とはずがたり

論文の紹介や日々感じたことをつづります

OpenSAFELYを用いたCOVID-19の死亡リスク解析

2020-07-14 12:29:58 | 新型コロナウイルス(疫学他)
OpenSAFELYというのはCOVID-19パンデミックに際してイギリスオックスフォード大学の DataLab、London School of Hygiene and Tropical MedicineのEHR group、そして電子カルテ企業がタイアップして作り上げたNHS電子カルテの解析プラットフォームです(https://opensafely.org/)。2400万人の患者情報を匿名化(仮名化)して解析可能としているそうです。今回OpenSAFELYを使用して10,926人のCOVID-19死亡者のデータを解析して死亡リスク因子を解析したという論文がNatureに出ました。男性 (hazard ratio (HR) 1.59, 95% confidence interval (CI) 1.53–1.65); 高齢と貧困、糖尿病、重症の喘息などがリスクとして抽出されました。また黒人および南アジア人が他の条件を調整しても有意に高いリスクを示しました (HR 1.48, 1.30–1.69 and 1.44, 1.32–1.58, respectively)。OpenSAFELYからはこの他にもpre-printとしていくつかの論文が発表されています。結果の斬新さというよりは、このようなプラットフォームを迅速に作り上げて解析を行うというイギリスの機動力に驚かされます。
Williamson EJ et al., OpenSAFELY: factors associated with COVID-19 death in 17 million patients. Nature (2020). https://doi.org/10.1038/s41586-020-2521-4