日常にサスペンスという彩りを

火曜サスペンスごっこにまつわるあれやこれや

初めての昭和レトロラブホ

2020-07-26 00:25:04 | 日記
15年前の話。
私が就職してはじめての夏休みのことでした。当時の彼氏と旅行しようということになり彼氏の車で長瀞(埼玉県)に行くことになったのです。

今のようにネットで旅館をすいすい予約できるわけでもなく宿に電話をかけて予約する時代だったので、「旅館調べるのめんどくさいし行った先でラブホに泊まればよくない?」という行き当たりばったりの旅となりました。

長瀞まで一般道を彼氏の運転でのらりくらりと向かいました。夏の日差しが眩しい中、他愛のない話をしてドライブを楽しみました。

ガラケーで写メを撮る時代でした。スマホにカメラが内蔵されていて出先で手軽に写真が撮れない時代です。今でこそ何にでもカメラを向けて写真を撮りますが当時は写真を撮ることって特別だったんですよね。記念のときにカメラやインスタントカメラを持ち出して現像に出して。
振り返ると時代ってあっという間に変わるのですね。
あの旅行の写真は1枚もないので朧気な記憶をたどるしかないのです。どんな服を着て、何を食べ、どんな話をしたかなんて全然覚えていないのですよ。

ただ覚えているのは眩しい夏の道をドライブしたこと、川に入ると汚れるからと言って遠慮していた彼は最終的に膝まで水に浸かって楽しそうにしていたこと、私も裸足で川に入って楽しかったこと、そんなもんです。

そのなかでひとつだけ印象的だったのが長瀞の夜でした。

日も暮れ町の灯りなんて概念がない田舎の何もない国道を「そろそろ今日の宿を探そうか」なんて呑気に車を走らせていたのですが、ラブホテルどころか建物がない!

何もない。民家はぽつりぽつりと散在しているけどもラブホ、民宿、旅館、なにも見当たらないのです。
電柱や看板のホテル案内を見かけ行ってみるも辿り着けなかったり満室だったり。
レモン、というラブホの看板を見かけたようなきがしています。あとはちょっとお城みたいな白いホテル、そこは入れなかったのかな。

時間も遅くなり宿泊地が決まらないことに焦りが出てきます。
「ないね」
「どうしようか…」
不穏な空気。

そこへ手書きの看板のモーテルみたいな謎システムのラブホ?を発見し、入ることになりました。

駐車場はあるけどここに勝手にとめていいのか、フロントはどこか、かなり混乱しました。ガレージタイプのホテルだったようで車を泊めて部屋に入るシステムでした。
「なんだかよくわからないね」
と不安になりながらも無事に泊まれることに安心して、夕食のコンビニ弁当を食べ床につきました。
『古い、なんとなく怖い、知っているラブホと違う』という感情は強烈な体験として今でも記憶に残っています。
特にお風呂が怖かったです。

翌日「なんか古くて怖かったね」などと話ながら帰路につきました。

多分昭和レトロなラブホ(モーテル?)との初めての出会いだったと思います。

そんなことをふと思いだして長瀞周辺のホテルをストリートビューでみていました。

そしたら!

あ!という建物があったのです。


手書きの看板!
ガレージタイプと思われる客室。

旅荘長瀞というのか。
古いラブホだと思われるのでインターネットに写真などはないだろうなと思っていたらこちらに行かれた方のツイートを発見!


↑上記ふわたんさんのツイートから画像をお借りしました。

あぁ~!
ここだ!こんな部屋だった!あぁ~!

記憶の中のあの部屋が今日甦りました。記憶の答え合わせができたのです。めちゃくちゃ興奮しました。

壁紙などは多分新しくしてらっしゃるでしょう。ベッドの配置とソファーの座布団は確かこんな感じだった気がするのです。15年ぶりの再会…笑

今でこそレトロなラブホを好み出向いていますが当時の私から見れば古くて見たことがない世界に怯えていたのです。何をきっかけに何を好むかわからないものですね。
いつか機会があったらまたここに行きたいです。思い出を懐かしむのと改めて鑑賞したいという名目で。
多分車じゃないと無理なので私の運転で決死のドライブになるかな…。あの頃の楽しさとは違う楽しさに出会える気がします。まだ営業しているといいな、旅荘長瀞。


※ちなみにレモンというラブホは閉業しているようでした。