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卒業レポート2024 新幹線と航空の相互関係

2025-01-22 05:32:15 | 卒業レポート
皆さんこんにちは🌞
2年の岩井です。

今回は、私の卒業レポートについてご紹介します。

私の卒業レポートのテーマは
「新幹線と航空の相互作用~地域間交通網の競合と補完関係の分析~」
です🚅✈

大学で航空業界について学ぶ中で、これらの交通手段が果たす役割やその相互関係に興味を持つようになりました。

また、自分の就職先である鉄道業界からの視点から、航空業界との関係性をさらに深く理解する必要性があると実感しました。
特に、地方における新幹線と航空の競争や協調が、交通の効率性や地域社会にどのように影響を与えているかを探ることに意義を見出しました。

また、日本において、鉄道業界と航空業界は、地域間の移動を支える重要な手段として発展してきました。二つの業界は、一見すると競合関係にあるように見えます。

しかし、それぞれの地域の状況や、利用者のニーズに応じて、「競争」と「補完」の関係を持ちながら共存していると考えます。
近年、地方の過疎化や少子高齢化が進行する中で、交通インフラの持続可能な運営が大きな課題となっています。

私は、このような背景の中で、鉄道業界と航空業界が互いにどのような影響を及ぼし合い、地方の活性化や交通需要にどのように応えていくのかが問われていくと考えました。
レポートでは、新幹線と航空が互いに与える影響を明らかにし、地方交通の持続可能な発展に向けた新たな視点を考察しました。

まず、それぞれの交通手段が果たしている役割とその特性について整理し、具体的な事例を通じて競争と補完の実態を分析します。その上で、地方の過疎化問題に対処するための持続可能な交通政策について提言を行いました。

①新幹線と飛行機のそれぞれの特徴と役割
まず、新幹線の特徴と役割について簡単にまとめました。
新幹線は、高速で主要都市間を結ぶJRの鉄道、またはその列車のことをいい、在来線の主要幹線に並行しています。
昭和39年(1964年)開業の東海道新幹線をはじめ、山陽新幹線・東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線・九州新幹線・西九州・北海道新幹線の8路線が運航されています。

現在、日本の新幹線は、都市間輸送の効率化を目的として開発され、全国各地を結ぶ主要な高速鉄道システムとして定着しています。

また、時間に正確な交通手段で、特に都市間の移動においてとても便利です。
例えば、東京から大阪までの移動は約2時間30分で、ビジネスマンや観光客にとって欠かせない交通手段となっています。

新幹線は、飛行機での移動速度に匹敵する高速移動、定時性の高さ、正確な運行時間で運行していることが最大の特徴であり、魅力であると考えます。また、航空機や自動車と比べて二酸化炭素の排出量が少ないため、環境に配慮した移動手段として国際的に評価されています。


次に飛行機の特徴と役割について簡単にまとめました。
飛行機とは、エンジンの推進力を利用して飛行する乗り物のことです。空港を拠点に離陸や着陸を行い、長距離の移動に適している移動手段でもあります。

飛行機の役割は、長距離移動の主要手段であり、地方を活性化できる点です。また、移動速度の速さから、新幹線よりも広範囲の移動が可能で、東京から那覇まで約二時間三十分で到着できます。

また、航空網は主要都市を中心に整備されており、羽田空港や成田空港、関西国際空港、中部国際空港などの拠点空港を通じて、国内外の観光やビジネスの移動を支えています。
私が飛行機での移動で最も重要だと考えることは、日本国内に地方空港が各地に点在していることです。特に新幹線での移動手段が整備されていない地域や、離島への移動手段として重要です。

地方空港は、都市間の接続だけでなく、観光地へのアクセスを提供することで、地域の観光業を活性化させています。例えば、北海道や沖縄などの観光地では、空路を利用する観光客が多く、観光産業の成長に寄与しています。また、貨物輸送にも活用されており、農産物や生鮮食品の迅速な輸送が可能で、地域経済の発展にも貢献しています。

航空機移動の特徴として、まず、地上交通にはない便利さがある点です。移動距離が長ければ長いほど、その効率性が発揮され、時間を重視する利用者にとって価値があります。

②WEBアンケートでの調査
航空業界や鉄道業界に詳しい人だけでなく、一般的な視点からの意見も知りたいと思い、「地方へ移動する際の交通手段」について匿名で計30人の回答を集めました。
調査方法は、GoogleFormでアンケートを作成し、Instagramで回答を呼びかけました。

高校生2人、大学生25人、社会人3人の合計30人の人にご回答いただきました。

◎質問1【(東京▶青森)地方への移動の際、飛行機か新幹線等鉄道、どちらを利用しますか?
(30人中)】

回答
新幹線等の鉄道→24人(80%)
飛行機→6人(20%)

◎質問2 質問1で【新幹線等の鉄道を選択した理由(22件の回答)】一部抜粋

・飛行機より安い。
・飛行機より荷物の預かりなどがなくて楽だから。
・本土は新幹線で行く。北海道や沖縄は海をまたぐから飛行機。
・空港まで遠いから。

◎質問3 質問1で【飛行機を選択した理由(6件の回答)】一部抜粋

・新幹線より早く移動できる。
・意外と飛行機のが安かったりする。
・飛行機での移動が好きだから。

質問1~3からは、東京▶青森の移動に鉄道を使う人が多くいることが分かりました。
また、どちらの理由にも、「金銭面」での理由が多く挙げられていました。

◎質問4 【鉄道について】過疎化などにより利用客が減少したローカル線は、赤字で
維持困難であっても運営を続けるべきだと思いますか?

回答
運営を続けるべきである。→27人(90%)
廃線にするべきである。→3人(10%)

◎質問5 質問4で「運営を続けるべきである」を選択した【理由(27件の回答)】一部抜粋

・少なくとも利用する人がいるから。
・さらに過疎化が進むかもしれないし、必要としている人がいると思うから。
・ガソリン代が高騰する今だからこそ、鉄道がないと移動が困難な人も出てくると思ったから。
・その町の人には大事なものだし、その鉄道を利用して町の活性化ができるかもしれないから。

◎質問6 質問4で「廃線にするべきである」を選択した【理由(3件の回答)】

・身体的理由により外出できない、鉄道を利用する必要が無い人が多いことにより利用客が減っているため、今後もあまり増える見込みがない。またローカル線は外部からの客の利用率も低いと考えるため。
・赤字になってしまっているということは需要が供給を下回ってしまっているということ。であれば廃線にし、他の交通手段を提供する方がその業務に携わっている人々の生活を守ることにもなるのでは無いかと考えたため。 
・赤字の状態で維持することは難しく地域住民は鉄道に乗って救おうとするが、実際にはその方法は役に立たないから。

質問4、5からは、鉄道に対してポジティブな意見を持っている人が多いことが分かります。


◎質問7 【航空について】利用客が減少している地方空港の路線は、赤字であっても経営を続けるべきだと思いますか?

回答
経営を続けるべきである。→18人(60%)
撤退するべきである。→12(40%)

◎質問8 質問7で「経営を続けるべきである」を選択した【理由(18件の回答)】一部抜粋

・必要な人がいるから。
・余計過疎化が進んでしまう気がするから。
・観光として使えるものだと思うから。
・飛行機は長距離移動ができ、外部からの利用客がまだ見込めるため。
・離島などに住んでいる人は海を渡らない時飛行機しか手段がないのでその時の状況によって選べる。

◎質問9 質問7で「撤退するべきである」を選択した【理由(12件の回答)】一部抜粋

・赤字路線を続けることは会社全体の収益にも関わってくる。路線維持は大切だが、経営面を考えれば廃止すべきである。
・維持が大変、土地が勿体ない。
・飛行機を飛ばす燃料などがもったいない。
・赤字になってしまっているということは需要が供給を下回ってしまっているということ。であれば撤退し、他の交通手段を提供する方がその業務に携わっている人々の生活を守ることにもなるのでは無いかと考えたため。
・飛行機を日常的に交通手段として使う人は少ないと思うから。

質問7~9からは、地方鉄道のローカル線の運営への意見に比べ、飛行機の地方路線に対する意見が分かれていることが分かります。

電気を使用して運行する鉄道より、燃料を使用して運行する飛行機の方がもったいないという意見が多くありました。

◎質問10 地方の交通手段について、持続可能な運営のアイデアがあれば、教えてください。【8件の回答】

・鉄道も飛行機も、便数や運行本数を減らすなどする。
・映えるスポットをつくる。
・本数を減らすことと、駅から出るバスを使うことが良いと思う。
・廃線、撤退しないなら、本数を減らす。予約がない日は飛ばない。
・集客を行う。キャンペーンやサービスを行う。
・自転車。
・TikTokにのせる。SNSの活用。
・乗り合いタクシーなどを導入する。

質問10からは、赤字のローカル線、地方空港路線に対するポジティブな意見を見ることができました。
地方に住む人々のためにも、持続可能な運営が必要不可欠となってきます。
回答8件のうち、3件は「ローカル線と地方空港路線ともに運行本数を減らす」というのが主の意見でした。
利用する人のために、完全に運行を無くすのではなく、本数を減らしたり、利用が多い時間帯や曜日に運行することで、無駄なく運行することができる良い考えだと感じました。

ほかの5件のうち3件は、「SNSの活用」についての意見でした。
地方の広報活動で、若者に向けての発信をすることで、観光客などが増えれば、持続可能な運営ができると考えます。

残りの3件は、自転車やバス、乗り合いタクシーを導入することで地域を活性化させるという意見でした。ローカル線、地方空港路線の本数が減った場合に、利用客に役に立つ制度です。


③考察
私は、地方における新幹線と飛行機の関係性を分析し、考察しました。

新幹線と飛行機は、地方の交通手段において「競争」と「補完」の関係を持っていると考えます。また、双方の関係性はとても複雑なものでもあると考えます。

まず、地方から大都市への移動では、新幹線と航空機移動が競合します。特に300キロメートルから600キロメートルほどの中距離では、駅の立地や定時性などの新幹線の利便性の高さが強みですが、移動距離が長くなると、移動時間の短さで航空機が優位に立ちます。
このように、新幹線と飛行機は「競合」の関係があります。

次に「補完」についてです。日本には新幹線が整備されていない場所があります。



それは四国やそのほかの離島です。
その土地では、飛行機が主な移動手段となり、新幹線の代替的な役割を果たしています。

このように新幹線と飛行機は「補完」の関係を持っています。
そこで、新幹線と飛行機を組み合わせて利用すれば、地方間や地方と都市間の移動ネットワークをさらに効率化することができます。
新幹線は観光地へのアクセスを向上させ、飛行機は地方空港の利用促進を通して、観光業や地域の経済活性化に貢献します。
二つの業界が連携すれば、地域の活性化にさらなる効果が期待できます。
総じて、新幹線と飛行機は、地方交通において競争しながらも、状況に応じて補完的に機能する関係性を持っていると考えます。
この関係性を活かし、効率的かつ、持続可能な交通網を構築できるのではないでしょうか。


④まとめ
これまでの、アンケート、考察を通して、私は、二つの業界の関係性をうまく活かし、地域の活性化に徹していくべきだと考えます。
新幹線と航空機は、地方交通において競争と補完の関係を持ちながら、地域間移動を支える重要な役割を果たしています。
一方で、地方では、過疎化やストロー化現象が進行し、都市部への人口流出や地域経済の弱体化が課題となっています。
両業界の強みを活かし、相互連携を進めることで、地方経済の活性化や観光需要の増加が期待できます。今後、持続可能な交通網を構築し、地方の自立的な発展を支援するために、地域ごとの特性に応じた政策と交通手段の最適化が求められます。
人々が利用しやすい交通網の構築、持続可能な運営を確立することで、地方の交流人口が拡大し、経済発展や観光活性化につながり、地方の過疎化、ストロー化現象を解決していくことができます。


長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

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