『勤務地シンガポール』

残りの人生どう生きるか迷い続けてこのまま終わってしまいそうです

退職させない理由-とある華人系企業の話し

2008年09月11日 | 就職や転職についてあれこれ

 このブログで「転職理由」について触れることはこれまでも何度かありました。転職時の理由は人それぞれいろいろな理由があります。

 「人はなぜ転職するのか?」という個人的に掲げている命題がありますので、転職理由、特に私の場合は場所柄シンガポール人の転職理由に対しての考察をこれからも続けて行きたいと思っています(笑)。

 そんなおりタイミング良く(笑)、いつも一緒に仕事をさせて頂いている地元系人材会社のK社長と今日お茶を飲む機会があり、K社長からシンガポールならではの面白い話を仕入れて来ましたのでご紹介致します。

 最近K社長のところである企業さんから人材のお引き合いを頂き候補者の人選をされたそうです。それで幸いにしてK社長のところの候補者さんに企業さんからオファーがあったそうです。候補者さんも大喜び(笑)、直ぐに「是非そのオファーをお受けしたいと思います。」と返事があったそうです。

 企業さんと候補者さん、いかにも相思相愛といった感じで、K社長の所へも企業さんから感謝の電話があり、K社長も担当のコンサルタント氏と喜んでいたそうです。

 その後2、3日、まだ喜びもさめぬといったころ、候補者さんからK社長のところへ困ったといった様子で電話がありました。

 「すみません。実はまだ会社から辞表を受けてもらえないでいるのです。。。」と候補者さん。

 シンガポールではよくある話なのですが、会社に残ってもらいたいと思うスタッフが辞表を持ってきたとき、新しい会社が提示しているお給料を聞き、それに対して「カウンター・オファー」を現在の会社が出すのです(笑)。要は「相手はいくら出すって言っているんだ?じゃあうちはもっと出す。」といった感じの内容です(笑)。

 K社長、「カウンター・オファーは良かったですか?」(この辺は流石ベテラン、落ち着き払っています:笑)

 候補者さん、「はい、カウンター・オファーはありました。それでも私は退社して新しいところにお世話になりたいと思っています。ただ今の社長が。。。」

 K社長、「今の社長がなんと言っているのですか?」

 候補者さん、「はい、今の社長がこう言っているのです。そのー、私を採用するとき風水師(風水の占い師)から私の生年月日などを元に占ってもらったそうなのです。そうしたら、“この人材はあなたの会社の重要な柱になる”、と言われたそうなのです。それゆえ10年前私を採用したそうなのですが、今その私から辞められてしまうと、その風水師が言っていた柱が無くなってしまうので、会社が潰れるかもしれない。だから辞めないで残ってくれ。もし辞めてしまって本当に会社が潰れてしまったらどうしてくれるんだ、と言われているのです。」

 その社長さんにとってはとても重要なことだと思いますが、私はその話を聞いて、失礼ながら思わず笑ってしまいました(笑)。いかにもシンガポールの、それも生粋の華人系家族経営の企業にありがちな話だと思えたからです(笑)。

 「私よりあなたが会社の柱です。」とスタッフに言い切れる社長さん、ある意味ではとても潔いではありませんか(笑)。

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“陸(おか)”に戻りたい

2008年09月10日 | 就職や転職についてあれこれ

 皆さんご存知の通りシンガポールは小さい国です。大きさから言えば、よく引き合いに出されるのが「淡路島」です。「淡路島と同じくらいの大きさ」という意味です。

 国が小さいためか、または政府の統治能力が高いためか、シンガポールの政策はとてもはっきりしていて外国人にも分かりやすいです。国として力を入れている「業界」も非常に分かりやすいです(笑)。その中でももっとも重要視しているのはなんと言っても「金融」でしょう。いわゆるお金が集まってくるようにすること。これは独立以来、そして今後も変わることは無いと思います。

 その他の業界を見ますと、例えばこの国が経済的テイクオフをかけた70年代や80年代には「製造業」の時代があったと思います。そのときの日本企業(製造業)はこの国に多大な貢献をしたと思います。シンガポールはあまり大きく言いませんが(笑)、私は特筆すべきと思っています。しかし近年、シンガポール人の賃金のとても上がったため、もはやシンガポールはものを作るのに適しなくなったと言われて、生産拠点を外へ移す動きが主流です。

 そんな中、金融と同じくらい国が力を入れている不動の業界があります。その業界は「海運」です。金融の影にかくれてあまり目立たないかも知れませんが、シンガポールは歴とした海運立国です。

 最近その海運業界の企業さんとのお付き合いが少なからず出てきました。私も業界について、そして営業系の人材の動き方、オペレーション系の人材の動き方など勉強しなければなりません(笑)。

 業界が変わると、いわゆる人材側の「転職理由」も違ってきます。ある案件で現在人選をやらせて頂いているのですが、今日面接に来て頂いたKさんの転職理由は「“陸(おか)”に戻りたい」でした(笑)。一瞬私も「えっ」と聞き返してしまいましたが、Kさん曰く、「ずっと船に乗っていました。それはそれで楽しいことなのですが、家族のこともありますし、この辺で陸(おか)で仕事をしたいとおもいます。」とのこと。なるほど。それぞれの業界で、それぞれの事情、そして転職理由もまたいろいろあるのですね(笑)。

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給料が下がっても転職する人たち

2008年09月08日 | 就職や転職についてあれこれ

 転職を希望している皆さんからは、「自分は現在の給料よりも価値がある」と思いながら活動を行なってもらいたいと私は常日頃思っています。

 法外な要求はダメです(笑)。でもお給料って一所懸命働こうとする重要なファクターですから、自分の「価値」を意識することはとても大事だと思います。

 ところが、中には「現在の給料よりも下がってもいいから転職したい」という方々もいらっしゃいます。そういった方々の場合、多くは大幅なキャリアの変更、いわゆる「Major Career Change」を目指している人たちが多いです。「自分が本当にやりたいことをやる。でもそれについては経験がないので、やらせてもらえるならお給料は下がっていい。」という人たちです。

 日本人的思考では良く理解できる話だと思いますが、驚く無かれ、計算高さに掛けては世界トップクラスであろうと思われる華人系シンガポーリアンの中にもこのような方々はいるのですよ(笑)。先週だけでもお二人出会いました。このようなときはエージェントとしても腕の見せ所で企業側への提案にも力が入ります。SさんとCさんに良いお知らせが出来るようがんばりたいと思います。

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足は大きく踏み出す

2008年09月04日 | 就職や転職についてあれこれ

 「足は大きく踏み出す」という私が好きな言葉はこのブログでも2度ほどご紹介しました。(人材会社の裏メニュー)(複数年契約

 そうした方が物事がうまくいっても、またはうまくいかなかったとしても、「すっきり」した気持ちに成れると個人的には思っています。

 今引越し先の家探しをしていることはこのブログに書いている通りですが、先週末見たある家がとても気に入ったので「○○○ドルで貸してくれ」といういわゆるこちらで言うところの「オファー」を家主に対して出すことにしました。

 家主の言い値はうちの予算をオーバーしています。

 どうしよう。しようがないのでこの際家主の言い値でかりようか。でも借りたら持ち出し分が増える。払っていけるだろうか。などと思いが堂々巡りします。

 そんなときは思い切っていくのがいいです(笑)。ダーンと思い切って出してみるのです(笑)。私は「これくらいで借りられたら満足。そしてもし断られたとしてもすっきりする」という値段を決め、それを家主に伝えました。結果は私よりも高くオファーした人がその家を借りることになり、その家はうちに来ませんでした(笑)。でも気持ちはすっきりです。もし家主の言い値でオファーし、借りることが出来たとしても、心の中には、「もしかしたらもう少し安くてもOKがでたんじゃないか。もうちょっと待ったらもっと値段が下がったんじゃないか。」などという思いが残ったでしょう。

 これは家の話ですが、「希望給与」をエージェントを通して企業側に伝える際も同じようなことが言えます。「こんな金額を希望したら、面接にさへもかからないのではないだろうか。」と皆考えます。「だったら企業が言っている通りの金額、自分はもう少し欲しいのだけど、それに合わせて出そうか。」という気持ちで出して、あれよあれよと言う間に採用が決まったときどう思うでしょうか。「こんなにすんなり決まってしまって、もう少し交渉すれば良かったかな。」このような思いは次の転職の遠因になりかねません。

 少々勢いで書いてしまいましたが(笑)、何かやるとき「足は大きく」踏み出しましょう!でもこの場合の希望給料に関しては、なんでもかんでも思い切っていこうと言っているのではありません。やはりそこには「分相応」というか、自分の能力や価値を冷静に、そしてフェアに見つめる気持ちが大切だと思います。

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推薦状を書いてもらう

2008年08月26日 | 就職や転職についてあれこれ

 うちへコンタクトして来てくれたLさんは現在ある人材会社で働いている「コンサルタント」です。転職するのは何も他の業界や職種に限ったことではありません。我々の業界、人材会社の中で働くコンサルタント達も転職するのです(笑)。

 Lさんのレジュメ、流石は本職(?)だけあってしっかりとポイントをついています。とても興味がそそられました。しかし、それ以上に感心したのはLさんがこれまで対応したお客さんからの「推薦状」を携えていたことです。

 以前この「推薦状」、いわゆるこちらで「テスティモニアル(Testimonial)」と呼ばれているものについては記事に書きました。しかしそれらは一般的に「離職の際に現職場から書いてもらうもの」です。日本的には「在職証明」に近いと思います。でも今回Lさんが持って来てくれたのは「在職中に自分が担当したお客様からの推薦状」で、内容を見ますと、「わが社がこの度人材を採用した際Lさんにお願いしました。Lさんは人材コンサルタントとして極めて優秀で、お陰で希望の期間内に適材を採用することが出来ました。私たちは人材コンサルタントのLさんを自信を持って推薦します。」とこんな感じです。それがそれぞれの会社のレターヘッドで計5社分ありましたから、Lさん大したものだなあと関心した次第です(笑)。

 でもちょっと待てよと、私はそれぞれのレターを見比べて思いました。どれも似ているというか、同じような文面なのです。その瞬間にピンと来ました。それはこういうことです。ひとつの紹介案件が終わったときに、Lさんから企業へお願いしてLさんが作成した文章を企業に読んでもらい、そしてその内容に問題なければ企業のレターヘッドでプリントしてサインをもらうのだということです。

 Lさんは大した営業マンですね(笑)。企業のレターヘッドを使うと「オフィシャル度」はグンと上がりますからね(笑)。

 すべての職種でこのようなことは出来ないと思いますが、サービスの最前線でお客さんと日々接している営業マンの方々にとって、この「お客さんから推薦状を書いてもらう」というのは、ひとつのアイディアになるかと思います。

 思えば、ホームページやチラシなどによく載っている「お客様の声」がこれにあたりますね。これは物を販売したりサービスを提供したりする際「売れる仕組み作り」の一環としてやられている方が多いかと思いますが、転職の際にもこれは大きな威力を発揮すると思います。ご興味のある方は是非試して見て下さい(笑)。

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証明書や資格は常日頃からの一元管理

2008年08月25日 | 就職や転職についてあれこれ

 これまでの卒業証明書や資格証明書を直ぐに提出して下さい、ともし言われたとしたら、皆さんは直ぐに提出できますか?

 私は間違いなく出来ません(笑)。特に小学校当時のそろばん検定などはもうどこへ行ったかも分かりません。卒業証明書なども、どこか箪笥の奥深くしまいこんであるとは思うのですが、直ぐに出して、と言われると出てくるのは運転免許証と大学の卒業証明書くらいです(笑)。

 この点シンガポール人はとてもしっかりしていると思います。ほとんどの人たちが一冊のファイルに小学校から現在までの、そしてどんな些細な資格関係の証明書でもをしっかり管理しています。で、面接に来る際はそのファイルを一冊持参すれば良いという準備の良さです。これはシンガポール人は転職を前提として現在就業しているからでしょうか(笑)。

 証明書や資格関係は常日頃から一元管理を心がけましょう(笑)。

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レジュメを送っただけではダメ

2008年08月04日 | 就職や転職についてあれこれ

 面接をしていて熱くなるときがあります(笑)。

 それは多分この人はこのままではダメだと感じるときです。やりたいことがはっきりとあるのに「もうダメです。自分は十分就職活動や転職活動をやりましたが、理想の仕事は得られそうにありません」とご本人が、「この辺であきらめて一般的な仕事を探します」となったときに、「そうじゃないだろう。もっとやるべきことがあるだろう」とついつい熱くなってしまいます(笑)。

 とてつもないお節介かも知れませんが、私から見るとまだまだやるべきことが沢山あるのにあきらめるなんて、「本当にやりたいことなの?」と首をひねりたくなります。真剣さや真摯さを疑いたくなります。

 ほとんどの人たちがやらないことのひとつに「レジュメを送った後のフォローアップ」があります。皆レジュメを送りっぱなしでその後のフォローが出来ていないのです。これは営業活動に例えると、「見積書を出したのに電話一本もしない、ほったらかし」ということになります。これではお客さん(企業の担当者)から「注文(面接の引き合い)」は来ないのもある意味当然です。

 レジュメを送りさえすれば企業の担当者は「自分のレジュメを読んでくれる」と思うのは間違いです。やはりそこは、フォローアップして、①送ったが届いているかどうか、②読んでもらったかどうか、を確認する作業が必要です。たいていの場合は、「まだ届いていない」とか「まだ読んでいない」とか言われるのですが、そのときは、「もう一度送りますからお名前とメールアドレスを教えて下さい。」と訊くのが良いと思います。人は名前を聞かれたり自分の名前を相手に伝えたりすると注意力が増しますから(笑)。

 上記のことはシンガポール人候補者さんでなかなか職が決らない人たちにアドバイスしていることですが、ご参考になれば幸いです。

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見つからない右腕

2008年07月30日 | 就職や転職についてあれこれ

 先ほど「勤務地ベトナム」の案件を2件アップさせて頂きました。勤務地はホーチミンかハノイのどちらかになります。ホーチミンとハノイといったら、その趣はかなり異なるので、候補者の方からみれば、一体どっちなんだとなりますが、企業さんによると、その辺は候補者さんのご希望と、選考時点での企業の緊急度によってホーチミンのオフィスで勤務してもらうか、またはハノイになるかご相談とのことです。

 3年前にハノイとホーチミンに行って来ましたが、どちらも魅力的な街でした。機会を見つけて、今度は観光で行ってみたいと思っています(笑)。

 さて、今日の記事のタイトル「見つからない右腕」ですが、現在2つの企業の経営幹部候補を探しています。この2つの企業に共通することはどちらもB2Cの事業で創業者が一代で築き上げてきた企業ということ、そして自分達に代わる次の世代を作って行かなければ将来の継続的な成長は見込めないと危機意識を持っているところです。そのポジションをどちらも「右腕」と表現しているところに通常の日系現地法人とは違った真剣さを感じます。

 ところがその2社の経営者の方のお話をお聞きしますと、なかなか期待の持てる“人材”に巡り合えないと口々に仰るのです。これまで何人、いや何十人と面接をして来たけれども意中の人材とは未だ巡り合っていないようです。

 エージェントから見ますと、端的に言って「理想が高い」です。でもこれは、どうしても追求しなければならないことだということも一方で理解できます。それは、それらの経営者の方々は、“自分と同じような、似たような、いわゆるご自身の分身のような人材”を心の奥底で求めているからです。ところが、一代で人に出来ないことをやり遂げてきた人たちと同じようなパワーと能力、そして清濁併せ持つ人間性を備えている人はそう多くはありません。もしそのような人がいたら、その人もやはりご自身で事業を始めるでしょう。この辺のところに右腕採用の難しさがあるように思えます。

 やはり同じような方々を探すしかありません(笑)。独立志向の人材を探し、あとは本当に将来独立されてしまうか、または居ついて事業を引き継いでくれるかを賭けるしかないかと思います(笑)。

 もしこのブログの読者の方の中で、「右腕になってやってやる」という意欲のある方、流通、小売、ファッション、飲食、エンターテイメントの範囲で将来独立をしたいと思っている方がいらっしゃいましたら是非ご連絡下さい。

 あともうひとつ共通している要望点があります。それは人物像をお聞きしたときに真っ先に「素直な人」、「誠実な人」を挙げる点です。それらはとても平易な言葉ですが、これまでの事業展開で様々な辛酸を舐めてきた方々からお聞きすると、ちょっとした凄みを帯びて聞こえるので不思議です(笑)。

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「会社に将来性がない」という転職理由

2008年07月28日 | 就職や転職についてあれこれ

 今日面接に来てくれたFさんは現在29歳の華人系男性です。身だしなみもパリッとしていて清潔な感じを受けます。今あるソフトウェア開発会社でエンジニアとして働いているのですが、この会社はFさんにとって人生3社目です。入社して半年が経とうしているときにうちの面接を受けに来てくれました。

 見た目もしっかりしているし、話し方からも真面目な印象を持ちます。レジュメを拝見しても、書き方はしっかりしているし学歴もまた国立大学卒業と申し分ありません。現在MBA取得のために夜間のコースを取っているとも言います。

 何が問題か?確かに29歳で3社目というと日本の感覚では転職回数が多いかも知れませんが、シンガポールでは取り上げて多いわけでもなく、もしかしたら平均くらいかも知れません。一社に3年いる人を探すのが結構大変なときもありますから(笑)。

 そんなFさんの「問題」はそれぞれの転職理由を聞いた時に感じました。その転職理由とは、過去の2社そして今回もなんと、「現在の会社に将来性がないと判断した」とのことなのです。「働く環境を変えたい」、「この会社から学ぶものはもう何もなくなった」という理由が多い中で、このFさんの転職理由はある意味“異色”です(笑)。

 「Fさん、どうして現在の会社に将来性はないと判断したのですか?」の私の問いにFさんは理路騒然とその理由を説明してくれます。それらは確かに同意できない訳ではないのですが、どうも府に落ちません。ましてや、会社の将来性って正確に当てることって出来ますか?超優良企業が倒産したり、危なそうと言われている会社でも何十年と商売をしていたり、正直誰にもその先は言い当てられないと思います。

 そこで今回のFさんの転職理由を私なりに考えますと、「現在の会社には将来性がないから辞めたい」は、実は「現在の会社では私の将来がない。出世する可能性やお給料が伸びる可能性もない。だから辞めたい。」ということのように思えます。つまり本人に能力ややる気がない、会社ではなくて本人に将来がないということの裏返しだと思うのです。

 それから後Fさんには、少々くどいと思われましたが(笑)、「外部要因が嫌で転職した場合は、ほとんどが同じことを繰り返す」と、このブログでも何度も触れている話をとうとうとさせてもらいました。だから今回はもう少し頑張って、少なくとも今トライしているMBAが取得できるまで今の職場でやって見ましょう、MBAを取ったらまた状況が変わりますからとFさんに提案しました。Fさん、「人材エージェンシーに来て転職を思いとどまるように言われたのは今回がはじめてです。」と言っていましたが、その後の他愛もない雑談の中の彼の笑顔を見て、「どうやらFさん分かってくれたな。」とそう感じた次第です(笑)。

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コストか能力か

2008年07月11日 | 就職や転職についてあれこれ

 在シンガポールの日系企業や欧米企業が日本人を現地採用の待遇で雇用する一番の理由は「コスト」です。いわゆる駐在員を置くよりは安く済むという発想です。

 ところがまれに、“自社内にもいないような高い能力、特殊な能力を持った人材”を探して欲しいと頼まれることがあります。そういった人材は探せばいます。でも見つかる確立が高いのは断然日本です。ですが採用側の企業が提示するオファーはシンガポール現地の給与体系です。日本においてでも高給を得ている人たちに対してそのようなオファーが魅力的に映るでしょうか。どうしてもシンガポールにこなければならないと行った何か特別な理由がない限り、現職を辞めてまでシンガポールに行こうという人はまずいません。

 様々な調査結果が示す通り、シンガポールはとても働き安い国だと思います。そのことには私も同感なのですが、やはり能力に対しては対価を支払うというスタンスは大切たと思います。お金だけのために働くということではないのですが、給料も働く意欲に繋がる重要なファクターのひとつであることは間違いありません。また欧米企業にありがちなアジアは十把一絡といった発想は止めてもらいたいと思っています。

 日本では終身雇用制度が崩れたと言われて久しく、そのためこれから益々人材の流動化が起こってくると思われます。そうなると自社内に適材がいないという現象は今よりも多くなってくると思います。能力を求めるのだったら現地採用は駐在員よりも安く雇えるという発想はやめなければならないと思います。

 能力のある人材の給料は上がります。ますます自分を磨いていかなければならない時代に入っているのだと感じています。


三方良し

2008年07月09日 | 就職や転職についてあれこれ

 「売り手良し、買い手良し、世間良し」という近江商人の「三方良し」という言葉があります。これは商売をされている方以外にも広く知られている有名な言葉です。

 私はこれを拝借して「人材紹介の三方良し」としています(笑)。つまり「企業良し、候補者良し、人材会社良し」ですが、この三方良しを基本として仕事をしています。

 今日“近くまで営業に来たついでですが、”とオフィスに立ち寄ってくれたKさん、笑顔がとても素晴らしくてこちらも自然と笑みがこぼれます。話をお聞きしていると、「今の仕事が楽しくてしょうがない」様子がダイレクトに伝わってきます(笑)。こう思えるのは本当に素晴らしいです。

 そのようなKさんから感謝の言葉を頂いて気分を良くしていると、今度はKさんの上司の方から、「この度は素晴らしい方をご紹介頂き有り難うございました。」とお礼のメールを頂きました。それは、ひとつのケースで三方良しを達成することができたという自己満足に浸れる瞬間でもあります(笑)。

 Kさん、本採用おめでとうございます!また近くまでいらした際は、どうぞ遠慮なく寄って下さい!


人材は適所適材

2008年07月08日 | 就職や転職についてあれこれ

 シンガポール人はなぜ転職するのか?

 シンガポール人のみならず日本人もそして他の国の人たちも転職はするのですが、とかくこの「ジョブ・ホップ」が一般的な国にいると、上記の質問は堂々巡りのように、特に日系企業の人事担当者の頭の中では現れては消え、消えては現れるを繰り返していることと思います。

 日々地元の人材に接していて彼らから直接聞く理由は様々です。給料が安い、上司と合わない、環境を変えたい、学ぶことがなくなった、はたまた、「俺はもうこの会社に5年もいるんだぞ、いまさら聞く必要はないだろう」的な勢いのあるものもあります(笑)。

 であるならば、「シンガポール人は辞める」を肯定的に捉えてはどうかなと思います。その前提に立ってビジネスを組み立てていかないことには、いつまで経っても属人的で、その特定の人が辞めたら「大変」なことになってしまうという状況からは抜け出せません。

 適材適所と言われますが、実は適所適材です。まずポジションがあってそれに見合う人材を探す、人材が先にあってその人材に見合うポジションを作る、というのは欧米系企業ではあるように聞きますが、それは甚だ属人的な組織になってしまいますので、転職が盛んなシンガポールの日系企業には合わないでしょう。

 そのポジションの役割や責任を明確にして、それに見合う人材をあてがい、たとえその人から辞表を出されても困らない組織作りがシンガポールでは大事なような気がします。



離職勧告-すぐに出してはいけない辞表

2008年06月06日 | 就職や転職についてあれこれ

 昨日の記事およびKさんに関連して、以前相談を受けたケースを思い出しました。これはKさんのように会社の都合で離職を勧告された場合にとても大切なファクターとなりますので書いておきたいと思います。

 入社の際、企業側と従業員側とで雇用契約書を締結しますが、その雇用契約書の中には離職の際はどうするかが通常明記されています。

 一般的なのは、「一ヶ月ノーティス」、つまり辞める方も辞めさせる方も、1ヶ月の事前通知が必要ですよということです。もし直ぐに辞めたい、辞めさせたい場合は、「一ヶ月分の給与に相当するお金を払う」ということで離職または解雇できます。とてもシンプルです。なにももめることはなさそうですが、もめる場合も結構あります。それはどういう時かと言いますと、「雇用契約書に明記されていないノーティスや補償金」で辞める場合や辞めさせる場合です。

 思い出すのは以前遭遇したTさんのケースです。

 Tさんはある日上司に呼ばれこう告げられます。「会社の状況が良くない。ついては大変申し訳ないが辞表を出してもらって、1週間で辞めてもらいたい。会社の財務状況の苦しいので補償金が給与の一か月分で勘弁してくれ。」

 Tさんは突然のことに大変驚きましたが、状況に納得し、仕方がないと辞表を提出、そして1週間後に離職しました。

 ところが問題はその後に起きました。

 離職はしたもののTさんはどうしても納得が行きません。改めて入社時にサインした雇用契約書を読み返してみると、辞める場合も辞めさせる場合も双方「3ヶ月の通知期間を要する」と書かれていました。そうでない場合は、「3ヶ月分の給与に相当するお金を支払う」となっています。Tさんはマネジメントレベルのポジションでしたので、通知期間も少し長めでした。

 「本当であれば3ヶ月の通知期間または給料3か月分のお金がもらえたのに、1週間で辞めさせられて補償も給料1か月分だけ。これは納得が行かない。」とTさんは考えたそうです。

 その後、前の雇用主と数度話し合いを持ちましたが、向こうは「会社が大変なので勘弁してくれ。」の一点張り。Tさんは、これでは埒が明かないとMOM(Ministry of Manpower=シンガポールの労働省、雇用関係を所管するところ)の窓口へ相談に行きます。

 Tさんが一通り説明を終えた後、「いやーそれは本当に悪い会社ですねー。」の一言を待っていたTさんに対して、MOMの担当者はこう聞きました。

 「あなたは辞表を出して、会社側は受け取ったのですね?」

 えっ?なんでこんなことを聞くのと思ったTさん。「ええ、出しました。でも半ば強要されての辞表だったのです。辞表を出さなければ一方的な解雇になると脅されました。」

 「でもあなたは辞表にサインをして提出して、会社側はそれを受理したのですね?」と担当者。「はい。」とTさん。
 
 Tさんによりますと、MOMの見解は次の通りだったそうです。つまり、「辞表を提出して会社側が受け取った時点でMOMとしては雇用者と被雇用者の間で、“両者の合意が成されたもの”と見なす。通知期間やそのた補償も含めて。その“合意”が全てであって、その後雇用契約書に立ち戻って話をしたい場合は、それはもう弁護士に話をしてもらって裁判で争う以外ない。」とのことだったそうです。

 シンガポールは雇用法が企業側にわりと有利にできているといわれています。従業員の解雇はそれほど難しいことではありません。解雇にあたって理由の提示さえ必要ないと言われています。そのため、上記のTさんのケースのように会社の都合で辞めさせられる場合は、テスティモニアルをしっかりと書いてもらったりするなど、お願いしたいところは全てはっきりとさせてから辞表を提出するのが肝心かと思います。

 今日はちょっと重いたい内容だったかも知れません(笑)。
 それでは皆さん、良い週末をお過ごし下さい!

テスティモニアル

2008年06月05日 | 就職や転職についてあれこれ

 友人の紹介でKさんが今日オフィスを訪ねてくれました。

 40代前半の華人系の男性で長らく営業やマーケティングに従事してこられた方です。実際お会いしてみると、明るく爽やかな印象を相手に与える方で、私も素直に面談に入っていけました。

 話はちょっと脇にそれますが、「第一印象」はとても大切です。人は最初の3分くらいで相手の事を判断してしまい、残りの時間はその自分の印象が正しいかどうかの確認に使っていると、どれか思い出せませんが、最近読んだ本の中だったか、書かれていたように思います。いずれにしてもこの相手に与えた第一印象は、あとで自分が変えようと思っても変えられませんからね(笑)。

 そのKさんですが、これまでの職歴を拝見すると、新卒で務めた会社に8年在籍し、その次の会社は12年となっておりました。転職が頻繁なこのシンガポールにおいてはKさんのような方はまれかと思います。

 で、Kさんの直近の就業先はとみると、なぜかその直近の会社の在職期間は1年半となっていました。当然何か理由があるなと直ぐに感じます。

 「ええ、実は会社の方からリトレンチされたのです。」とKさん。
 リトレンチと言えば「解雇」の意味で穏やかではありません。話をお聞きしたら全くもって会社の都合によるものでしたので、私としては安心しました。

 曰く、会社が政府発注のプロジェクトを入札で競り落とし受注した。が、見積もりが大幅に間違っていて、当初から億単位の赤字が出ることが確実視されていた。しかし、政府のプロジェクトといこともあり赤字覚悟で敢行。プロジェクト自体は無事終了したが、その前後から会社は部門の閉鎖や人員整理などリストラを敢行。Kさんは全く別の部門に勤務していたのだが、ある日突然上司から呼ばれ、2日間の通知で解雇となった、とのことでした。

 Kさんの人柄ゆえにとても同情しました。でも当の本人は既に気持ちを切り替えていて、物事に対していたって前向きです。つい一週間前に起こったことなのに、この辺の感情のマネジメントは素晴らしいです。

 Kさんのようなケースは会社の方から、「この度は個人の落ち度ではなく、会社の都合で解雇という事態になりました」というレター、そしてそのレターの中にその人物を推薦する一文、「御社がこの方の採用を検討されるのでしたら、喜んで推薦致します。」を書いて頂くのが良いと思います。そのようなレターはこちらでは「テスティモニアル(Testimonial)」と呼ばれています。言うなれば、在職証明書と推薦状が一緒になったようなものです。

 このテスティモニアルですが、離職が解雇によるものでなくとも、通常の転職によるものであっても、できれば書いてもらった方が良いです。これがあると、その人物の採用を検討している企業に対して、①自分に落ち度があって解雇されたのではないこと、または②転職のために離職したが“円満退社”であることが証明されるからです。

 Kさんに戻りますが、そのテスティモニアルの有無をお聞きしましたら、なんともらっていないとのこと(笑)。「いやー実は、ボスも本当に申し訳ないと言ってくれて、必用であればテスティモニアルを書くと言ってくれたのですが、そのときの私は突然のことでかなり気が動転していて、また彼に対して怒っていたので、咄嗟に“いらない”と言ってしまったのです。」とKさん。上手く気持ちの切り替えが出来ていたKさんでしたが、まさにその時はやはり感情を抑えることができなかったようです(笑)。難しいことですよね。

 「必用なときはいつもで言ってくれ、と言われているので、後でお願いしてみます。そうですよね、それがあった方が次の転職が決りやすいですよね。私ももう40代で、だんだんと引き合いが少なくなってくるは分りますから、必ずテスティモニアルを書いてもらおうと思います。」

 それからしばらくしてKさんは帰られましたが、彼の就職先が一日でも早く見つかることを願って止みません。

“Can do”と“ Will do”

2008年04月16日 | 就職や転職についてあれこれ

 「ん~ん、もうちょっとだったのになぁ。こちらが求めている経験が無いというのはレジュメを見て分っていたんで、後はご本人の“やる気”と言うか、どうしてもこの会社に入りたい、どうしてもこの仕事をやりたい、という思いだけを確認したかったんですが、残念ながらそれが感じられなかったんです。」

 以前営業人材の人選をやらせて頂いたある採用案件での話です。冒頭は最終の二次面接後の結果を伝えに、電話をかけてきて下さった企業の採用のご担当者からの不採用のご連絡です。

 そのときの候補者、Kさんはとても真面目な方で、企業とポジションそれに仕事内容などを気に入られて応募、そして一次面接のお引き合いと話がとんとん拍子に進みました。企業さんもKさんの人柄をとても気に入られて、「ま、こちらが期待している○○の経験は持ち合わせていらっしゃらないですが、それは入社後に勉強してもらうということにして、是非Kさんを採用の方向で検討させて頂きます。」と、そして、程なく上記の二次面接のアレンジとなったわけです。

 ところが二次面接のお引き合いがあった旨連絡した時のKさんは、何かとても心配されている様子でした。

 「一次面接に通ったというのは正直嬉しいです。有名な企業さんですし、仕事内容にも興味があります。ただ、、、私には先方が期待されている○○の経験がないのです。。。」とKさんは浮かぬ顔です。

 「Kさん、それは心配要りません。企業さんもそのことは承知されています。入社後に実践で身につけてもらうということで問題ないと仰ってくれていますので、もしKさんにとってこの案件が本当に良い案件であれば、是非チャレンジしてみて下さい。」と私。

 Kさんは、分かりましたと元気な声で返してくれて二次面接に伺うことになった次第です。

 ところが現地法人の社長さんも交えた最終面接でのKさんの自己プレゼンは、“私はこれまで××の仕事をして参りまして、△△のことでしたら誰からも負けない自信があります。ですが、御社の期待されている○○については経験がありません。こんな私でも宜しいのでしょうか?”と、こんな感じだったようです。「それがうちの社長には、“営業マンとしては受身的で後ろ向きだ”と映ったようです。。。」と前出のご担当者、そして冒頭のお断りという結果になってしまった次第です。

 Kさんのような二次面接における自己プレゼンでも、まったく別の違った捉え方をされる経営者の方もいらっしゃるかと思います。ですので、一概に間違いだとか正しいだとかという観点から語られる問題ではないのですが、今思えば、Kさんには“Can do”はあったのですが、“Will do”が無かったと思います。

 “I can do”、出来るか出来ないか。これも大切ですが、一方でもっと大切なのは“I will do”、「やります!」という意思表示ではないかと思います。確かに人は経験がないことには物怖じしますが、一方でたとえ経験があってもやらなかったり、やる気がない人も沢山います。なのでチャンスがめぐって来たら“I will do”です。“チャンスには前髪しかない”とよく言われますね。通り過ぎる前につかまないと、通り過ぎてしまった後では後ろ髪がないのでつかめないという例えです。また別のある本によりますと、世の中の多くの人たちは、経験がないこと、準備がまだ整っていないことを理由に、折角訪れたチャンスを自ら逃してしまっているそうです。チャンスとは準備が出来ていないときにやって来て、困難は準備が出来ているからやってくる、とよく言われています。

 私もこれまで多くのチャンスを逃して来たかも知れませんが(笑)、人の振り見て我が振り直せ、ですね。この事を思い出させてくれたKさんに感謝です(笑)。