「傾国のラヴァーズ」

ボディーガードの翔真は訳有の美青年社長・聖名(せな)の警護をすることに…(閲覧者様の性別不問) 更新情報はX🐦にて

小説「傾国のラヴァーズ」その31・消えない空白

2023-04-15 21:24:00 | 傾国のラヴァーズその31~40
 俺は嬉しくなって、
「ワインですか。いいですね 。でも平日なのに大丈夫ですか?」
 ノンアルコールではないのも気になったが、中止になるのが嫌で 、それは言わなかった。
「うん。ていうか海原センパイの歓迎会 っていうことで。自宅で悪いけど」
 一瞬は喜んだが…
 思えば昨日のあの空白は、何だったのかと思うとまだモヤモヤするが、
「じゃあ お言葉に甘えてお願いします!」

 …ワインはキラキラ輝く スパークリングワインだった。
 さらに料理も俺の目から見てかなりのごちそうだ。
「すごいなあ」
 俺が何気なく言うと、彼も何事もなく、
「このために 昨日少し買い出ししたから」
と言う。
 俺はフリーズしてしまった。
「それで 雲隠れしていたのか?」
「それについては本当にごめんなさい。そして食料買い出しに行ったのは日曜日。記憶違い」
 日曜はまだ俺の常駐が決まってなかったはずだが…まあいいか。

「昨日は本当に会合で、金策ではないからね。 信じて」
「いやそれは全く思わなかったけど…」

 そうか。
 彼は社長なんだから、よその社長と同じように、資金繰りが厳しい時は走りまわることもあり得たわけか。

 でも、彼の元気のなさを見る時、やっぱり誰かに何かされたんじゃないかという気がするのだ。
 しかしそれは当たっているようで、怖くて何も言えなかった。





コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。