇気」を持っていて欲しかったのです。公園の近く辺りには、ガストやすき屋、マクドナルドなど色々なファーストフードの店があります。この日は最近いくことのなかった「すき屋」の安い豚丼を食べに行きました。中学生のくせに楊枝をかじりながら腹を叩き、まるで年とったみたいに、みんな落ち着いた感じで集団で歩いています。
「じゃぁな、また明日な、学校に来いよな。また何か食うべか」
「順番に店まわって、何か食おうな。誰か楽しいこと探せよ」
「だったらお前もそうだろ、探せよというなら、お前が探せ、バーカ」
こんな会話をしながら、歩き回るそんな日々が続きました。
公園に友達らが集まりかけているとき、友達の一人が、あわてて息を切らしながら駆けてきます。
「あの踏切で、また事故かなんかおきたらしいよパトカーとか救急車でいっぱいだった」
その時、直也は嫌な感じがしてたが、胸に掛けていた久美子のドリームキャッチャーがうずくようで握りしめる直也、みんなで見に行くことになります。でも封鎖されていて中が観れず辺りを見回すと警察官が無線で連絡してる声が聞こえてきました。状況は複雑そうで、ただ中学生という言葉が耳に入ってきたのです。気になった直也たちは県道のバイパスの上から線路をながめていました。電車は下りで現場の先のほうに止まっています。警察は方々に散らばり、ビニール袋に何かを入れ、現場に帰って来ます。電車に飛ばされた中学生は、ばらばらになったみたいです。どういう状況かはよく分かりませんが、県道の上から現場を見ていたら直也は、どうしても気になることがあったのです。
「クーコ・・・でも、まさかな」
家に帰ると、あの時、久美子の大きい婆さんが事故死した時と同じようなことがおきていたのです。記者や警察官が隣の家に、違ったのは、直也の母が泣いていることでした。
「直也、あんた久美ちゃんと一緒じゃなかったの?どうして一緒にいなかったの」
そう言われた直也は、母に返す言葉がなくなりました。
「じゃぁ、あの踏み切り事故は、クーコだったの」
直也は、落ち着いているどころではなく震えが全身を襲い無気力状態で膝をつきしゃがみこみます。
「どうしてだ、クーコ、何かあったら、オレを探せっていったのに」
ここのところ、久美子は直也とたまにしか会うことはありませんでした。直也は久美子の電車事故から「怒り」という感情を心からあふれるくらい感じるようになります。久美子の描く両肩のマジック絵は、もう消えています。直也は久美子の両肩のマジックの描きえてしまったことが、久美子を守れなかったのかもしれないと思うこともありました。直也は小学校からの久美子を思いだし、久美子との会話した記憶をたどっていきます。会わないということが、何かのメッセージだったのか、何で大きいお婆さんが亡くなった場所で、同じように飛び込んだのか。お婆さんが亡くなった時、久美子が言っていたことを直也は思い出しています。
「次は私、大きいおばあさんは一千万円、それだけでは足りない・・・」
夢を観る事で嫌な予感を持つようになります。
思い出し考えれば考えるほど自分がおかしくなっていく直也でした。直也は、もう何も考えたくない、もうこんなの嫌だと心の中で叫んでいます。葬儀も淡々と済ませていく、その間、直也はただ呆然とするだけで通夜や葬儀のことをよく覚えていませんでした。
「クーコ、まだ中学に入って四ヵ月だろ何があったんだよ、殺される次は久美子ってどういうことだよ」
直也は一人心の中で叫びます。その叫びは「怒り」や「憎しみ」を直也の心の中で作り出しています。その感情を表に出せない。しばらくの間、夏休みの補習授業へ行かず、公園などで過ごし学校へ行く気がなくなります。学校へ行かず、数日間、遮断機のない踏み切りの前で「孤独感」を感じる直也は、ただ踏み切りを見ながら突っ立っています。踏み切りのわきのほうには、花束やペットボトルのジュースや水がたくさん置かれていました。直也の持つ「怒り」や「憎しみ」は、泣くことも叫ぶこともなく、踏み切りの両脇にある花束やジュースを蹴散らします。これで三人を直也から神は奪っていきました。
「なぁクーコ、お前、オレを守るっていてただろ、そのお前はどこにいったんだよ」
今年八月に真一がいなくなり、春樹は事故死、そして中学4ヵ月で久美子も失ってしまった直也です。
「お前らは勝手な奴らだな、馬鹿ヤロウ、オレを一人にするなよ」
直也にとって唯一、心の許せるこの三人を失うことは、このときの直也にとっていくら友達がいたとしても全てを失うのと一緒であったのです。
優子がくれた、カバンに付けてあるドリームキャッチャーをカバンからはずし、直也は線路のわきのフェンスにそのドリームキャッチャーをしばりつけます。この日、本当に信じられるのは自分だけになります。友達はいましたが、その友達らでさえ信じられなくなり、それ相当の付き合い方になっていきます。
「クーコ、お前のお守りは、眠れない子供のための悪魔よけだ、俺は眠れない日なんてねぇよ」
そして、どのくらいたつのだろうか、友達らは直也を心配していつも、学校帰りに遮断機のない踏み切りを見にきていました。直也が、ただ線路を見つめてる姿を友達らは、声もかけずにずっと同じように立っていました。
友達の一人が直也に声をかけます。
「直也、これなに?」
直也は、みんなに黙ってたことがあり、久美子とのことをみんなに話しました。
「自殺か殺人か、お守りのこと、家の縁側でいつもいっしょにいたこと」
友達は、みんな直也の気持ちはわかっていたようです。話をしたことで救われたことはありませんが、次の日から、直也は学校へ友達らと踏み切りを通らずに行くようになります。信じられるのは自分だけ、でも友達らを利用し、その分裏切られてもいいと直也は腹をくくって生きていくようになります。先輩たちに対しても「怒り」の感情を表情で表すようになっていきます。直也に対しては先輩も手が出しにくくなります。たまたま、一人で帰らなければならない日があり、直也は踏み切りへ向かいます。踏切にはチェーンが掛けられていました。フェンスを見るとドリームキャッチャーがたくさん掛けられていたのです。
「あいつら・・・」
小学校時代からの友達らが、ドリームキャッチャーを作り、直也と同じようにフェンスにしばりつけていたのです。直也にとって友達らがとった行動は、一瞬の直也の苦しみの救いの一つになりますが、一時的に感じた感情はフラッシュバックされます。「怒り」と「憎しみ」を持ってしまう直也でした。クラス委員長の小幡優子は直也含めその友達らのことを担任の先生に相談していたらしく、その先生は水泳部の顧問とも相談をしていました。水泳部の顧問の先生は、自分に任せてほしいと担任の先生に言ったそうです。直也がプールサイドにいるとき、水泳部の顧問は、直也に声をかけてきました。
「入部するのは今年が最後だぞ入れてやるから思いっきり泳いでこい。思う存分泳げ。そうすれば涙も出なくなるだろプールの水で流せばいい」
この言葉が直也の心に支えとなりフラッシュバックする感情に対しての救いの手をさしのべてくれました。今度は水泳部とこれまでの友達らが、久美子と真一と同じように心の支えになっていきます。その後は、約一年間水泳部に入部、休日であれば、また、みんなで波乗りをはじめていました。時間があるときは、ドリームキャッチャーを作りフェンスへしばりつけていきます。
「馬鹿ヤロウといいながら戻ってこれないのなら、自殺も殺人も一緒だろ」
直也の心の奥底にある部屋の扉を閉め、鍵をかけてしまいます。直也は、真一や春樹だけでなく久美子も失ったできごとから、悲しみと苦しみに立ち向かわなければなりません。いつかきっと「直也」という本当の自分自身に出会えると信じて生きてと言う声が夢の中で聞こえていました。この夢が衝撃的なものになるとは思いもよらず朝起きたら汗びっしょりの直也でした。
「なんだ、たたの夢だったのか?」と直也は思いました。
しかし現実になるとは思いもよらず。


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