弓前文書(ゆまもんじょ)とは、「神文」と「委細心得」という二つの文書をさす。
「神文(かみふみ)」とは、文字の無い倭人が弥生時代から口伝で伝えてきたものを、七世紀初頭に香取神宮の神官であった弓前値成(ゆまあてな)が、万葉仮名を参考に漢字を利用し文字化した。その特徴は、倭人語の一音の意味に近い文字を選びだし、その発音は倭人の発音とした。発音を借りた万葉仮名とは大きく異なる。万葉仮名は音読み、に対して、いわゆる、訓読みと考えれば良いだろう。また、漢字に無い特殊文字も創作して使用している。
「委細心得(いさいこころえ)」は、「神文」の取り扱いや、経緯が漢文で書枯れている。
弓前文書原文の神文は、縦四十五センチ×横十八センチ×厚さ三ミリ~五ミリの木板七枚に、それぞれ一行十字、上下二段十四行にわたって、隙間なく書き込まれた漢字(変体形を含む)九八〇字である。
代々の神官が受け継ぐ秘文とされ、第67代弓前和(ゆまに)の池田秀穂により、解読、公開された。
池田秀穂は次のように述べている。
私はいま、まず神文を公開し、さらに「ユマニは他言すべからず」の秘聞まで公開してしまった。ユマニの守るべき掟はすべて破ってしまった。当然神罰あるだろう。わが家滅ぶべし。(中略)すべて覚悟の上。「弥生の言葉と思想が伝承された家」(朝日カルチャーセンター)
それから(作り始めてから)丸五年、平成五年末、上下二巻五百頁の大冊、『弥生の言葉と思想が伝承された家』五百部が完成した。有名神社、大学、親戚、友人、縁故は勿論のこと、朝日カルチャーセンターに五十部委託し、出入りの学者に頒布していただくようお願いする等、様々に伝手を求めて頒布していただいたのであった。こうして置けば何れの日か、種から芽が出ることだろう。「日本曙史話」(沖積舎)
池田秀穂は、覚悟をもって弓前文書を世に出し、そして研究されることを望んでいる。
神文(現代語訳文)
(第1章)
大宇は意図す、大自然変化の流れ。行く道筋、始まりの秩序立て。
大宇は意図す、原点の真相は、事態の自在無限なる疎密運動にある。
大宇の秩序立ては、事態が驚きの無限力塊の姿となったことである。
(第1節)
大自然、始まりの芽生え。
物質を造るという驚きの意志が生まれた。
力は発動した。物質を造るという驚きの意志のそれだ。
出現莫大なる増殖、爆発的に数多火の玉の素粒となった。
宇宙の心、溢れ出た力は奇しき大本となって、大震動を起こし、秩序立てられて行く。
宇宙の秩序立ては、纏まろうとする力が働いて行く。
宇宙の秩序立ては、数多流れ出す自由力の永久不変の形成にあった。
宇宙の姿は、不思議な数多纏まりの力が働き合っている。
宇宙の姿は、さまざまな星で満たされている。
(第2節)
恵みの太陽が、輝き出した。
宇宙形成のなか、ガスが纏まり行く。
宇宙における、形造られ行く力体となった。
宇宙の流れ、秩序立ての大きな垣根が造られる。
宇宙における、核を取り巻く数多の力が覆う集積体となった。
宇宙の流れ、圧縮され混沌状態になる。
宇宙における、灼熱の基が造られた。
宇宙の流れ、灼熱は輝きの放射となった。
宇宙における、輝く存在となった。
(第3節)
大いなる秩序の集積が形成され出した。
大いなる垣根が保たれた。
燃える灼熱体で満たされてゆく。
吸いこまれる数多灼熱の塊。
浮きあがる様々な灼熱の塊。
どんどん変化して行く岩盤。
乱雑に重なり合う岩盤。
入や(いや)盛り上がり寄せ集まつた所。
浮き上がったものですっかり満たした所。
(第4節)
いわゆる生命現象を持ったものが出現、蔓延しだした。
自然力結実の世代。
自然カの結実は小さな現象として芽生えた。
自然意志増殖の生態。
自然意志によって動く単体が出現した。
遺伝、種子増殖の世代。
自己意志による統一活動体が出現した。
親接(雌雄)増殖の生態。
生命有限の個別現象が出現した。
(第2章)
大宇は意図す、大自然変化の流れ。行く道筋、移り行く秩序立て。
ああ威大なる熱と光の太陽の恵み、与え続ける力の流れ。
ああ威大なる総合秩序、さまざまの与え続ける力の流れ。
(第1節)
大空この虚空に踊るもの(それは次に示す通り)、充ち充ちたる不思議なる大本は、因果は幾重にも重なり動いている。
ああ威大なる照り輝く実体。
明るく照り輝く実体。
光り輝き続ける星。
巨大な力が流れ出ている星。
自に見えぬ力を持つ星。
燃える恐ろしい星。
目に見えぬ力を持つもの。
映える粒子。
(第2節)
ああ威大なる恵みを与える総合の流れ(それは次に示す通り)、自然に醸され、形成され溢れ出た力の流れである。
大空より降り注ぐ威大な力の流れ。
大地から湧き上がる組織的な力の流れ。
稲妻の流れ。
火炎の流れ。
風の流れ。
水の流れ。
生き物が造り出す力の流れ。
岩石土砂が造り出す力の流れ。
(第3節)
豊かに生み育てる母なるもの(それは次に示す通り)、生育完成、余剰から増加へとの一元の力の流れである。
秩序を生み出す霊力。
自然力を捕捉し活性化する。
水という媒体の霊力。
秩序体を捕えわが物とする。
余分の力を生み出す霊力。
意志を分化、籠らせ、寄せ集める。
分体を造り出す霊力。
充実するとその雛形を分離する。
(第4節)
生まれ出る秩序体の過程は(次に示す通り)物事にはすべて生命がある。
妙なる力が醸し出される意志の段階。
自然力から分化した真の意志。
与えられた力が流れ出す意志行動の段階。
力を行使する基本意志。
物質組織段階。
物質形成の意志。
現世対応の段階。
秩序現象を続けようとする意志。
(第3章)
大宇は意図す、大自然変化の流れ。行く道筋、永久の秩序立て。
大自然変化現相。
大自然変化現象。
(第1節)
新羅万象は、大自然保有力が起こす因果の永久輪廻運動である(これを輪廻因の法則という) 。
因縁結実相。
自然力吸収象。
事物発現相。
自然力集中現象。
事物分解相。
自然力解放現象。
余韻因果相。
自然力拡散象。
(第2節)
現実その裏に潜む意志の力は、現実が積み上がって行くうちに、意志は薄れ、力を失い、現実は永久の風化物となる(これを有限集゛(じゅ)の法則という) 。
あるきっかけで自然力は意志として活動して現実の種となった。
定められた因縁に従って発芽増殖分化して雛形となった。
その結果、定められた通り形成され充実し、有り余れる力を持つものとなった。
現実の積み重ねが増すにつれて、生まれる力は流れ去る。
定められた通り現実は風化しカは失せた。
(第3節)
始まりあれば必ず移り行くあり、その軌跡は影を永久に残す(これを無限覆の法則という) 。
大自然の威大な有り余れる力が輪廻している。
因縁の原点、大本の心の意図する所は。
初めの緒(いとぐち)は混沌から秩序立て完成へと進んで行く。
力の集積体が出来上がり、それが明らかに照らし出す現世その太陽の下。
あるきっかけで大本の意志が分化し、発動し、その現れは物質化の種となった。
芽は霊妙に定められた通り育ち行く。
集積、増殖、分化して妙なる現象となった。
余分のカは現象の増大に変化し。
現象が重ねられて行くうちに、根や木の芽のような秩序体に力は転換されて行く。
現象は異物、風化物に変わり消滅し、散り行く。
混沌は行きわたり覆い尽くして、因縁の原点に返ってしまった。
その軌跡の影だけは永久にのこる。
(第4節)
さまざまな因果によって生まれ、形成されて来た過去(次に示す通り)に戻って行くなれば、その間の罪穢れは消え失せ、大自然の心に帰一する(これを帰納充凝因゛の法則という) 。
威大な大自然の余剰力が輪廻する、その意志の中にはさまざまな因縁を持つ数多因子が蠢き回っている。
意思の因子が輪廻の力と邂逅し、結実に至る段階を大本の世界という。
与えられた力を発動して次々自然力を集中させて行くのは、結実してこの世に出た雛形である。
この現実の意志が力を獲得している段階を、生長の世界という。
取得した力を消耗して行くのが、完成した現実である。
現実を維持し、また分派して行く段階を、力の移り行く世界という。
持てる力はなくなった。ただ生きようという意志がある。
過去の影なる段階を、見えない道を行く世界という。
(第4章)
大宇は意図す、大自然変化の流れ行く道筋、秩序立てへの順応。
(第1節)
この世の姿誘(いざな)うは、周囲の霊を誘発し、秩序をたてて醸しだせ。
自然の心分霊(わけひ)となれり。
意志は籠りて倍々増える。
力は溢れ、さらに増え行く。
道に生きたり、ああ生みの母。
さらに増え益し、弥(いや)重ね積む。
周囲の霊気誘われ震う。
自然の力集まり来たり。
自然に種が姿を見せむ。
(第2節)
現実阻む罪穢れ、自然の流れ張り放つ、秩序を立てて醸し出せ。
威大な力が輪廻する。
現れにける大自然。
この現実の浮世にて。
罪と穢れは行く道塞ぐ。
霊気震えば妙なる流れ、障りはすべて融し込む。
霊気張り出し過去の世界へ。
かくして行く手は晴れやかに。
宜しき萌(きざ)しは弥(いや)萌え出でむ。
(第3節)
現実の主その力、自然の力を吸い寄せる、秩序を立てて醸し出せ。
自然心凝(こ)りて分霊と纏まりて。
力は横溢発動し、物の種とはなりにける。
種の定めに従がいて倍加、分裂、増殖し、かくは雛子となりにける。
さらに奇しくも成長し力余れる物となる。
己の維持と後のため齢を重ね力失せゆく。
垢は霊気に洗われて霊気も力失いつ。
統(すぶ)る霊気は震い立て新たな縁を求めなむ。
空虚を造れ震い立て、ここに縁をば迎えなむ。
空虚が迎えし大霊気。
新たな力得たりける。
統ぶる霊気を鎮めませ。
霊気の流れ分霊のカまた新たなり。
(第4節)
生きる意思なる生垂増(いくたま)は何処(いずこ)へ道を辿(たどる)やら、真の姿おしえなむ。
威大な力が輪廻する。
自然変化の道筋に。
浮世の世界を歩むうち生きる力を失いて。
生きる力を失いて辿るは何処生垂増は。
因果の影へと迷い込む。
自然の力を吸い取りし。
生まれ出て来た元の道。
罪も穢れもその道に通り過ぎれば何もなし。
浮世の心霧晴れむ。
流れ来たりし始まりの。
分霊(わけい)となりしはこのところ垂増(たま)は垂真(たま)なり今覚めぬ。
奇しき廻(めぐ)りに生き会いて、妙なる所に至るべし。
威大な力が輪廻する。
生まれる基のこの力。
元の垂真とて改まり。
輪廻の流れの一因子、自然の心と融けて行くらむ。
「神文(かみふみ)」とは、文字の無い倭人が弥生時代から口伝で伝えてきたものを、七世紀初頭に香取神宮の神官であった弓前値成(ゆまあてな)が、万葉仮名を参考に漢字を利用し文字化した。その特徴は、倭人語の一音の意味に近い文字を選びだし、その発音は倭人の発音とした。発音を借りた万葉仮名とは大きく異なる。万葉仮名は音読み、に対して、いわゆる、訓読みと考えれば良いだろう。また、漢字に無い特殊文字も創作して使用している。
「委細心得(いさいこころえ)」は、「神文」の取り扱いや、経緯が漢文で書枯れている。
弓前文書原文の神文は、縦四十五センチ×横十八センチ×厚さ三ミリ~五ミリの木板七枚に、それぞれ一行十字、上下二段十四行にわたって、隙間なく書き込まれた漢字(変体形を含む)九八〇字である。
代々の神官が受け継ぐ秘文とされ、第67代弓前和(ゆまに)の池田秀穂により、解読、公開された。
池田秀穂は次のように述べている。
私はいま、まず神文を公開し、さらに「ユマニは他言すべからず」の秘聞まで公開してしまった。ユマニの守るべき掟はすべて破ってしまった。当然神罰あるだろう。わが家滅ぶべし。(中略)すべて覚悟の上。「弥生の言葉と思想が伝承された家」(朝日カルチャーセンター)
それから(作り始めてから)丸五年、平成五年末、上下二巻五百頁の大冊、『弥生の言葉と思想が伝承された家』五百部が完成した。有名神社、大学、親戚、友人、縁故は勿論のこと、朝日カルチャーセンターに五十部委託し、出入りの学者に頒布していただくようお願いする等、様々に伝手を求めて頒布していただいたのであった。こうして置けば何れの日か、種から芽が出ることだろう。「日本曙史話」(沖積舎)
池田秀穂は、覚悟をもって弓前文書を世に出し、そして研究されることを望んでいる。
神文(現代語訳文)
(第1章)
大宇は意図す、大自然変化の流れ。行く道筋、始まりの秩序立て。
大宇は意図す、原点の真相は、事態の自在無限なる疎密運動にある。
大宇の秩序立ては、事態が驚きの無限力塊の姿となったことである。
(第1節)
大自然、始まりの芽生え。
物質を造るという驚きの意志が生まれた。
力は発動した。物質を造るという驚きの意志のそれだ。
出現莫大なる増殖、爆発的に数多火の玉の素粒となった。
宇宙の心、溢れ出た力は奇しき大本となって、大震動を起こし、秩序立てられて行く。
宇宙の秩序立ては、纏まろうとする力が働いて行く。
宇宙の秩序立ては、数多流れ出す自由力の永久不変の形成にあった。
宇宙の姿は、不思議な数多纏まりの力が働き合っている。
宇宙の姿は、さまざまな星で満たされている。
(第2節)
恵みの太陽が、輝き出した。
宇宙形成のなか、ガスが纏まり行く。
宇宙における、形造られ行く力体となった。
宇宙の流れ、秩序立ての大きな垣根が造られる。
宇宙における、核を取り巻く数多の力が覆う集積体となった。
宇宙の流れ、圧縮され混沌状態になる。
宇宙における、灼熱の基が造られた。
宇宙の流れ、灼熱は輝きの放射となった。
宇宙における、輝く存在となった。
(第3節)
大いなる秩序の集積が形成され出した。
大いなる垣根が保たれた。
燃える灼熱体で満たされてゆく。
吸いこまれる数多灼熱の塊。
浮きあがる様々な灼熱の塊。
どんどん変化して行く岩盤。
乱雑に重なり合う岩盤。
入や(いや)盛り上がり寄せ集まつた所。
浮き上がったものですっかり満たした所。
(第4節)
いわゆる生命現象を持ったものが出現、蔓延しだした。
自然力結実の世代。
自然カの結実は小さな現象として芽生えた。
自然意志増殖の生態。
自然意志によって動く単体が出現した。
遺伝、種子増殖の世代。
自己意志による統一活動体が出現した。
親接(雌雄)増殖の生態。
生命有限の個別現象が出現した。
(第2章)
大宇は意図す、大自然変化の流れ。行く道筋、移り行く秩序立て。
ああ威大なる熱と光の太陽の恵み、与え続ける力の流れ。
ああ威大なる総合秩序、さまざまの与え続ける力の流れ。
(第1節)
大空この虚空に踊るもの(それは次に示す通り)、充ち充ちたる不思議なる大本は、因果は幾重にも重なり動いている。
ああ威大なる照り輝く実体。
明るく照り輝く実体。
光り輝き続ける星。
巨大な力が流れ出ている星。
自に見えぬ力を持つ星。
燃える恐ろしい星。
目に見えぬ力を持つもの。
映える粒子。
(第2節)
ああ威大なる恵みを与える総合の流れ(それは次に示す通り)、自然に醸され、形成され溢れ出た力の流れである。
大空より降り注ぐ威大な力の流れ。
大地から湧き上がる組織的な力の流れ。
稲妻の流れ。
火炎の流れ。
風の流れ。
水の流れ。
生き物が造り出す力の流れ。
岩石土砂が造り出す力の流れ。
(第3節)
豊かに生み育てる母なるもの(それは次に示す通り)、生育完成、余剰から増加へとの一元の力の流れである。
秩序を生み出す霊力。
自然力を捕捉し活性化する。
水という媒体の霊力。
秩序体を捕えわが物とする。
余分の力を生み出す霊力。
意志を分化、籠らせ、寄せ集める。
分体を造り出す霊力。
充実するとその雛形を分離する。
(第4節)
生まれ出る秩序体の過程は(次に示す通り)物事にはすべて生命がある。
妙なる力が醸し出される意志の段階。
自然力から分化した真の意志。
与えられた力が流れ出す意志行動の段階。
力を行使する基本意志。
物質組織段階。
物質形成の意志。
現世対応の段階。
秩序現象を続けようとする意志。
(第3章)
大宇は意図す、大自然変化の流れ。行く道筋、永久の秩序立て。
大自然変化現相。
大自然変化現象。
(第1節)
新羅万象は、大自然保有力が起こす因果の永久輪廻運動である(これを輪廻因の法則という) 。
因縁結実相。
自然力吸収象。
事物発現相。
自然力集中現象。
事物分解相。
自然力解放現象。
余韻因果相。
自然力拡散象。
(第2節)
現実その裏に潜む意志の力は、現実が積み上がって行くうちに、意志は薄れ、力を失い、現実は永久の風化物となる(これを有限集゛(じゅ)の法則という) 。
あるきっかけで自然力は意志として活動して現実の種となった。
定められた因縁に従って発芽増殖分化して雛形となった。
その結果、定められた通り形成され充実し、有り余れる力を持つものとなった。
現実の積み重ねが増すにつれて、生まれる力は流れ去る。
定められた通り現実は風化しカは失せた。
(第3節)
始まりあれば必ず移り行くあり、その軌跡は影を永久に残す(これを無限覆の法則という) 。
大自然の威大な有り余れる力が輪廻している。
因縁の原点、大本の心の意図する所は。
初めの緒(いとぐち)は混沌から秩序立て完成へと進んで行く。
力の集積体が出来上がり、それが明らかに照らし出す現世その太陽の下。
あるきっかけで大本の意志が分化し、発動し、その現れは物質化の種となった。
芽は霊妙に定められた通り育ち行く。
集積、増殖、分化して妙なる現象となった。
余分のカは現象の増大に変化し。
現象が重ねられて行くうちに、根や木の芽のような秩序体に力は転換されて行く。
現象は異物、風化物に変わり消滅し、散り行く。
混沌は行きわたり覆い尽くして、因縁の原点に返ってしまった。
その軌跡の影だけは永久にのこる。
(第4節)
さまざまな因果によって生まれ、形成されて来た過去(次に示す通り)に戻って行くなれば、その間の罪穢れは消え失せ、大自然の心に帰一する(これを帰納充凝因゛の法則という) 。
威大な大自然の余剰力が輪廻する、その意志の中にはさまざまな因縁を持つ数多因子が蠢き回っている。
意思の因子が輪廻の力と邂逅し、結実に至る段階を大本の世界という。
与えられた力を発動して次々自然力を集中させて行くのは、結実してこの世に出た雛形である。
この現実の意志が力を獲得している段階を、生長の世界という。
取得した力を消耗して行くのが、完成した現実である。
現実を維持し、また分派して行く段階を、力の移り行く世界という。
持てる力はなくなった。ただ生きようという意志がある。
過去の影なる段階を、見えない道を行く世界という。
(第4章)
大宇は意図す、大自然変化の流れ行く道筋、秩序立てへの順応。
(第1節)
この世の姿誘(いざな)うは、周囲の霊を誘発し、秩序をたてて醸しだせ。
自然の心分霊(わけひ)となれり。
意志は籠りて倍々増える。
力は溢れ、さらに増え行く。
道に生きたり、ああ生みの母。
さらに増え益し、弥(いや)重ね積む。
周囲の霊気誘われ震う。
自然の力集まり来たり。
自然に種が姿を見せむ。
(第2節)
現実阻む罪穢れ、自然の流れ張り放つ、秩序を立てて醸し出せ。
威大な力が輪廻する。
現れにける大自然。
この現実の浮世にて。
罪と穢れは行く道塞ぐ。
霊気震えば妙なる流れ、障りはすべて融し込む。
霊気張り出し過去の世界へ。
かくして行く手は晴れやかに。
宜しき萌(きざ)しは弥(いや)萌え出でむ。
(第3節)
現実の主その力、自然の力を吸い寄せる、秩序を立てて醸し出せ。
自然心凝(こ)りて分霊と纏まりて。
力は横溢発動し、物の種とはなりにける。
種の定めに従がいて倍加、分裂、増殖し、かくは雛子となりにける。
さらに奇しくも成長し力余れる物となる。
己の維持と後のため齢を重ね力失せゆく。
垢は霊気に洗われて霊気も力失いつ。
統(すぶ)る霊気は震い立て新たな縁を求めなむ。
空虚を造れ震い立て、ここに縁をば迎えなむ。
空虚が迎えし大霊気。
新たな力得たりける。
統ぶる霊気を鎮めませ。
霊気の流れ分霊のカまた新たなり。
(第4節)
生きる意思なる生垂増(いくたま)は何処(いずこ)へ道を辿(たどる)やら、真の姿おしえなむ。
威大な力が輪廻する。
自然変化の道筋に。
浮世の世界を歩むうち生きる力を失いて。
生きる力を失いて辿るは何処生垂増は。
因果の影へと迷い込む。
自然の力を吸い取りし。
生まれ出て来た元の道。
罪も穢れもその道に通り過ぎれば何もなし。
浮世の心霧晴れむ。
流れ来たりし始まりの。
分霊(わけい)となりしはこのところ垂増(たま)は垂真(たま)なり今覚めぬ。
奇しき廻(めぐ)りに生き会いて、妙なる所に至るべし。
威大な力が輪廻する。
生まれる基のこの力。
元の垂真とて改まり。
輪廻の流れの一因子、自然の心と融けて行くらむ。