「さて、そろそろ帰ろうか?」「ところで8月にもう入ったけど出前はいいの?」「あぁ~、そうだった、忘れてたよ」「お馬鹿さんだね、こんな私に付き合ってさ」「真一に怒られっかな?叔父さんにも叔母さんにも」
実家に帰って直也には気になる事があった。隣の他界した久美子の家にシャッターが閉まっていた事でしたこの時は両親に直也は隣の家がどうなったか聞く事はしませんでした。のどかな実家を出て駅に向かい電車に乗り2時間電車に揺られる事になります。電車に乗って外の風景は以前中学卒業後に見る風景と違って見えた。風景は変わってはいないが変わったのは直也であったのです。紀華と直也は寄り添いながら電車の椅子に座り会話はなし少し疲れたせいか2人は軽い眠りにつきます。揺れる電車は直也と紀華に軽い眠りに同じような夢をみさせていました。目的の駅に着くと席を立とうと2人はしなかった。直也と紀華は顔をあわせ苦笑いをするだけで夢の事は覚えていなかったが紀華は顔を赤くしていました。ドアが閉まる放送があって急いで電車を折り駅のホームで少し休み改札口を出ていきます。
「直也一緒にいたい?嫌いだったって言ってごめんね」「俺の部屋に来るか?たぶん散らかってるけどね」
「うん私はどうでもいいの一緒に居られればね」「わかった一緒に居よっか」
直也と紀華は静かにゆっくり歩きながらラーメン店へ向かったが店からは入らず裏口から直也の部屋へ入っていきます。少し疲れた様子でベッドへ横になる2人は天井を見ながら浅い眠りにつきます。一時間ほど眠ったでしょうか?直也はドリームキャッチャーは必要なくなったと思っていた頃の事でした。眠気がとれた紀華はドリームキャッチャーを作る為の道具箱をベッドの下から出してしまうのです。
「この箱は久美子ちゃんの箱なんだね大切なもの?」「あぁ大切なものだよ、こんなにしっかりした缶の箱は6年ものだ」
直也と紀華は缶の箱の中にある部品をとりドリームキャッチャーを作りはじめます。ドアの方からは扉を閉めていても1階のラーメン店の活気ある声が聞こえています。
「いいの?叔父さん達に顔見せなくて?」「気にしなくていいよ、作ったら下に降りてくよ」
紀華は器用で作り方の紙を見てすぐに作れるようになっていきます。出来上がったドリームキャッチャーを作り終えると交換しまいました。直也が思うようにはいかなかった。またドリームキャッチャーを作ってしまい、これからも必要なようです。直也の部屋から階段を降りてラーメン店に顔を出すと大きい声を出していた直也の仲間達や叔父や叔母が出前から帰ってきた真一は驚いた顔をして紀華も顔を出すと叔父のラーメンを作る手も一瞬とまります。
「直也、あんた、いつ戻ったの?」
叔母の声に直也は何も答えず座敷にいる仲間のところへ真一も紀華も直也についていきました。
「お前どこにいたんだよ行方不明になったっていってたから心配したんだぞ」
「悪かったな、こいつ紀華って言うんだけど俺の彼女だからヨロシクな」と直也は言ってしまいました。
「お前え?淡白な紹介だね、こっちの話はきかねぇってか」「その方が、わかりやすいだろ」
真一は仲間達に紀華を紹介する姿を見ると何も声を掛ける事が出来ませんでした。その時の直也はこれまでの直也とは全く違う事に真一は気がついていたのです。
「直也、典子はどうするんだ?」
真一は小さい声で直也に声をかけたが返答はなく真一の肩をたたきます。直也はすっきりした笑顔で顔を見つめます。直也は真一や典子ともすれ違いがあり偶然なのか常に一緒にいたいと直也と紀華は思っていました。仲間達は笑いながら「おめでとう」と声をかけてくるが真一は出前にいってくるといってその場を立ち去ります。直也と紀華は仲間達とドリームキャッチャーを見せ合い騒いでいました。仲間に紹介しているのに表情を変えない紀華に直也は両頬に人差し指で触れると紀華は照れながら笑顔を見せます。紀華の人生は6年間という日々無表情で存在感を消し生きてきた紀華には常に直也が必要だったのです。仲間達は顔を赤くし笑顔を見せる紀華をすぐに仲間として受け入れてくれたようです。真一の心の中では「典子の気持ちを裏切った」と許せない気持ちの葛藤はあったようですが出前に集中しながら考え直也を許していました。直也は真一にあえて違う自分を見せていたのです。真一が典子を好きになり典子も真一を思っていた事を考えていました。はっきりしない真一に少しばかりイライラしていたのでした。直也がいない間に真一と典子は仕事が終わると駅前のロータリーのベンチに座り話をしていました。戻ってきた日も真一は典子に会い直也が帰って来た事と仲間達に彼女を紹介していた事を話します。典子は直也への思いがあり無言になったが真一に返事をします。
「いいのよ直也はいつも自由な方がいいの、きっとその彼女は紀華でしょ私には紀華のように直也を自由にさせる事が出来ないの何処かですれ違ったんだよね」「自由か?そうだなアイツはどんどん離れていく感じがするよ、でも仲間を大切にする典子、聞いてもいい?」
「なに?」「正直に言うよ俺のこと、どう思ってる?」
「好きだよ、いつも一緒にいてくれて安心させてくれるから直也は心配ばかりかけるし紀華って子は一人で生きていけないんだと思う前に直也に聞いた事があるの紀華には直也が必要なんだよね、きっと」
「そうか俺たちは今のまま流れのまま会って行こうよ直也達のようにな」
「流れに乗るのね、それって付き合うってことになるよ、私でもいいの?」
「あぁ、典子さえ良ければね」
真一と典子はお互いの思いを、この日やっと伝える事が出来たのです。伝える事が出来たのは直也の姿や行動があったから「素直」に気持ちを伝える事が出来たのかもしれないと真一と典子は思っていました。しかし真一は典子が孤独にならないように「友達」として思っていたのです。この頃の仲間達の溜まり場はパチンコや2階のゲームセンター「LALALA」喫茶店と直也のいるラーメン店「どんどん屋」で典子のいる焼肉店「YAKINIKU」。ゲームセンターは学校に行く日が集会場になり他の店にいる事が多かった。直也が戻った日アルバイト募集の紙が貼られていた。直也は、これまで通り出前を始めるが直也は紀華にアルバイトするよう話し叔母さんと一緒にホールでアルバイトを始める事になった。この日バイト募集の貼り紙はなくなった。8月の夏休み直也と真一は出前をし紀華はホール典子は自宅の焼肉店のホールであるバイトをする。真一と典子は距離を置きながら付き合いはじめ夏休み中はロータリーのベンチで会う事にしていました。直也は仕事が終わると紀華と2階の直也の部屋で時間がある限り色々な話をします。紀華は姉と2人暮し姉はいつも紀華の事を気にしながら暮らしていたようです。姉の恵美は紀華が直也と付き合う事を聞くと夏休みの間は住み込みであるバイトを許します。直也との付き合いは恵美は認めていたのです。いつかきっと出会うということを予感していた姉の恵美であったのです。女の直感でね。出前に終われる時間はそろそろ終わりになり学校がはじまります。しかし姉の恵美の頭の中では認めては無く直也と典子の2人が繋がっているように思えてならなかったのです。今は紀華には直也が必要だと思っていました。
私は約一か月振りの投稿しました。
猫ゲーの話しです(^^;)
腰の痛みはだいぶ良くなりました。
腰痛良くなって良かったですね。
コメントありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。