とはずがたり

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周術期心血管合併症について

2020-07-28 09:51:51 | 整形外科・手術
周術期合併症のうち、心筋梗塞などの心血管障害は患者死亡にもつながる重篤な合併症であり、適切なリスク評価、そしてできれば予防が望まれるものです。我々も術前検査としてルーチンで心電図検査は行っていますし、何らかの問題がある患者については循環器内科にリスクを評価していただいてますが、結局よほどリスクが高くなければ、(不安を感じつつも)ある程度のリスクは覚悟して手術を行う、という選択肢に落ち着くことが多いです。
このreviewでは心臓手術以外の手術における周術期心血管合併症について、リスク評価、検査、予防の現在の知見をまとめてくれています。内容を自分なりに要約しますと
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①もちろん手術の種類ごとにリスクは異なります。一般的な整形外科手術は≥1% risk(中リスク)、脊椎外科を含むと思われるneurosurgeryは消化管手術と同じ≥3% risk(高リスク)に分類されています。ちなみに<1%の低リスクは白内障手術、美容手術など、≥5%の最高リスクは大血管手術、胸部手術、移植などになっています。
②術前評価としてAmerican Society of Anesthesiologists (ASA)分類が使われることが多いと思います。ASA class Iでは0.1%、class IVでは18%の心血管合併症リスクがあるとしています。6-component Revised Cardiac Risk Indexも使
いやすくてお勧めだそうです。
②12誘導心電図は心血管障害の既往がある患者や高リスク手術患者には行ったほうが良いし、Q波心筋梗塞などの臨床的にsilentな異常を捕捉するのには役立つが、低リスクの手術の場合にはいらないかも。心エコーや負荷心電図もリスクの高い患者のみが妥当。
③冠動脈造影は非常にリスクの高い患者に行われますが、術前に血行再建を行うことで術後死亡率が低下するというエビデンスはないそうです。
④リスクの高い患者の術後リスク予測にBNPやNT-ProBMPなどのマーカーは有用そう。
⑤βブロッカー、aspirin(バイアスピリン)、スタチン、ACE inhibitorやARBなどの術前使用が術後心血管イベントリスクを下げるというエビデンスはない。バイアスピリンや抗凝固薬を術前から使用している患者について、術前に休薬するかどうかはrisk-benefitバランスで決める。中止した場合のbridgingは必ずしも必要ないが、弁置換を行った患者やVTEの既往がある場合はbridgingした方がよさそう。
⑥75歳以上の高齢者、救急手術はリスクが高いので注意。ステントを入れた患者についてはその後の手術はなるべく先延ばしの方がリスクは少ないが、実際は6カ月以内で手術を受けている患者は多い。PCIを行って6週間以内に手術を受けた患者で11.6%心血管合併症があったという報告もある。
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かなり端折ってますし、間違えもあるかもしれませんので、関心のある方は是非原著にあたってください。 





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