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第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー6話

2020-11-20 10:46:30 | 第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー


春休み最初の3日間は晴天、その後の4日間は小雨が続きます。晴天の3日間は海へ行き波乗りをしながら海を眺めていましたが小雨の4日目からは友達も家での用事があって行く事は出来ませんでした。ちょっと疲れ気味で、いつものように縁側に座り中庭を見ながら、ボーっとしている直也でした。
「コンコン、コンコン、コンココ、コンコン」
木戸をたたく音がして、直也は木戸の鍵を開けると笑顔の久美子が来ていました。
「クーコ、学習したんだな、木戸を叩くこと」と直也は笑って久美子に声を掛けます。
「もう馬鹿ねー、前からわかってたのよ、でもね木戸をよじ登って直にぃの姿を見るのも良かったのよ、今日は私の家の人いなかったからだよ、木戸を叩く音きかれちゃうからね」
久美子の家の内情の噂は本当だったのかもしれない。でも久美子は直也がいる限り殺されないと信じる事にしていました。直也には、もう青少年期に入るので宿題というものはなかったが、まだ幼少期の年長になる久美子には学習ドリルの宿題がありました。
「明日もまた、木戸開けてくれる?休みの間」
「あぁいいよ、残りの休みは家の縁側にいるから、休みの間でよけりゃ、鍵は開けとくよ、クーコ、何かがあればオレに話せ」
久美子は直也の言葉をきくと笑顔になり、直也に両手を広げて抱きついたのです。
「そばに、一緒にいてくれたらそれでいいからね」
直也は、どうしてか無理に聞く事はしませんでした。
「よほど家に居たくなかったんだろうな」と直也は思っていました。
4日間は直也の家に朝から晩まで学習ドリルの宿題が終わると久美子は遊びに来ていました。久美子は直也の家の縁側で4日間のうち3日間で宿題を終わらせます。そしてまた久美子はアクセサリーで魔除けのドリームキャッチャーを作りはじめました。4日目には紙の箱を持ってきて以前も作っていたものを持ってきては、また作りはじめます。
「これね、むずかしいんだよねー、何回も作り直しちゃった、直にぃにはしっかりと納得したものあげるからね」
直也は何を作ってるのか全くわからなくて、ただ作ってるのを静かにみていただけでしたが直也にも嫌になる事もあったようです。しかし何故か直也は久美子の姿見ているだけで、嫌な事を忘れる事ができました。
「クーコ、飲み物何がいい、持ってくるよ、お菓子も一緒にな」
直也は、立ち上がろうとしたとき、久美子は直也の腕をつかんでいます。
「叔母さんとこには私が行くから、直にぃは、ここにいてね、私が持ってくるからいいよ」
直也は腕をつかまれたとき、久美子の気持ちがなんとなくわかるような気がしました。
久美子の言葉に、直也は素直に応じて縁側で久美子が作ってるものを手に持ちながら見ています。
ジュースやお菓子を久美子は持ってきたとき、久美子は直也に言います。
「これね、お兄ちゃんのお守り、久美子が守ってあげるからね」
「えっ?」
直也はどういうことかわからなかった。
「大きな円とその中に小さな円、大きな円に網をつけて、鳥の羽をつけるんだよ」
ニコニコしながら眩しいくらいの万弁な笑顔で久美子は、直也に話しながら作っていきます。
「昔々、今から何百年前に作られていてね・・・」
久美子は、過去のの歴史の話とか、文明の話をするのが好きだった。
そのおかげで、直也の苦手な教科の宿題が冬休み中に終わり久美子に助けられていました。
「魔除けのドリームキャッチャーっていうんだって・・・」
久美子は、ドリームキャッチャーの事を話しはじめます。
今から数百年前、オジブワ族の伝統としてベッドの上に掛けることで眠っている子供を悪夢から守ってくれる「魔除けのお守り」として作られたものは「ドリームキャッチャー」と呼ばれていたようでした。しかし時代と共にカナダインディアンの文化の象徴であるとみなされ、その後は商品化されるものとなったアクセサリーだと久美子は言っていました。久美子は話づきではなかったが、この日は良く直也に声をかけ、おしゃべりづくしになっていきます。好きな歴史の話をしながらドリームキャッチャーを久美子は作り続けます。久美子は悪い話や噂によっての哀れみ絶対に言葉にしはいけないことから直也とおしゃべりする事で嫌な事から逃れたかったのだと思います。直也は小雨の降る休みの間、久美子の話を聞き続けますジュースを飲む姿、大きな口を開けてケーキを手づかみで食べる姿、庭にある井戸水で手を洗い腰をかがめた後ろ姿、久美子の姿が全て直也を癒す事にもなっていたのです。直也は、いつまでこの関係が続くのかといつも思い、いつまでも続いてほしいと願うようになりました。成長期の大切な時代に出会った、この2人の関係は「絆(きずな)」として深くなっていきますが、お互いに安心感を与えあう関係だけでした。しかしどこで知ったのか作り方をどこで覚えたのやら、直也には関係のない事で気にする事をやめました。久美子はドリームキャッチャーの作り方のメモを直也に見せています。ただただ直也は久美子を見ていたい、久美子は直也のそばにずっと一緒にいたいという思いだけでした。
「両肩みせて、黒のマジックで書いとこうか、消えそうになったら、また描いてあげるね」と久美子は直也に言います。
そして久美子は、直也の両肩に油性マジックで、ドリームキャッチャーの絵を描きます。
「なぁ、クーコ、毎日風呂入ったら、消えるんじゃないの?」と直也は久美子に冷静に話をしました。
「そしたらさ、毎日、久美子が描きに来るね」
久美子は遊びに来るのには何かの理由を作っていたようでした。
「遅くなったなー、ご飯食べてから帰るか?」
「うん、やっと出来たよ、ほら、ドリームキャッチャー、これは直にぃのだよ」と久美子は直也に見せています。
しかし久美子は直也に見せますがドリームキャッチャーを渡す事はありませんでした。
「何だよ、見せるだけって」
「直にいに渡すのは私ではありません、きっと誰かが渡す事になるでしょうね」
「クーコ、誰かって誰だ?」
「それは、秘密です」
「また、秘密なのか?」
「そうだよ、秘密、秘密、秘密です」
この日はいつもより遅く暗くなってから自分の家に久美子は帰っていきました。直也は、いつもと違う久美子の事が気になってしょうがなかった。
久美子が考えてる事を知ることは、この時の直也には出来ませんでした。そして直也の部屋の中にあるビニールをかぶったランドセルを見つめる久美子でした。
「もう小学生だね、もう会えなくなるね」と久美子は直也に言います。
「ん?会えなくなるのか?」と直也は久美子に聞きます。
「うん、幼稚園には、もういけないの」と久美子は外の空を見上げて直也に伝えます。
笑顔が消えた久美子の姿を見て、もう久美子と会えなくなるのかと直也は不思議な気持ちになっていました。


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