気持ちを切り換えなければ、と思いながらも、俺はまだモヤモヤしていた。
しかし、すぐに、昨日言われていた、お得意さんとの打ち合わせに同行した。
議事録の自動作成ソフトのデモも兼ねていたので、新人秘書という設定の俺はノートPCの動きを見ていればよかったので助かった。
彼の方は、朝のあの暗さが信じられないほど、明るい表情で、慣れた様子で笑いも取りつつ商談を進めていた。相手方の担当者たちも笑顔で、いいムードだ。
そして、彼は今日の案件もソフトの開発の仕事も受注することになったのだった。
しかし、会社への行きも帰りも、彼は無言だった。俺としては明るい雰囲気にしたかったのだが、ここは彼に任せることにした。