それは息子がまだ小学生だった頃の3月3日の朝
まだ寒く台所にストーブが点いていた
朝食が済んで片付けをしていたら
勝手口の引き戸が開く音が
ふと見ると 猿が
静かに入って来たではないか
親猿のようで その後ろに子猿が続いて入って来た
その頃 地域新聞には「猿が出没」の記事が
まさか 我が家に
それも なんなく引き戸を開ける事が出来るとは
チンパンジーとは違い 野生の猿の凄み有る顔
怖すぎて固まってしまった
ただ その時はまだ親子猿の目線からは私が見えていない
入って来た後 真っすぐ進み
私の真正面(離れてはいるが)壁に掛っている物を見上げた親猿
その瞬間 私はハッとした
少し前までストーブに当たっていた息子が
又ストーブに当たる為に戻って来るのだ
そしたら 猿と鉢合わせになってしまう
思わず「〇〇~ こっち来ちゃダメ~」
その瞬間 親猿がクルッとこちらに振り返った
わっと思ったと同時に
親猿がこちら目掛けて走って来たかと思った瞬間
私の前に有ったテーブルの前で大きくジャンプ
私はとっさにかがみ込み 右腕で顔をかばった
その右腕をガブッと噛まれた
そして 気が付いた時には親子猿の姿は無かった
今でも強烈に覚えているのが
振り返って目と目が合った時の敵対視した顔
そして 何秒かの出来事なのだろうが
凄い勢いでジャンプして来た時の猿の形相
噛まれた傷は厚手の服を着ていたので
深くは無かったが 病院に行って手当してもらった
それにしても よりによって私の誕生日になんて
手荒い祝福を受けた