徒然草庵 (別館)

人、木石にあらねば時にとりて物に感ずる事無きに非ず。
旅・舞台・ドラマ・映画・コンサート等の記録と感想がメインです。

鍵泥棒のメソッド 【白版】公演第三週 (ネタバレあり)

2014年05月25日 | 舞台




月末の金曜日、ついでにサラリーマンにとってはありがたくも給料日です。(^人^)
もともとこの日は会社の同期入社数人で集まって飲もうか、という予定でした。本社勤務が2名と、近隣から参加が3名…それが主賓格が急遽仕事の都合で来れなくなってしまい、予定は延期に。
せっかく時間を空けていたのに惜しいなあ、と私は本社にいるもう1人にメールで誘いをかけてみました。

私「飲み会の代案、池袋でキャラメルボックスのお芝居はどう?19~21時、当日券で3800円くらいだけど…」
同期「いいねえ!その企画、乗った!!(^0^)ノ」

高校~大学時代を演劇部で過ごして、その後も舞台は好きだ、と聞いていたからこそのピンポイント攻撃、見事成功!!(笑)こうして第三週の『鍵泥棒のメソッド』【白版】は、何と会社の十数年来仲が良い≪同期の桜≫と観ることになったのでした。(ハーププライスチケットを2人分買うためにランチタイムに某所ぴあまでダッシュしたのはナ・イ・ミ・ツw)


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思えば彼とは入社前の内定時代や地方の営業時代から気が合いましたし、本社に来てからも何かというといろいろ関連する仕事を一緒にしたり、文字通り「戦友」と呼ぶにふさわしい間柄。男であっても、女であっても、同じ仕事をしてきた以上、競争相手でもあり、個性を認め合ってお互いリスペクトしていることに変わりはありません。

そして当然ながらこの質問。

私「今までにCB観たことある?」
同期「観たことはないなー。高校時代に『ハックルベリーにさよならを』を上演したことはあったけど、それも一緒にやった学校の女子が持ってきた企画だったし…(注:彼は男子高出身)」
私「えー!意外!」
同期「俺たちの高校~大学時代にはCBってめちゃめちゃ女子に人気でさ。俺ら男子はそういう一般受けするファンタジーってのが逆にイヤなわけよ」
私「どうせ当時付き合ってた彼女が夢中になっててヤキモチ妬いたとか、そんな程度でしょ?( ̄∀ ̄)」
同期「・・・(´Д`)でもさぁ、真面目な話、学生で芝居に打ち込んでたヤツらって、それが高じて思想哲学のほうにハマっていったり、難しくなくちゃ芝居じゃない、観る側に何か考えさせられなきゃ意味がない、って真剣にやってたのも多かったから…だからCBの作品ってその対極じゃん?」
私「そうだね」
同期「だから、食わず嫌いというか、当時は尖がってたからね、避けてたんだと思う」

ふふふ、かつての演劇学生の「20年目の正直」というわけだ!今日どんな反応を見せてくれるか、すごく楽しみになりました。(^‐^)v


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約1週間ぶりの【白版】!例によって個人的にいろいろズキュン!なところがありました!でも、ものすごく意外だったのは「銭湯シーンで劇場が静まり返ってしまい、いつもの笑いが出なかった」こと!みんな見入っちゃってたのかしらん…。そして私はダンスシーンでセンターに来た大内さんが一瞬「ニヤッ」と唇の端に浮かべた笑みに心臓が30cmくらい跳ね上がりましたwしばらく動悸がおさまらずドキドキ!ベタだけどお約束的なカッコ良さw

そして今日は多田さんの桜井さんが素晴らしかった~!と。前よりさらに迫力が出てきた感じでした。
そこはかとな~い色気を感じるシーンも増えて、あれ?桜井ってこんなキャラだっけ?と意外な思いも。



でも、今回は折角なので、初CB観劇の同期の言葉を紹介したいと思います。
かつての演劇学生が観た、『鍵泥棒のメソッド』感想です。 ※( )内は私の質問やツッコミ



☆初キャラメルボックス(劇団)の印象は?
前説を社長さんがやってるのビックリしたし、ああいうアットホームな雰囲気が良いなって。助手役の女の子も、いかにも「女優になりたくて東京に来ました!」っていう初々しさというか可愛らしさがあって。いずれ先輩たちみたいに舞台に立つんだろうけど、長いファンの人はそういう歴史も含めて好きなんだろうね。あと、終演後にトイレから出てきたらお前が社長とロビーで話してるの見てびっくりした!(あははw誰でも話しかけたらちゃんとお話ししてくださるんだよ)小さい劇団だったらスタッフも役者もいっしょくただから終わったら外出てきて知り合いと喋ってるのはよくある光景だけど、これだけの歴史があって、あれだけの規模の劇団で、それを続けてるのはすごいね。とにかくびっくりした。

☆今日観て、まずどう思った?
お芝居とシナリオのテンポが良くて、すごく楽しめた。半々に分けた舞台の使い方も「なるほど」と思ったし、舞台装置の転換も目まぐるしいけどバタバタしてなくて、逆に「こう見せるか~!」という驚きもあった。個人的にはセットを作りこまずに、いろんな工夫で観客が場面を想像する余地があったのが好き。あと、照明がすごくいい。自分が大道具や脚本書いたりする方が(演じるよりも)好きだったから、ついそっちを見ちゃうよね。

☆一番印象に残った場面は?
どこっていうよりも…工藤が絡むと話がすごく面白くなるよね。桜井とコンドウ両方に直接かかわってるけど、あの役はオレたちが想像する「ヤクザさんてこういう人ね」っていうイメージそのままじゃん?たぶん役柄的には意外性がなくて全然面白くないんだけど、工藤を演じている俳優さんが良かった!彼だからこそひとつひとつの場面があれだけ面白くなってるんだな、って思った。(←私、大喜びw)

☆冒頭の銭湯シーンについて一言!
いやー、笑いが出なかったって言ったけど、オレはあの場面観て「うわー!バカバカしいっ!」って、腹の底から面白い!と思って観てたよ。バカバカしさもあそこまで突き抜けると心から尊敬する!あと、みんな良いカラダしてたよね!(私たちとそう歳は変わらないはずなんだけど?)役者さんって凄いな。あれは日々やってないと無理!あれだけの舞台を2時間ほぼ毎日、1か月やろうと思ったらハンパな体力じゃ持たないもん。凄いよね。

この日の公演の私的印象は、「桜井の突き抜けっぷりに比べて、コンドウさんがいまいち物足りなかったなあ…」だったんですが、彼は真逆の感想を抱いたようです。

☆コンドウの役割と存在感
主役の3人(桜井、コンドウ、香苗)を観ていて、確かに桜井役の人はすごく人目を引きつける力があったし、香苗役の人もキレイで申し分なかった。でも、何度も観てないから偉そうなこと言えないけど、今日観て思ったのは「この二人の芝居を全部受け止めてるコンドウがいるからこそ、スピーディーな芝居や台詞のぶつけ合いが成り立っている」って。コンドウは主役でもありストーリーテラーだから、大きく外れちゃいけないし、逆に彼が好き勝手やりだしたら舞台のテンポが乱れちゃうと思うよ。今日は観ていて「桜井も、香苗も、すごくその部分ではコンドウに良い意味で甘えて、安心して身を委ねて演じてる」と感じたんだけどね。それに主役って黙って立ってるだけでも華があるもんだからさ。オレはコンドウさん役の俳優さん凄いなー、って思ったよ。

☆この舞台で自分をキャスティングするとしたら誰の役がやりたい?
うーん、オレは絶対に「主役じゃない」んだよね。だからやりたい役は工藤かな!楽しそうだし!(え~っ!?ついでに私をキャスティングしたら誰になる?)一択で綾子!(あはははwわかる!)だって香苗ほど可愛くないし、お母さんでもないし、お姉さんでもないし…編集部の人でもないよね。(←男女問わずと聞いた方がよかったんだろうか…?)



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池袋西口某所で旨いビールを飲みつつ、そんな話に興じていて、話題は同期の上の娘さんの話に。

私「ねえ、○○ちゃんって、本が好きだし、ああいうお芝居好きそうじゃない?」
同期「そうだねえ。今日みたいなのだったら絶対気に入るね。まだ舞台連れてったことないんだよ」
私「子ども用のチケットとか、割引とかもあるみたいだから、週末行ってきたら?」
同期「いいねー。親子連れとかでもいいのかな?」
私「週末の昼公演は結構見かけるよ」
同期「今日も高校生ぐらいの子が結構来てたね。なんだか懐かしかった」
私「今回は無理でも、次の公演とか…ちなみに夏は時代劇!っていうかまた観に行こうよw」(←フライヤー見せる)
同期「スケジュールが空いて、思い立って、この値段であれだけの舞台が観れるっていいよね。考えておくよ!」

前々から予定していて7000円、8000円のチケットなら全然高いと思わないらしいのですが、昨日の今日で行こうか!となると、あの当日半額券は大層説得力があるようです。そして「まあ、お前が勧めるんだったら絶対面白いよな、という担保はあったからね(^ー^)v」と喜んでくれたのが、私には何よりうれしい一言になりました。


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仕事の話や学生時代の部活の話が懐かしくて、飲みかつ食べかつ語り、最後は終電30分前に余裕をもってお開きに。この辺がオトナ飲み会なのです!(笑)
10ン年の付き合いだけど、ホント今までこんな話までしたことなかったな、という楽しい時間でした。お芝居を一緒に観る醍醐味はここに尽きると思います!


そして第三週も終わりに近づき、自分の中で最初は「舞台を観ること」がメインだったのですが、最近では「舞台を観た後にいろいろと考えを巡らせること」のほうが増えました。魅力的で個性あふれる登場人物たちへの感想も(書かないまでも)最初とはちょっと違う角度から見たものが多くなっているように思います。桜井は職業・俳優だというのに実は登場人物の中で一番「演じること」が下手…だからこそ愛すべきおバカさん的な魅力が日増しに大きくなってきました。クールで隙のないコンドウも記憶を失ったことと香苗との出会いによって「ひとりの個人として生きること」の意味を再び見出していく、その姿に涙が出そうなほど共感したり…「私がやるって言って、今までできなかったことある?」とタンカを切る「歪な優等生」香苗も、己の感情と向き合って大人の女性として輝きを増していくプロセスを「がんばれ!」と心から応援したり。香苗の家族(=水嶋家)が醸し出す温かさにホッコリしたり、父の言葉(遺言)に不覚にも泣きそうになったり…。そして、自分も含めて「どこかしら『役割』を演じている」日々の繰り返しの中で「演じていない自分を見せられる相手」や、「演じなくてもいい場所」を持つことのありがたみを、ふと考えたりもするのです。


何となく…帰り道にiPodから取り出した懐かしい1曲は、B'zの『Pleasure‘98』(91も好きですが、何となく身近なのは98です)――実はこの公演、観客向けアンケートに「人生を取り替えたいあの人に、この舞台を勧めるとしたら?」という項目があります。私自身は一度も他人の人生を羨んだことはなく、挫折しても失敗しても「それは自分で決めたことだから」と後悔することも恥じることもなかったのですが、この日は同期との語らい&キャラメルボックスの舞台の魔法?で、ちょっとだけですが!この曲を思い出し、学生時代の他愛無さや、新入社員~3年目くらいまでのバカバカしいけど楽しかった時代を思い出して、胸がキュンとしたのでしたw。そして日本各地&海外で戦う「同期の桜」たちの顔を思い浮かべて「男は自分と家族を守らなくちゃね、でもまだ私は丸め込まれてないもん♪」と心の中で呟いてみたりしたのでした。(苦笑)


次回はライブ友達を誘って【黒版】→【白版】のハシゴの予定ですv
そして…あと一週間で千秋楽がやってくるんですねえ…。