とはずがたり

論文の紹介や日々感じたことをつづります

Romosozumabは大腿骨近位部骨折後の骨癒合・機能回復に影響しない

2020-05-13 09:20:48 | 整形外科・手術
m3にこの論文に関する記事が出ていて、はじめは「股関節骨折へのロモゾズマブ、プラセボと有意差見られず 」というようなタイトルだったので、ヽ(*゚O゚)ノ ビックリ!と思って論文を読むと全然違う内容でまたまたヽ(*゚O゚)ノ ビックリ!でした(m3のタイトルはのちに「股関節骨折の術後、ロモソズマブで改善見られず」に変更になりました)。
大腿骨近位部骨折に対して観血的整復内固定術を受けた(ということはおそらく大腿骨転子部骨折がほとんど)患者332人を4群に分け、プラセボ(89人)、romosozumab 70 mg/month(60人), 140 mg/month(93人), 210 mg/month(90人)の投与を行って、その後の骨癒合、TUG(timed “Up & Go”)スコアなどの経過を見たという研究です。術後6週から20週のTUGはプラセボ、romosozumab群に差はなく、股関節のX線撮影連合スコアであるRUSH scoreにも差はありませんでした。有害事象についても心血管イベントを含めて差はありませんでした。
Romosozumabについては骨形成促進作用を有することから骨折治癒促進効果があるのでは、と期待されていましたが、なかなかこういう形で差を出すのは難しそうです。企業側もこのラインでの適応拡大はあきらめたようです。
ということで一番驚いたのはm3のタイトルだったというオチです。


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