今日はバッハコレギウムジャパンのメンデルスゾーン「エリアス」でオペラシティ。
なんという演奏会だったろう。
加耒さんの歌で1部が始まるや直ぐに胸が熱くなり、大編成オケの音に心揺さぶられ、旧約聖書のドラマの世界に突き落とされた。ステージと客席が一体化して、尋常でない空間となっていた。
加耒さん、中江さん、西村さん、清水さんの歌で迫真のドラマが展開し、エリアスがバアルの司祭たちを殺戮して1部は終わり。息もつけない65分だった。
2部は形勢逆転してエリアスは逃亡。長い苦闘の末にやっと神と対面。
再び力を得て神に仕え、やがて天に登るまでの60分。
素晴らしい合唱の場面がいくつもあった。松井さんたちの美しい重唱。迫真の大オーケストラ。加耒さんは偉大な歌手だった。鈴木マエストロの全霊を感じた。
でもそうしたことよりも、非常事態宣言下の今日、東京で、BCJがエリアスを演奏したことが偶然ではなく、運命的なことに思えた。
かれらは今日コロナ禍の東京で、エリアスを歌わなければならなかったのだ。
そしてぼくらは聴かねばならなかった。
そのように神がお決めになったのだろう。
日本、いや人類はパンデミックで苦しめられているが、エリアスは来たると言われたのではないか。
素晴らしいという表現より、歴史的な、偉大な、というのがふさわしいコンサートだった。