(千歳市の農道で 可愛い小屋をみつけました)
冊子をめくっていたら 絵本作家 森野さかなさんのお話がのっていました
「バケツの水」
はげたか山のボーボー森には、ゴロゴロ岩の洞くつがあって
夜になるとだれかの泣き声が うぉ~んうぉ~ん と聞こえてきます
泣き声は日ごとに大きくな 困り果てた村人が
勇者マヌエルに頼みました。
「きっと怪物がいるのです。どうか退治をして下さい。」
マヌエルが鎧に身につつみ、ボーボー森に入って行って
よくよく洞窟をのぞいてみると・・・泣いているのはクマでした。
「ナンダ、クマくん。 泣いていたのは君だったのか」
クマはボサボサの頭をはげしくふって、ドサドサと足をふみならしました。
「水がほしい。水がほしいよ!」 クマはバケツをかかえていました。
マヌエルはあわてて山をおり、村の井戸に走って行って、
水桶に水を なみなみと満たし、クマのところまで運びました。
「その水をバケツに入れておくれ。 ただ入れるだけじゃ泣きやまないよ
おいらを ほめながら水を入れて」
マヌエルはちょっと困りました。
誰かをやっつけたことはあっても 誰かを ほめたことはなかったのです。
「・・・クマくんは、どうしてほしいのかを、はっきり伝えたのでとても えらい!」
そういいながらバケツに水をザンブザンブと入れました。
.「まだまだ足りない。 まだ足りない!」 クマがうぉ~っと叫びました。
ヌマエルは井戸まで走って行って再び水を汲んできました。
「クマくんは大きな目がかわいい」 ザンブ!ザンブ!
「クマくんは虫歯が1本もない」 ほ~ら、ザンブ!ザ、ザ、ザンブ!
「クマくんは好き嫌いなくなんでも食べる!」 ザンザン、ザンブ!
ザ、ザ、ザンブ! 10回も往復したでしょうか?
マヌエルはヘトヘトになりました。バケツのなかがいっぱいになり、
クマはちょっぴり笑いました。
翌日、朝からクマが泣いています。
「なんだよ! クマくん。バケツの中には水をいっぱい入れてやったろ?」
「だけど今日はからっぽなんだ。 昨日、いっぱいでも、今日はからっぽ!」
クマが大声を出し始めたので、マヌエルは慌てて走って行って、
水をくんでもどってきました。
今日もクマを ほめながら バケツに水を注ぎました。
翌日も翌日も その翌日もバケツがいっぱいになるまで
水を注いでやりました。
そしてある朝 クマのバケツは マヌエルが注いでやらなくても、
たっぷりの水がみちみちていました。
「マヌエル 本当にありがとう。 おかげでバケツが泉になったよ」
そうです! バケツは泉に変わり、
もう注いでもらわなくても、水をわき上がらせる能力が、
きちんと備わっていたのです。
「今度はボクが 誰かのバケツ 愛情でいっぱいにしてみせるよ」
クマがにっこりと笑いました。
読み終わった あと・・
私の携わっている人たち (夫・子供・両親・友人・知人・同僚・患者さん・愛犬)
に マヌエルのように
どれだけ たたえながら バケツに水を注いでやれていたか
自分が泉をもっていないと あたえられるものではないけれど
後悔の念にかられながら 指針にしたいと
考えさせられた おはなし でした
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