由布院日記

由布院盆地内の徒歩による写真です。由布院の素晴らしさを皆様に知っていただけると嬉しいです。(時々福岡の記事になります。)

野焼きは無事終了しました・・・由布岳南山麓

2013-02-23 18:15:22 | 由布院温泉
 私の手元にある「由布岳南山麓 野焼き教本」(由布岳南山麓景観保全機構 温湯区牧野組合編集)の冒頭には次のように述べられています。

 由布岳山麓に広がる緑豊かな大草原。そこには色々な草花や昆虫、動物たちが棲んでいます。
 そして私たちにも様々な自然の恩恵を与えてくれています。
 この緑豊かな草原は、私たち人間の力で守られている事をご存知ですか? 
 昔、私たちの祖先は各家々で牛馬を飼育していました。
 「夏山、冬里」と言われるように、どこの家も夏は山に牛馬を放牧し、柔らかい美味しい草を食べさせ、冬は里で夏の間採草した草を与えていたのです。 
 また、野焼きは牛馬につくダニなどの害虫駆除の役割もありました。まさにいのちきのために野焼きを続けてきたのであり、別に「自然を守る」という大それた気持ちはありませんでした。
 しかし、農業が近代化されるにつれ、人々は草原を守るために、野焼きを続けました。野焼きを行うことによって自然の破壊を防ぎ、また土地が豊になり、よりよい草が育つようになりました。
 ミヤマキリシマやヒメユリなど、貴重な草花も野焼きによって守られています。それを何年も、何十年も、何百年も繰り返しおこなってきました。
 この野焼きは、ここ温湯(ぬるゆ)地区の他に、大分県では久住高原や塚原高原などで、草原を守るために今でも行われています。
 しかし、この野焼きは大きな危険が伴います。多くの人たちの力や、綿密な計画を立てなければなりません。様々な担当を決め、火入れに当たっては風の吹き方や火の流れ、燃え方など細部にわたって安全に行わなければなりません。
 一年野焼きをしなければ、雑草が増え、野焼きが出来なくなってしまいます。この美しい自然を次世代に残すために、私たちは野焼きの技術を後世に伝え残していくため、この本を作成しました。
 

 と、あります。

 野焼きを始める前準備として
 防火線切りを10m~20m幅で行い、
 防火帯を切り開いてから防火線焼きを行います。

 そして、野焼き当日:今日の火入れとなるわけです。
 準備として、弁当は2つ、火消し棒、ジェットシュウター(水20ℓ)、ガスバーナー、すすきの松明、鎌とかずら、トランシーバーなど、相当の重装備です。

 今日の野焼きで負傷者が一人として出ない事を祈って・・・




幅10m強の防火帯。この様な防火帯が数十キロメートル設けられます。
野焼きを行う草原と行わない国有林や民有林との境を切り開くことを防火線切りといい
約1週間後に切り取った草を寄せ集め焼き払うことを防火線焼きといいます。
これらの箇所は石や急坂や崖となることから最も危険な最も重要な本物のプロにしかできない仕事とされています。
この防火帯切りがあってこそ野焼きが存在します。




中の原高原より由布岳を望む


由布院盆地


左手前方の山は鶴見岳です。
右側の煙がくすぶっている場所から2班に別れて野焼きが始まります。
今しがた始まったばかりです。(11時過ぎから始まります。)
だいたい5時までには終了します。


鈴木神社と狭霧台


雨乞牧場より 狭霧台と由布院盆地


いざに備えて消防が待機していますが、一番のん気にしていて ただ見学してるふうにしか見えません。(失礼!)












ほぼ完了に近くなった野焼き


夕日に照らされる野焼き完了後の由布岳山麓


万全の夕日 それにしても野焼きの後の夕日はなんと澄んでいるのだろう。(野焼きの日が天気のいい日にしか行わないからだとしても・・)
ただ今日は中国からの大気汚染とスギ花粉が多かったようです。

野焼きの後のこの草原では、
オキナグサ、
ノヤナギ、
キスミレ、
チシオスミレ、
ワラビ、
ゼンマイ、
バイカイカリソウ、
トダシバ、
ハルリンドウ、
キスげ、
キバナカワラマツバ、
モリアザミ、
ハバヤマボクチ、
ウメバチソウ等々を鑑賞できます。
コメント (2)
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