[フランクフルト/ロンドン ロイター] - 世界各地の政府や当局者の間で、新型コロナウイルスワクチンが「集団免疫」をもたらしてくれるかもしれないとの希望の声が広がりつつある。人口の3分の2が免疫を獲得すれば、パンデミックを食い止めることが可能で、地域社会もしくは国全体を守ることができるとの計算も聞かれる。
しかし、こうした考え方には幾つかの「ただし書き」が付き、ワクチンが予防し得るかもしれないことにも多くの課題がある点から、そうした期待は間違いだと一部の専門家は警鐘を鳴らす。
ワクチンで新型コロナウイルスの集団免疫を達成する道を探るには、まず複数の要素を確定させなければならない。だが、どうにも分かっていない部分がある。
新型コロナウイルスの感染力は、本当のところどの程度なのか。最初に配布されるワクチンはウイルスの感染自体を止められるのか、あるいは発症や重症化を防ぐだけなのか。人口の何割にワクチンを接種するべきか。ワクチンは誰に対しても、同じ効果を発揮するのか。こうした問題は、まだ究明する必要がある。
欧州疾病予防管理センター(ECDC、ストックホルム)で公衆衛生上の緊急事態への準備・対応を専門とするヨセップ・ヤンサ氏は「集団免疫は個人を守るものだと誤解されるケースがある。集団免疫が存在するから自分は感染しない、と考えるのは適切ではない。集団免疫とはあくまで地域社会が守られる目安で、個々人をどう守るかということではない」とくぎを刺す。ECDCが用いる集団免疫率(ある集団でどれぐらいの人が抗体を持てば、感染拡大が阻止できるかの指標)の推計モデルは最低67%だ。一方、ドイツのメルケル首相は今月、ワクチンないし感染を通じて国民の6割から7割が免疫を獲得すれば、行動制限を解除できるとの見解を示した。
世界保健機関(WHO)の専門家は、ワクチンによって集団免疫を達成する方法として、65─70%の接種率を挙げている。
英エジンバラ大学のエレノア・ライリー教授(免疫学・感染症)は「集団免疫の考え方は弱者を保護するためにある」と説明する。「ある地域や社会の人口の98%がワクチン接種を受ければ、そこではウイルスの数が非常に減少し、残りの2%も守られるという考え方だ。そこが重要な点だ」という。
<鍵を握る基本再生産数>
公衆衛生上の集団免疫率の計算で、根幹をなすのは「基本再生産数(R0=アールゼロ)」という概念だ。これは行動制限が特にない「平時」の環境で1人の感染者が、周囲の免疫を持たない何人に平均して感染させるかを表す。
ワクチンの有効性を100%と仮定すれば、集団免疫率の計算は1から1/R0を引き、これに100を掛ける。つまり非常に強力な感染症でR0が12かそれ以上なら、集団免疫率は最低でも92%必要になるが、R0が1.3の季節性インフルエンザであれば、わずか23%まで低下する。
ウィーン医科大学のビンフリート・ピクル教授(免疫学)は「問題なのは、たとえば予防措置が一切講じられずに、われわれが1年前には経験していたような普通の旅行や社会活動の状態に戻れば、新型コロナウイルスはどのぐらい急速に感染していくか、現時点で正確に分かっていないことだ」と述べた。
ピクル氏によると、現在も多くの国の社会活動などが平時とは程遠い状況にある。そのことを踏まえると、新型コロナウイルスのR0は「2ではなく4に近い」と想定する必要がある。ロックダウンを半分あるいは全面的に実施した状況でも、1.5前後はみておくべきだという。
新型コロナワクチンは米ファイザーPFE.Nと独ビオンテックBNTX.Oの共同開発案件や米モデルナMRNA.Oの案件では、いずれも有効性が90%強との治験結果が出てきている。つまり100%の有効性は期待できないということで、そうなれば集団免疫率に到達するハードルは一層高まる。
米ジョンズ・ホプキンス大学のセンター・フォー・ヘルス・セキュリティーのアメシュ・アダルジャ研究員は、米国での十分な免疫の目標は人口の70%超にワクチン接種を受けさせることになるが、ワクチンの有効性が低いということになれば、必要なワクチン接種率はさらに上がっておかしくないと付け加えた。
<感染を止められるか>
専門家がもう1つ重要とみなしているのは、ある政府が配布に選んだワクチンが、果たして感染を止められるかという問題だ。
今のところ、実用化される「第1世代」のワクチンは少なくとも症状の進行を防ごうというものであって、人々が新型コロナウイルスに感染して、知らないうちに他人にうつしてしまう可能性は排除できない。
英キングス・カレッジのペニー・ワード客員教授は「発症を予防することは、個々人にとっては価値があることだ。しかし、それはウイルスの拡散とワクチン未接種者の感染リスクを防ぐことにはならない」と懸念する。
ドイツのマインツ大学ウイルス学研究所のボド・プラクター教授は、特に呼吸器の感染症の場合はワクチン接種が多少、ウイルス拡散を減らす効果はあっても、ワクチンで完全に阻止するのは難しいかもしれないと語る。「ワクチンの接種を受けた人は、まき散らすウイルスの量が減るのは確かかもしれないが、ワクチン接種だけで(新型コロナの)パンデミックを封じ込められると想定するのは誤りだろう」という。
<弱者の直接保護を>
エジンバラ大学のライリー氏によると、こうしたことから、ワクチン接種を通じて新型コロナウイルスの集団免疫を獲得するという考え方を追求するのは、当面実を結ばないことが示唆される。
むしろ集団免疫の位置付けを完全に変えて、限られた数の第1陣のワクチン供給はそれを最も必要とする人々を守ることに使い、より身体が健康でウイルスに感染しても比較的大事にはならない可能性のある人々のことは心配しないといったアプローチが好ましいかもしれないという。
「弱者を守るために、その他大勢を守ることはいったん忘れよう、弱者を直接守ろうということだ」と訴えた。
下記の記事は東洋経済オンラインからの借用(コピー)です
日本人は「『盛り』が少ない話し方」で損をしている「もったいない……」。私は海外でコミュニケーションの修業をし、そのノウハウを日本に持ち帰って、エグゼクティブに伝授をしているわけですが、毎日、こうつぶやかずにいられません。
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せっかくの才能や商品を上手にアピールできない、いい考えなのに、うまく伝わっていない……。ほんのちょっとだけ、言葉や言い方や見せ方を変えるだけで、魅力は100万倍アップするのに、そのスキルを知らないだけで、「莫大な損」をしているのです。日本人の「コミュ力ノウハウ不足による経済損失効果」はGDP数パーセント分に相当するとさえ私自身は感じています。
この「もったいない」の代表例が、「日本人は世界最強レベルで『謙虚』であるために『盛り』がとても弱い」ことです。
海外に出て、日本の留学生やビジネスパーソンが強く実感するのは、「周りにいる人たちの『根拠のない自信』はどこからくるのか」ということです。中味が薄くても、英語が下手くそでも、堂々と身振り手振りで話す人々と、知識や知見はあっても、おずおずとしか話ができない日本人。
これは別に生まれつきの問題でもなんでもなく、「文化的・社会的な要因」「環境の影響」が大きいわけですが、このグローバル競争時代に、ちょっと「盛り」が少ないだけで、損をするのはもったいないと思いませんか。
自信は、話し方を少しだけ「盛る」ことで、あっという間に促成栽培できるものです。
そこで、「あなたの自信を削ぐ3つの言葉」を紹介します。次の「3つの言葉」をできるだけ、使わないようにしてみる。そんな「小さな変化」が、「マインドを大きく変えていく」のです。
1つ目は「『ワンクッション置く言葉』を削ること」です。
「削ること」で「自分の信念」をさらにアピールできる【1】「~と思います」など「ワンクッション置く言葉」を削る
自分を大きく、自信がある姿を印象付けたいと思うのであれば、最初にこの「ワンクッション置く言葉」を極力減らしてみるところから始めてみてください。その一言とは「~と思います」です。
これまで、「コミュニケーションの家庭教師」として、1000人を超えるエグゼクティブの指導にあたってきましたが、この言葉が口癖になっている人は実に多いのです。もちろん、たまに使うのは問題ないのですが、何回も何回も繰り返す人も少なくありません。
誰でもその名を知るある大企業の社長に、その指摘をすると、彼はこう言いました。「はっきり言い切るのは創業社長で、われわれ、サラリーマン社長は、はっきり言い切るのができないんだよ」と。
でも、次のような「言い換え」は十分できますよね。
お話ししたいと思います → お話しします
ご紹介したいと思います → ご紹介します
今日は〇〇について考えていきたいと思います
→ 考えていきます、考えていきましょう
〇〇が必要だと思っています → 〇〇が必要です
お勧めしたいと思っています → お勧めします!
気がつくと、「~と思います」「~と考えています」などと、ワンクッション置いていませんか。「言い切って、断定調にしてしまうと、傲慢に聞こえるのではないか」という配慮が働くのかもしれませんが、なくても、まったく違和感はないですよね。
「~と思います」を省くことで、文章が短くなり、すっきりとして、より自分が信念をもって話しているという印象を与えることができます。
日本には、敬語だけで、尊敬語、謙譲語、丁寧語などと種類があり、上下関係によって、言葉を厳密に使い分けることを要求されます。そうしたなかで、「『了解しました』が失礼である」などの「間違った謎マナー」が蔓延しているわけですが、一般的に、「へりくだりすぎる言い回し」が多用されているきらいがあります。
2つ目は「『過度なへりくだり』をやめる」ことです。
「主導権をとりたい場面」では過度なへりくだりはいらない
【2】「〇〇させていただきます」など「過度なへりくだり」をやめる
謙譲語とは、相手を敬って、自分を低い立場において話す言葉ですが、本来なら対等であるべき人に、むやみにへりくだる言葉を使うことで、「私はあなたより下の立場にいるのだ」とメッセージを発していることがあります。
カリスマ性を上げたいと考えるのであれば、過度に丁寧すぎる言葉が「仇」になるのです。
例えば、最近よく聞くこの言葉。「〇〇させていただきます」。そこに、「と思います」まで加わって、「ご紹介させていただきたいと思います」などといった言い方をしていませんか。これは「ご紹介いたします」でまったく問題ないわけです。
ご説明させていただきます → ご説明します
務めさせていただく → 務めます
拝見させていただきます → 拝見します
についてお話させていただきます → についてお話します
確認させていただきます → 確認いたします
これで十分ですよね。「一文はなるべく短く、言い切る」ほうが言いやすく、聞き取りやすい。そして、より確信をもっているように聞こえるのです。
日本人は「名刺は相手より低い位置で出す」といったような、極度に自分を小さく、下に見せるしぐさやマナーに縛られ、知らず知らずのうちに、自信なさげにふるまうことに慣れてしまっている一面があります。
丁寧で失礼に当たらない言動は大切ですが、会議やプレゼンなど、リーダーシップや主導権を取りたい場面で、「過剰なまでにへりくだる必要はまったくない」ということです。
3つ目は「『間を埋める言葉』に注意する」ことです。
【3】「えー」「あー」「あのー」など「間の埋め言葉」に注意する
リモートでの会議が増えて、話し手のあの言葉が妙に気になりませんか。リアルで会って話をするときには、それほど気にならないのに、リモートだと声に意識が集中してしまうため、なぜか耳障り。
それが、英語では「filler word(穴埋め言葉)」と呼ばれる、
「えー」「あー」「あのー」
といった「間(ま)を埋める」言葉です。
人は話し方にさまざまなクセを持っています。「『思います』『させていただきます』を多用する」「一文が長い」、あるいは「『●●が~』『●●で~』と語尾が伸びる」などなど、自分では気づきにくい「話し方のクセ」はたくさんあります。とくに、この「穴埋め言葉」は誰でもついつい使ってしまいがちです。
自分ではなかなか気づかない「話し方のクセ」ですが、意識することで取り除くことができます。人前で話すことが大の苦手だった私は、6年前に渡米し、ニューヨークでコミュニケーション修業を重ねました。
アクティングスクールや、ボイストレーニング、プレゼンのワークショップなど無数の現場に通い、「自信を持って話せるスキル」を学びましたが、「トーストマスターズ」と言われる、パブリックスピーキングのサークルにも参加していました。
岡本純子さんのトークイベント『世界最高の話し方』1DAY講座を11/21(土)14時より天狼院書店「Esola池袋店」で実施します。オンラインでの参加も可能です。詳しくはこちら (画像:maruco/PIXTA)
そこで徹底されていたのが、この「穴埋め言葉」をなくす練習です。英語の穴埋め言葉は「um」「ah」「so」「like」といったものですが、自分がプレゼンをしている間に、どれだけそういった言葉を使ったのかをほかのメンバーが数えてくれました。どれぐらい使っているかを意識することで、「穴埋め言葉」は減らしていけるからです。
みなさんもぜひ、スマホなどで「自分の話している姿」を録画してチェックしてみてください。「意識していなかった話し方のクセ」に気づくはずです。
話し方を「ほんの少し変えるだけ」でOK
ほかにも「ジェスチャー」「姿勢」「言い回し」などをほんの少し変えるだけで、「あっという間に自信を持って話せる方法」は数多くあります。
「堂々と話すことができないのではなく、その『正しい方法』を知らないだけ」。誰でもいつからでも、その達人になれます。みなさんもぜひ、「話し方」を変え、「人生」を変えてみてください。