あれほど嫌いだった直也に心引かれていく近藤紀華でした。学校も嫌いだったはずなのに学校へ行くのが楽しくなっていきます。直也の存在が大きく紀華の身体を包み込むように直也は優しく声をかけていきます。紀華は直也によって苦しむ心が救われ「異性」というものを感じるようになります。週2回で学校が終わってから溜まり場の喫茶店で直也と紀華は会うようになっていました。直也はいつも表情を変えない紀華に笑顔になるように人差し指でからかいます。指でからかうと紀華はだんだん笑顔が出てきてそれが直也にとって楽しい時だったようです。紀華は学校でも何処にいても自分の気配を消して生きてきたのです。出来る限り他人とは接しないように1人の世界しか紀華にはなかったのです。しかし紀華の心の奥底には自分の主張があって自分とあう人間を選んでいたのかもしれません。自分では選ぶ事は出来ず直也によって変わり直也に選ばれたのかもしれない。ふざける直也と紀華の姿を見ている喫茶店のお姉さん達は彼氏と彼女のようになれる事を願っていました。紀華の姉は常に笑う事のない妹が直也にだけは切れる事なく楽しそうにしている姿が純粋で眩しく見えていたようです。近藤紀華は文系の同級生で典子の八方美人とは正反対の性格です。直也は紀華は1人では生きていけないような気がしていました。この思いが「近藤紀華」という人物を変えていくのかも同じように「大島直也」の人物をも変えていくのかもしれない。直也と紀華の出会いはこれまでにはなかった出会い方といってもいいでしょう。自然の流れの中で直也は生き始めていた時に紀華との出会いであったのです。
「今度の夏休み、海に連れてってね」と直也と紀華は約束をします。
2人は男女で異性というものを感じていました。どう付き合っていけばいいのか迷う時期でもあったようです。迷いながらも少しずつ近寄っていく直也と紀華です。そんな日々が流れていきます。直也の心は過去現在に大切なものを失い傷だらけだった。多くの仲間達に囲まれていても直也の持つ孤独感は持ち続けていました。過去に起きた出来事や直也自身を受け止める事が出来ず地元を離れても運命は変わりません。地元を離れ春樹のいた街でも同じ運命が待っていたのです。運命というよりも宿命といった方がよいかもしれません。春樹の伝説は街の学生達の暴力になり何故か学生達の「希望と勇気」支えとなっていました。春樹は、あることを考えていたのかもしれない。それを知ったのは春樹の部屋で毎日のように日記や写真を見つめている時でした。春樹の伝説は中途半端で終わってしまっていると直也は考えます。直也に春樹は後を引き継がせようとしていたのか?高校へ入学してから数々の出来事に遭遇し直也なりの解決をしていました。春樹を知る者からすれば直也の言動や行動は春樹を思わせるものでした。直也と仲間になった者達は戸惑っていたのかもしれない。この街では誰もが春樹の事を知っていました。噂によって伝説がつくられ大きくなり真実を知るものは一部であったが直也がこの街に来た事で何かが変わっていくのです。仲間達をと惑わせていたのは直也の存在と直也の思いでした。直也は真一や典子や紀華と共に海へ行き海の波に流されながら心にある悲しみや怒りや憎しみを洗い流されます。直也は自然の力を借りて全ての出来事と自分自身を受け止める事になります。
春樹の存在よりも仲間達には直也の存在が大きなものとなりその存在が仲間達の支えと変わり新しい「希望と勇気」を与えていくのです。直也の支えは典子ではなく紀華へと変わっていきます。全ての出来事は自然の流れによって作られています。自然の流れに希望と勇気が重なる事で新しい道へ導かれると直也は感じます。直也の心の成長に追いつけない真一でしたが無理に追いつく事をする事はなく自分自身の気持ちを考えるようになります。
直也の大きな存在に典子も変わっていき典子は紀華との出会いによって自分自身の気持ちを考えるようになります。真一と典子の気持ちは直也の存在によって海の上で繋がったのです。直也の周囲にも変化があり自然と仲間が集まるようになります。今まで直也を怖がっていた学生達も直也に声をかけるようになったのです。直也は声かけには笑顔で答えていきます。
しかしまだ直也の存在に気づかない入学したばかりの学生達は春樹の伝説によって暴力の中で生きていたのです。
一難去って又一難、難題は続きます。
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