キャラメルボックス『鍵泥棒のメソッド』2017(再演)
ACT.2 大阪公演初日
鍵泥棒のメソッド(2017)HP
http://www.caramelbox.com/stage/kagidorobou-method-2017/
≪鍵メソ2017キャスト≫
桜井武史(売れない劇作家兼演出家兼俳優):畑中 智行
水嶋香苗(雑誌編集者):実川 貴美子
コンドウ(裏世界の殺し屋):岡田 達也
徳治(香苗の父)/岩城/警官1:西川浩幸
京子(香苗の母)/医者/警官2/銭湯の番台:大森美紀子
翔子(香苗の姉)/綾子(岩城の愛人):森めぐみ
工藤(ヤクザ)/監督:石橋 徹郎(ゲスト)
土屋(ヤクザ)/理香の彼氏:久保田秀敏(ゲスト)
藤本(ヤクザ)/大谷:山崎 雄也
藤木(香苗の同僚)/理香(桜井の元彼女):大滝 真実
谷口(香苗の同僚)/アパートの大家:山根翼
村上(香苗の同僚)/博人(綾子の息子):竹鼻優太
猫娘(桜井の隣人)/助監督:金城あさみ
■ □ ■
良いお天気♪3月の3連休とともに、キャラメルボックスが大阪にやってきました!
劇場は茶屋町の「シアター・ドラマシティ」…大ホールには何度も足を運んだことがあるのですが、実はここでお芝居を観るのは初めてです(『駆け風』は名古屋遠征でしたので…)。宝塚や東宝系のための劇場というか、何とも優雅なつくりで、椅子もふかふか、ちょっとビックリ。(まあ、大ホールにはシャンデリアみたいなのがありますしねえ…客層が違う!笑)
聞くところによれば、ここは元々キャラメルボックス大阪公演でのホームとでもいう場所だったとか。サンシャインより少し座席数は多い(但し2階席がない)この場所で何度も公演をしたそうです。その後、去年閉鎖になったシアターBRAVA!(@大阪城公園)やサンケイホールブリーゼ(@西梅田)といった劇場が出来て、そちらでも旅公演を打つようになったそうです。
「そんなわけなので、久しぶりに『戻ってきた』という感じですね。^^」(仲村P談)
CB関西公演と言えば、ブリーゼか新神戸オリエンタルか、な若輩者には、そんなお話を聞けたのも新鮮だったり。
いつもと違う雰囲気の初日は、やはり気持ちも高まります♪
そして。
東京公演のクオリティが「不満足」であったわけでは決して無いのですが…
1週間のインターバルを経て、ここ大阪で「どれだけ進化(深化)してくるのか?」
これは、観届けなくてはなるまい!
最前列センターから!(爆)
いや、もう、久しぶりにCBで最前中央来ちゃいました。大阪初日が初見だったらこれはアカンやろ(冷汗)と…東京で観ておいて正解でした。個人的な意見ですが、芝居というのは「1回だけ観る」なら10列目~くらいのほうが、演技も美術も照明も音も、落ち着いて全体を味わえるのです。ひと桁前半だと近すぎて左右を一度に視界に入れられない上に、邪念がいろいろ入って(爆)ちゃんと観るのは不可能!でも、まあ『鍵メソ』は、もともと邪念が入りやすい作品だから今更感も満載…(^^;
↑ 落ち着け自分w
■ □ ■
そうして幕が開けた大阪公演初日。(19日ソワレ)
あれ?
芝居が違うぞ?!
うまく言えないけど、グッと密度が濃くなった感じ。
さすがに観る側も東京の時のような初演との脳内(無意識)比較が薄まっていたのかもしれないけれど、それだけでは説明できない。なんと言うか、ひとつひとつのお芝居が「しっくり来る」度合いが断然こちらの方が勝っている。キャラによっては「う~ん、まだまだ…」と思う場面も無きにしも非ずとはいえ、メインの3人の絡み方と近いレベルで、周囲の人間関係も生き生きと立ち回り始めたような。
もちろん、初演から続投の水嶋夫妻(西川さん&みっこさん)のように、最初に東京で観た時から「うっわ~、さすがにもうこのレベルの夫婦漫才(笑)は、余人の追随を許さないわ…!」と感嘆しきり、という部分、客演の石橋さんが絶妙なキャラ立ちで同じく客演・久保田くんとCB新人の山﨑くんを引っ張る「工藤興業(ヤクザ)」も、これは再演ならではの新しい面白さで、良かったのだけど。ここにきて、ようやくこの作品の「再演ならでは」の部分と「今回が初演」という部分が、うまくかみ合い始めた…?
おそらくは東京での10日間を経て、各キャストががいろいろ考えて、それぞれの役を掘り下げていたのでは。そして大阪公演の仕込みで再び顔を合わせた時に「ねえ、ここはこうしようよ」「あの場面はもっと〇〇しようか?」と、ワイワイと話し合っていたに違いない、その光景が目に見えるような、お芝居の鮮やかな変化!
とは言え!やっぱり今日は「最前列マジック」に落ちてしまい、いつもよりハイテンションで観てしまっている私。目の前2mであのお芝居ですぞ!(笑)すぐ目の前であのコンドウと桜井がじゃれあってる(爆)達也さんと畑中さんの台詞の応酬、ボケとツッコミが超至近距離!これを観て、幸せにならないファンがいるのか?!(いや、いない/反語)
相変わらず、岡田達也さんの黒スーツ姿はカッコイイ…(溜息)← 一番の萌えポイント
前回『ゴールデンスランバー』のエリート警察官僚・佐々木一太郎のスリーピースは、文字通り隙がなくて後姿さえ最強最高完璧!だった。
(資料写真)
しかし!!このアウトローなコンドウの着こなしというのは、衿とか首元とか手首のあたりの「スキ」に心騒ぐ♪ 色気が汁になってダダ漏れ状態。何かヤバいものを体内に取り込んで、台詞とともに空気中に拡散しているとしか思えない!
仕事柄スーツの男性は若いのもそうでないのも(腐るほど)毎日見ているけれど、全く別物。あのゾクゾクするようなセクシーさは、サラリーマンには逆立ちしても手に入らないものである。(そんなの仕事場にいたら気が散って困るわ!)
しかも、今回は冒頭の岩城刺殺シーン直前の「レインコートのボタン留め」とか、記憶を取り戻した後に着ているダブルの黒礼服の前を開けて、白シャツのボタンを胸元2つ目まで外して襟を立てるところとか、もう「ツボを心得まくっている!」としか思えないあざとさで色っぽい。
色気なんて「全部脱げばイイ」ってもんじゃない、むしろ脱がないところに色気があるんだ!とは男女問わず、古今東西当たり前のことですが(笑)ここはめちゃめちゃセクシーで大好きなシーン! ← これについて語り始めたら、私は一晩でも二晩でも終わらなさそうな気がしますw
そして声。わざわざ張らなくても胸にすっと落ちてくる、心地の良いトーンの発声はもちろん、不安に揺れる患者の声、折り目正しい真面目な好青年(ん?薹が立ちすぎている?w)の会話、ヤクザな喋り、どれも「目をつぶっていても溢れるように感情が読み取れる声」で、流石…と聞き惚れることもしばしば。
コンドウに限らずですが、この再演。続投キャラのお芝居こそ深化が凄い!(もう後は「初演」とある意味で割り切って)
記憶を失ってからのコンドウ(桜井)の頼りなさ、寄る辺なさ、不安感、真面目さ…小さなお芝居のひとつひとつが、よりコンドウのもうひとつの面を丁寧に描き出しているのも大好きです。例えば桜井に「名前を呼んでみて」と頼んだ後のちょっと頭を傾ける場面。食事前後の「お腹空いた」「お腹いっぱい」といったしぐさ。観る側は「拾われた子犬のような可愛らしさ」を存分に味わえたり、その分「変人」香苗の優しさ、面倒見の良さ、母性本能的な部分に自然に寄り添うように共感していけたり。
桜井を演じる畑中さんも、あのエネルギッシュさはそのままに、惜しみなく動き回るフィジカルなエンタメ部分、初演が「ダメ男」なら、再演はそれを通り越して最早「アホの子」!(笑)桜井をこんなにも面白く見せてくれるコミカルでまっすぐな心情表現の部分。どちらも最高!こちらもやっぱ特筆すべきは「声」!若々しい、生命エネルギーの塊のような、質量を感じる声がとても好きで。
一方で「下手くそな役者の役を演じる」リアリティーは、まさしくコメディ的才能が全開!?わざとらし~い声の台詞回しに脱力して笑ってしまうこと数え切れず。そのくせ、お芝居としてのスピード感と、間の取り方は天下一品♪この絶妙なバランスが無いと、桜井の芝居は「とても観ていられない」と思うので、ホントに凄い!と思うのです。← それにしても、声と動きだけ見ていると、この方もホントに年齢不詳ですよ…w
あと!基本「アホの子」桜井なのに、やっぱり演者の身体能力ゆえに、ダンスシーンでの輝きは別格。長身の二人(石橋さん&久保田くん)に挟まれても、一等際立つ存在感、センターでキラキラしている姿に毎回引き込まれるのです。
今回、振り付けが初演からさらに「派手に」なって、白黒ロングジャケットが周囲で旗のように翻る中、ただひとり黒スーツ&キレッキレのダンスのカッコよさったら!もっと踊ってて欲しい!フルで1曲分踊ってて欲しい!改めて惚れ直してしまいました(笑)。
https://www.youtube.com/watch?v=t7y2M16mikk
初演2014年の「MOONBASE」で踊るキャスト(リンク先)
※実は新人抜擢公演で「役者のサイズ感と、芝居の演出や動きって、不可分なんだなあ…」と思った原因。
やっぱり「畑中さんでなくては」あの桜井にはならないし、初演のWキャスト・多田さん桜井とも全く別物ですものね♪
そんなこんなであっという間に終演、私の感想は…。
東京より断然!イイ!
何がって芝居もテンポもキャラ立ちも!
1週間の熟成を経て、味わい深く&キレも増して、これぞ再演!という仕上がり。
全然違う舞台のようだなあ、というのが正直なところでした。
ただ、変わらないのは「観たら幸せになる作品」であること!(*´∀`*)
普段「演劇」「舞台」に縁のない人にこそオススメしたい、極上のエンターテインメント♪
■ □ ■
終演後のロビーで、CBの加藤社長に私の感想(演出と言うよりキャスト自身による深化)をぶつけてみました。
「そうですね、東京の後しばらく休みがあったので、役者がいっぱい考えてきてて、楽屋でずいぶん長いこと話し合ってましたね。アイディアがいろいろ沸いてきて、自分たちがもっとこうしたい、というような」
「例えばチンピラ役の山﨑雄也のメイクですが、大阪では眉をなくしてるんですよ。岡田達也がせっせと眉をメイクでつぶしてやってました」← 想像するとちょっと奇妙な光景w
このようなことをお聞きしたと思います。もちろん、大きなお芝居の流れと演出はあって、その中で(あるいは越えるようなことを)演じる方が嬉々として工夫して、楽しんでいること…私が大阪公演で感じたのは、その「気持ち」の変化かも知れません。
演じるほうも楽しい、観ているほうも楽しい、舞台を挟んで喜怒哀楽をシンクロさせる2時間。それこそが、観終わった後の「最高の笑顔」につながっていくのではないでしょうか?特にキャラメルボックスのような劇団の作品であれば、尚更。
そういう意味では、大阪に来て初めて「これは良い再演(むしろ別物)」と思えたのです。
(東京前楽ではちょびっと?辛口の評価だったけどw)
東京初見直後は不安もあったけど、やっぱりこの「劇団の総合力」って凄い!
であれば、明日のソワレの「新人抜擢公演」は、どんなものになるのか?
評判は良いらしい…それがイロモノ的満足なのか演劇クオリティ的満足なのは葉さておき。
文字通り「怖いもの観たさ」(笑)が勝るようで、好奇心と期待も混じりつつ。
(ACT.3 新人抜擢公演に続く)
ACT.2 大阪公演初日
鍵泥棒のメソッド(2017)HP
http://www.caramelbox.com/stage/kagidorobou-method-2017/
≪鍵メソ2017キャスト≫
桜井武史(売れない劇作家兼演出家兼俳優):畑中 智行
水嶋香苗(雑誌編集者):実川 貴美子
コンドウ(裏世界の殺し屋):岡田 達也
徳治(香苗の父)/岩城/警官1:西川浩幸
京子(香苗の母)/医者/警官2/銭湯の番台:大森美紀子
翔子(香苗の姉)/綾子(岩城の愛人):森めぐみ
工藤(ヤクザ)/監督:石橋 徹郎(ゲスト)
土屋(ヤクザ)/理香の彼氏:久保田秀敏(ゲスト)
藤本(ヤクザ)/大谷:山崎 雄也
藤木(香苗の同僚)/理香(桜井の元彼女):大滝 真実
谷口(香苗の同僚)/アパートの大家:山根翼
村上(香苗の同僚)/博人(綾子の息子):竹鼻優太
猫娘(桜井の隣人)/助監督:金城あさみ
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良いお天気♪3月の3連休とともに、キャラメルボックスが大阪にやってきました!
劇場は茶屋町の「シアター・ドラマシティ」…大ホールには何度も足を運んだことがあるのですが、実はここでお芝居を観るのは初めてです(『駆け風』は名古屋遠征でしたので…)。宝塚や東宝系のための劇場というか、何とも優雅なつくりで、椅子もふかふか、ちょっとビックリ。(まあ、大ホールにはシャンデリアみたいなのがありますしねえ…客層が違う!笑)
聞くところによれば、ここは元々キャラメルボックス大阪公演でのホームとでもいう場所だったとか。サンシャインより少し座席数は多い(但し2階席がない)この場所で何度も公演をしたそうです。その後、去年閉鎖になったシアターBRAVA!(@大阪城公園)やサンケイホールブリーゼ(@西梅田)といった劇場が出来て、そちらでも旅公演を打つようになったそうです。
「そんなわけなので、久しぶりに『戻ってきた』という感じですね。^^」(仲村P談)
CB関西公演と言えば、ブリーゼか新神戸オリエンタルか、な若輩者には、そんなお話を聞けたのも新鮮だったり。
いつもと違う雰囲気の初日は、やはり気持ちも高まります♪
そして。
東京公演のクオリティが「不満足」であったわけでは決して無いのですが…
1週間のインターバルを経て、ここ大阪で「どれだけ進化(深化)してくるのか?」
これは、観届けなくてはなるまい!
最前列センターから!(爆)
いや、もう、久しぶりにCBで最前中央来ちゃいました。大阪初日が初見だったらこれはアカンやろ(冷汗)と…東京で観ておいて正解でした。個人的な意見ですが、芝居というのは「1回だけ観る」なら10列目~くらいのほうが、演技も美術も照明も音も、落ち着いて全体を味わえるのです。ひと桁前半だと近すぎて左右を一度に視界に入れられない上に、邪念がいろいろ入って(爆)ちゃんと観るのは不可能!でも、まあ『鍵メソ』は、もともと邪念が入りやすい作品だから今更感も満載…(^^;
↑ 落ち着け自分w
■ □ ■
そうして幕が開けた大阪公演初日。(19日ソワレ)
あれ?
芝居が違うぞ?!
うまく言えないけど、グッと密度が濃くなった感じ。
さすがに観る側も東京の時のような初演との脳内(無意識)比較が薄まっていたのかもしれないけれど、それだけでは説明できない。なんと言うか、ひとつひとつのお芝居が「しっくり来る」度合いが断然こちらの方が勝っている。キャラによっては「う~ん、まだまだ…」と思う場面も無きにしも非ずとはいえ、メインの3人の絡み方と近いレベルで、周囲の人間関係も生き生きと立ち回り始めたような。
もちろん、初演から続投の水嶋夫妻(西川さん&みっこさん)のように、最初に東京で観た時から「うっわ~、さすがにもうこのレベルの夫婦漫才(笑)は、余人の追随を許さないわ…!」と感嘆しきり、という部分、客演の石橋さんが絶妙なキャラ立ちで同じく客演・久保田くんとCB新人の山﨑くんを引っ張る「工藤興業(ヤクザ)」も、これは再演ならではの新しい面白さで、良かったのだけど。ここにきて、ようやくこの作品の「再演ならでは」の部分と「今回が初演」という部分が、うまくかみ合い始めた…?
おそらくは東京での10日間を経て、各キャストががいろいろ考えて、それぞれの役を掘り下げていたのでは。そして大阪公演の仕込みで再び顔を合わせた時に「ねえ、ここはこうしようよ」「あの場面はもっと〇〇しようか?」と、ワイワイと話し合っていたに違いない、その光景が目に見えるような、お芝居の鮮やかな変化!
とは言え!やっぱり今日は「最前列マジック」に落ちてしまい、いつもよりハイテンションで観てしまっている私。目の前2mであのお芝居ですぞ!(笑)すぐ目の前であのコンドウと桜井がじゃれあってる(爆)達也さんと畑中さんの台詞の応酬、ボケとツッコミが超至近距離!これを観て、幸せにならないファンがいるのか?!(いや、いない/反語)
相変わらず、岡田達也さんの黒スーツ姿はカッコイイ…(溜息)← 一番の萌えポイント
前回『ゴールデンスランバー』のエリート警察官僚・佐々木一太郎のスリーピースは、文字通り隙がなくて後姿さえ最強最高完璧!だった。
(資料写真)
しかし!!このアウトローなコンドウの着こなしというのは、衿とか首元とか手首のあたりの「スキ」に心騒ぐ♪ 色気が汁になってダダ漏れ状態。何かヤバいものを体内に取り込んで、台詞とともに空気中に拡散しているとしか思えない!
仕事柄スーツの男性は若いのもそうでないのも(腐るほど)毎日見ているけれど、全く別物。あのゾクゾクするようなセクシーさは、サラリーマンには逆立ちしても手に入らないものである。(そんなの仕事場にいたら気が散って困るわ!)
しかも、今回は冒頭の岩城刺殺シーン直前の「レインコートのボタン留め」とか、記憶を取り戻した後に着ているダブルの黒礼服の前を開けて、白シャツのボタンを胸元2つ目まで外して襟を立てるところとか、もう「ツボを心得まくっている!」としか思えないあざとさで色っぽい。
色気なんて「全部脱げばイイ」ってもんじゃない、むしろ脱がないところに色気があるんだ!とは男女問わず、古今東西当たり前のことですが(笑)ここはめちゃめちゃセクシーで大好きなシーン! ← これについて語り始めたら、私は一晩でも二晩でも終わらなさそうな気がしますw
そして声。わざわざ張らなくても胸にすっと落ちてくる、心地の良いトーンの発声はもちろん、不安に揺れる患者の声、折り目正しい真面目な好青年(ん?薹が立ちすぎている?w)の会話、ヤクザな喋り、どれも「目をつぶっていても溢れるように感情が読み取れる声」で、流石…と聞き惚れることもしばしば。
コンドウに限らずですが、この再演。続投キャラのお芝居こそ深化が凄い!(もう後は「初演」とある意味で割り切って)
記憶を失ってからのコンドウ(桜井)の頼りなさ、寄る辺なさ、不安感、真面目さ…小さなお芝居のひとつひとつが、よりコンドウのもうひとつの面を丁寧に描き出しているのも大好きです。例えば桜井に「名前を呼んでみて」と頼んだ後のちょっと頭を傾ける場面。食事前後の「お腹空いた」「お腹いっぱい」といったしぐさ。観る側は「拾われた子犬のような可愛らしさ」を存分に味わえたり、その分「変人」香苗の優しさ、面倒見の良さ、母性本能的な部分に自然に寄り添うように共感していけたり。
桜井を演じる畑中さんも、あのエネルギッシュさはそのままに、惜しみなく動き回るフィジカルなエンタメ部分、初演が「ダメ男」なら、再演はそれを通り越して最早「アホの子」!(笑)桜井をこんなにも面白く見せてくれるコミカルでまっすぐな心情表現の部分。どちらも最高!こちらもやっぱ特筆すべきは「声」!若々しい、生命エネルギーの塊のような、質量を感じる声がとても好きで。
一方で「下手くそな役者の役を演じる」リアリティーは、まさしくコメディ的才能が全開!?わざとらし~い声の台詞回しに脱力して笑ってしまうこと数え切れず。そのくせ、お芝居としてのスピード感と、間の取り方は天下一品♪この絶妙なバランスが無いと、桜井の芝居は「とても観ていられない」と思うので、ホントに凄い!と思うのです。← それにしても、声と動きだけ見ていると、この方もホントに年齢不詳ですよ…w
あと!基本「アホの子」桜井なのに、やっぱり演者の身体能力ゆえに、ダンスシーンでの輝きは別格。長身の二人(石橋さん&久保田くん)に挟まれても、一等際立つ存在感、センターでキラキラしている姿に毎回引き込まれるのです。
今回、振り付けが初演からさらに「派手に」なって、白黒ロングジャケットが周囲で旗のように翻る中、ただひとり黒スーツ&キレッキレのダンスのカッコよさったら!もっと踊ってて欲しい!フルで1曲分踊ってて欲しい!改めて惚れ直してしまいました(笑)。
https://www.youtube.com/watch?v=t7y2M16mikk
初演2014年の「MOONBASE」で踊るキャスト(リンク先)
※実は新人抜擢公演で「役者のサイズ感と、芝居の演出や動きって、不可分なんだなあ…」と思った原因。
やっぱり「畑中さんでなくては」あの桜井にはならないし、初演のWキャスト・多田さん桜井とも全く別物ですものね♪
そんなこんなであっという間に終演、私の感想は…。
東京より断然!イイ!
何がって芝居もテンポもキャラ立ちも!
1週間の熟成を経て、味わい深く&キレも増して、これぞ再演!という仕上がり。
全然違う舞台のようだなあ、というのが正直なところでした。
ただ、変わらないのは「観たら幸せになる作品」であること!(*´∀`*)
普段「演劇」「舞台」に縁のない人にこそオススメしたい、極上のエンターテインメント♪
■ □ ■
終演後のロビーで、CBの加藤社長に私の感想(演出と言うよりキャスト自身による深化)をぶつけてみました。
「そうですね、東京の後しばらく休みがあったので、役者がいっぱい考えてきてて、楽屋でずいぶん長いこと話し合ってましたね。アイディアがいろいろ沸いてきて、自分たちがもっとこうしたい、というような」
「例えばチンピラ役の山﨑雄也のメイクですが、大阪では眉をなくしてるんですよ。岡田達也がせっせと眉をメイクでつぶしてやってました」← 想像するとちょっと奇妙な光景w
このようなことをお聞きしたと思います。もちろん、大きなお芝居の流れと演出はあって、その中で(あるいは越えるようなことを)演じる方が嬉々として工夫して、楽しんでいること…私が大阪公演で感じたのは、その「気持ち」の変化かも知れません。
演じるほうも楽しい、観ているほうも楽しい、舞台を挟んで喜怒哀楽をシンクロさせる2時間。それこそが、観終わった後の「最高の笑顔」につながっていくのではないでしょうか?特にキャラメルボックスのような劇団の作品であれば、尚更。
そういう意味では、大阪に来て初めて「これは良い再演(むしろ別物)」と思えたのです。
(東京前楽ではちょびっと?辛口の評価だったけどw)
東京初見直後は不安もあったけど、やっぱりこの「劇団の総合力」って凄い!
であれば、明日のソワレの「新人抜擢公演」は、どんなものになるのか?
評判は良いらしい…それがイロモノ的満足なのか演劇クオリティ的満足なのは葉さておき。
文字通り「怖いもの観たさ」(笑)が勝るようで、好奇心と期待も混じりつつ。
(ACT.3 新人抜擢公演に続く)