RECOVERY trialからメチルプレドニゾロン(MP)の有効性が示されましたが、この論文ではサイトカインストーム(cytokine storm syndrom, CSS)に陥った患者を対象にMPおよび抗IL-6受容体抗体トシリズマブ(TCZ)の有効性を検討したものです。CSSの定義は酸素飽和度≤94%あるいは頻脈(>30/min)を示し、CRP高値(>10 mg/dL)、高血清ferrtin(>900 μg/Lあるいは入院後48時間以内に2倍以上の増加)、高D-dimer(>1500 μg/L)のうち2つ以上を満たすというものです。入院後すぐにMP投与(250 mg IV on day 1, 80 mg IV on days 2–5)を行い、反応が無かったり呼吸状態が悪化した患者に対しては8 mg/kg(max 800 mg)のTCZを単回投与、反応があるも乏しい患者にはMP投与の2日間延長というもので、比較対象は以前に治療した患者から重症度などをあわせて選ばれています(historical control)(いずれもn=86)。Primary outcomeである退院あるいはWHO重症度分類2段階以上の改善を達成した患者は、治療群で79%高く(HR: 1.8)、secondary outcomeである院内死亡率は65%低く(HR: 0.35)、補助換気が必要な患者も71%少ない(HR: 0.29)というものです。現在RECOVERY trialでもTCZの有効性が検証されていますが、重症COVIS-19患者に対するMP→TCZ治療というのはどうも確立されつつあるようです。
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