2ラウンドのゴングが鳴り直也はリングサイドの椅子へ戻ろうとするが直也の足運びと歩く平衡感覚に変化が見られた。直也の身体は左に傾きやや疲れた感じリングの床を見ながらリングサイドの椅子に座った。ガードも甘くなっていった事を気にする会長やコーチだったが康志は冷静に直也を見ていた。
「どうした、直也?」「え?なんで?」「お前まさか左腕を見せてみろ」
「はい」「直也お前、左腕を痛めたな」
相手のパンチを打たれ続けた事で腕は赤くなり左腕はしびれがあり直也は息を荒くしていた。相手の選手は直也と同じ右利き、それだけに左腕にパンチが集中していた。ノックアウトKO勝ちを相手の選手は狙っていたのだ。勝利の為の左腕を痛めた直也にコーチは次のラウンドで動きが止まればタオルを投げると直也に告げていた。
「コーチ、タオルを投げるのは次の試合にしてください」と直也は言っていた。
「お前の身体の事、考えるのがコーチの仕事だ!」
「わかってます、でも俺は勝ちたいんです」
「このままだと次のラウンドはもたないぞ」「俺は必ず勝ちます」
コーチと直也の会話を聞いていたプロテスト前の康志は直也の持つ潜在的能力を考えている。
「直也、右腕はどうだ?」「右腕は問題ないです」
「なら相手は体力をかなり消耗してる見てみろアイツを」
「苦しい感じですね」
「そんな時は左ストレートをフェイントして右でボディだけを狙え」
コーチとは正反対に康志は直也の気持ちを優先させた。康志はプロテスト前だった為に勝利と言うものを考えるのは当たり前だった。
「サウスポーでこれからが本番だ!オレが教えたろ」
会長やコーチに黙って康志は左利きでのボクシングスタイルを直也に教えていたのだ。直也の気持ちを良く理解していた康志だった。優子は直也の傍に行き涙目で笑う。
「直也なら勝てるよ絶対に勝てるから」
優子の言葉は直也の心に強く響くものがあった。
会長やコーチは1分の間3人の間での会話を聞いていて直也なら勝てるか?と、そんな思いを持つようになる。
「直也、勝ちたいのならコイツの言う通りサウスポーでボディだ」
「もう勝ちに行くしかないぞ、判定では相手が有利だ」
「そうですね、相手もそのことを充分理解してるはずですから」
「わかりました、やってみます」
いよいよ3ラウンドの最後のゴングが鳴る。
「カーン!カーン!カーン!」
両者ともに勢い良く走り出しリングの中央で戦いは始まった。
お変わりないですか?
お母様もお元気でお過ごしでしょうか、、
私も 父の入院とか いろいろありまして、、
ご無沙汰してしまいました。
これからもよろしくお願いします。
大変でしたようですね
今後ともよろしくお願いいたします