これが出たらボケの始まりと昔は言われていた。ところが現代では、年寄りばかりか若者まで頻繁に使う。テレビなんかでも、情報伝達者や司会者まで盛んに使う。みのもんたが、やたらと使うが、番組を降ろされるどころか、あっちこっちで顔を見せる。だとすると、これが標準語に近いと認定されてでもいるのだろうか?
だから、私も偉そうな事は言えないが、中高年が使うのは何ら問題ないという風潮がある。先日ハイキングの際、次のような光景に出会った。珍しくその電車は空いてはいなかった。或る駅に停車したとき、乗客がどやどやっと乗り込んできた。私のすぐそばに潜り込んできた中年の或るおっさんが、車両の連結部のほうに向かって叫んだ。見ると、視線のほうに、5人くらいのハイカーが僅かな空間の床に、無理やりに座ろうとしていた。
「<b>そこ、ナニで、アレだから、あっち</b>」と言ったようだ。私には、「底、波で、荒れだから、アッチィ」と聞こえた。波が荒いから場所変えよう、にしては変だなと思った。フライパンの油も跳ねてはいないし---。見ると、いったん腰を下ろしかけたハイカー達が、おもむろに立ちあがると、ザックを引きずりながら隣りの車両に消えて行くではないか。隣りの男は磯釣りのリーダーではなかったのだ。私はやっとガテンがいった。「君たちのそこの場所は、トイレの前で臭いから、向こうの車両に移れ」という指示だったのである。私は勘違いしたが、彼らにはちゃんと通じたのである。
後日、友人にこの話をしたら、笑うどころか、「その人はマナーをわきまえた人」という感想。大勢の乗客の前で、ストレートの言葉を発するのを控えたのだという。なるほど、アレとかナニというのは、古来そういう用法があるのは確か。「なかなかアレが来ないのでナニかと思った」----「通知」が来ないので不合格かと思った受験生の話です、はい。
日本語はむずかしいです。これが、アレ→アレェ~、ナニ→ナニィ~?となると、話が全く違ってくる。黒澤映画「羅生門」で、京マチ子がアレェ~と言ったかどうかは、すべて「藪の中」だが、ここがこの映画の最大ポイントなのです。---何のことやら、さっぱり分らない人は、レンタルビデオ店に行くか、芥川竜之介の作品「藪の中」を読むとよい。
----2006-10-15 私のHPに発表
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