高難度の手術をhigh volume centerに集中させることで手術成績を向上させるというのは非常に合理的な方向性だと思います。しかしアメリカでも” For some procedures targeted by these initiatives, there are too few high-volume hospitals.”というような状態だと、日本だと条件を満たす病院はさらに少なくなると思われます。また"Although many studies have demonstrated an association between higher surgical volume and better perioperative outcomes, the underlying mechanisms remain unclear. "とあるように、high volume centerで手術成績がよい真の理由は不明だというのも、確かにそうだろうなと思います。術者の技量だけではなく、病院の設備、術後ケアの手厚さ、リスクマネジメントなど、手術成績にはhigh volumeというだけでは語れない部分も多く、low volumeでも大変よい成績を残している病院も(特に日本では)たくさんあります。また高難度手術を集中させるのであれば、その分その病院への人的配置や診療報酬は手厚くしてあげないと、働いている医療従事者は燃え尽きてしまいます。このあたりは民間保険が中心のアメリカの方が病院間の格差をつけやすいかもしれません。患者の病院へのアクセスをどのように確保するかは、日本人の大好きな「治療機会の平等」のためには重要でしょう。ということで色々と問題はありそうですが、手術を受ける側としてはhigh volume centerで受けたいという希望も強いでしょうから、是非日本でも(厚生労働省には)前向きに検討してもらいたいです。
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