2月13日(木)六本木EXシアターにキャラメルボックス『ヒトミ』2014年公演・初日舞台(マチネ)を見に行ってまいりました!※あれ?考えるとこれが今年の初舞台になりますね。ちなみに初・生キャラメルお芝居です。
【公式サイト】
http://www.caramelbox.com/stage/acoustic2014/hitomi.html
会場となったEXシアターはヒルズにほど近い、2013年秋に完成したばかりのライブハウス!
まさかここが劇場になるとは思いませんでした(^^;
1か月前の公演告知に加え、平日のお昼公演ということで?残念ながら満員には程遠い状態でしたが、おかげで3列目の中央付近、非常に良い席を入手!一歩シアター内に入ると、まさしくDVDで観たものに近い舞台セット――ホテル/病院の壁、3人掛けソファ、1人掛けソファ、手前にあるのは海岸の砂浜?そして、グランドピアノ!――が目に飛び込んできて、もうドキドキMAX。あれがホントに目の前で観られるんだ!とテンション上がりすぎて、ちょっと足元がフラっとしながら着席。もうどうしたら良いやら。誰か頭から冷たい水でもぶっかけてください状態…(笑)なお予習のために1995年の初演版DVDを見ていきましたので、ストーリーと登場人物の相関、おおまかな台詞の流れは頭に入っている状態です。(2004年の再演版は未見)
それにしても「何がそんなにテンション上がってたんだ?」と言う理由は、ひとつに「2014年のいま、この時代の『ヒトミ』が観たい!」ここにあったと思います。
どれほどキャストが素晴らしいお芝居をしていても、いかんせん舞台は「総合芸術」・・・19年前という(避けようもない)「一昔前感」は否めません。ただ、それを差し引いても「また、絶対に観たい」と思うほどに、物語がとても強い吸引力を持っていると感じたのです。
舞台に比べたら小さく区切られたごく一部の画面ですが、物語そのものの持つ深いテーマ「生きているってどういうこと?」が、「いまを生きている」自分に投げかけられているようで。そのためには「いまの物語」を観に行かないと!――この心境の変化をうまく言えないのですが、きっかけは「キャスト」だったのが、むしろ初演を見た後は「この物語が観たい!」と、逆になっていたようにすら思いました。
ふたつめは「いっさいの事前情報をシャットアウトして飢餓感MAXで初見」を自分に課していたこと。CM、劇団サイト、ツイッターで流れる稽古の様子など、先入観を作りそうなものは可能な限り遠ざけ、自分の感覚と受容力を「まっさら」にしておきたかったのです。だからもう直前あたりは「耐えろ自分!見ちゃダメだ!読んじゃダメだ!」状態!(笑)
そんなわけで?午前中に入っていた会議や仕事が押してしまい、かなり気持ちは焦って会場入りしましたが、前説にもちゃんと間に合いました!(笑)あんなに面白いとは!そして携帯チェックは大事です!(爆)どの劇場の公演でもあのくらい丁寧に携帯チェックすればいいのに!と、昨今のウッカリ率の高さに辟易としている私は思ったのでした。
□ □ □
≪キャスト≫ (敬称略)
■登場人物______■1995______■2014
水谷ヒトミ______坂口理恵_____実川貴美子
小沢________上川隆也_____多田直人
岩城先生______近江谷太朗____稲荷卓央
佐久間先生_____真柴あずき_____岡内美喜子
大友先生______菅野良一_____鍛冶本大樹
郁代(ヒトミの母)____大森美紀子____坂口理恵
典子(ヒトミの親友)__岡田さつき_____渡邊安理
朝比奈(ホテルマン)__西川浩幸_____左東広之
若杉(ベルボーイ)___今井義博_____鈴木秀明/関根翔太
あつこ(清掃係)____津田匠子_____岡田さつき
1990年代後半のキャラメルボックス作品では『TRUTH』(1999年、DVD/2005年版も視聴済み)を見ていたので、初演版ではああ!と思う俳優・女優さんもたくさんいらっしゃいました。そして今回初演で演じた方が別の役を演じていらっしゃるのが、きっと長く見てきた方なら感慨無量なのだろうなあ、とも。(超・初心者の私ですら19年という時間を思ってその重みや深みに思いを馳せるくらいでしたから!)
これから大阪公演、名古屋公演を経てサンシャイン劇場に戻ってくるということなので、これからもっともっとお芝居は馴染んで良くなっていくと思いますし、あくまでも初日初見の感想となりますが(ネタバレごめんなさい!)ただ確実に言えるのは ―― いまの『ヒトミ』が観たい、という私の願いは「叶えられました」!!!(嬉!)
明転して、舞台にキャストが揃う第一幕第一場。
キャストたちの視線が一点・・・ヒトミに集中する、あの瞬間の得も言われぬ緊張感!
「やっぱり舞台はナマで観てこそ!」と、ゾクゾクするような興奮を味わいつつ、新しく形作られた『ヒトミ』の世界にぽんっ!と飛び込めた気がしました。
1995年版を見ているときに、どうしても拭いきれなかった「当時の自分の年齢(=もちろん今よりはるかに若い!)からみたら感じたであろう、登場人物たちの『遠さ』」・・・ヒトミはもっと大人の女性に見え、彼女を見守る小沢君はもっともっと遠くにいるような「落ち着き」を見せ、周囲の人間模様もどこか「別世界」、1995年という時代背景が作っていた「壁」のようなものが、2014年版ではスルっと自然に消えて無くなっていた・・・そんな感触です。
もちろん、1995年当時からファッションや社会・時代背景だけでなく、私たちの生活スタイルそのものが大きく変わってしまったように、台詞やディテールの小さな変更は当然ありました。それは私には「こう変えてきたか!」「なるほど、こっちの方がスッと入る!」「あ!ここを変えるとこういう面白さがあったのか!」という、(本来のストーリーに加えて)「キャラメルボックスが描く2014年の縮図」を楽しむワクワクでした。ヒトミを中心に人々が織り成すかかわりを象徴するようなコリオグラフィーも「おっ」と思う目新しさ、ちょっとしたヒネリやアドリブも「きっとこの公演がDVDになって、10年後に見たら『あ~この頃こんなのあったね』って絶対思い出す!」と笑えてしまったり。
物語の深いメッセージ性だけでなく、まさしく「舞台は時代を反映するもの」として、本当に本当に!面白かったのです。そしてDVDの画面では切り落とされてしまっていた、広い舞台全体で繰り広げられる「お芝居」のエネルギー!
実川さん演じるヒトミの、小動物のような可愛らしさや健気さ、不安定さ、そして透明感。
多田さん演じる小沢の、やんちゃで元気な男の子がそのまま大きくなった?とでも言うべき元気やパワー、純粋さ。
弟や妹、あるいは会社で仲の良い後輩たちのカップルでも見るようなリアリティ。坂口さんの繊細でどこか悲壮感すら漂うヒトミや、上川さんの言葉少なに優しく見守る小沢とは全然違います。
今では彼らよりも年上になった(笑)私から見た、27歳のふたりが「すぐ隣にいる」ような。手を伸ばせば「そこにいる」ような・・・この感じこそが「いまの空気感」だ、と私は受け止めました。
岩城先生の「私はプロフェッショナルだ」と一本バーンと筋の通ったブレなさも、若いキャストの中でとても良い存在感を醸し出していましたし、佐久間先生の凛としてしなやかな存在感と好一対。今回の典子はキャリアウーマン風にスーツを着こなしながらも姐御肌なところは変わらず、何だか親近感?!(笑)初演のヒトミ=坂口さんが今回演じるお母さん(郁代)は、観ているだけで涙が滲んでしまうような・・・実川さんのヒトミを見守る目、まさしく「母のような優しくも強いまなざし」じわっときました。朝比奈さんと若杉くんの掛け合い漫才(違!)はやっぱり面白いんだけど、俳優さんの個性が加わると同じセリフでもこんなに違って聞こえる、とか、初演の典子さん(=岡田さん)が姿を変えたあつこさんは、やっぱり「あつこさん」!以外の何者でもなく。どこまでホントなんでしょう?(笑)そして大友先生はすごく「イマドキの」好青年。でも「私の知っている誰か」にとても似ていて、でも思い出せなくて、最後まで気になって気になって(違)ゴメンナサイ!(^^;
BGMや主題歌は初演と同じくSpiral Life。会場がライブハウスということもあり非常に音響効果が良くて、かえって「大きすぎるんじゃないか」と思う瞬間もありました。が、セリフの響き方を含めて音の良さにびっくりしたのは事実!
終演後、劇場を出て六本木の駅に向かう道すがら、何とも言えない余韻がじんわ〜り温かく胸に上がってきました。
あれだけの吸引力を備えたストーリー、生で観たらDVDなんかよりももっとシリアスで重いインパクトが来るはず!と思っていたのですが、それは肩透かしにも似た不思議な感触でした。
「生きているってどういうこと?」
あれほど「重い」と感じたそのテーマが、何故か「そう、自分はこうして呼吸して歩いて考えながら生きている。そうやって生きているからこそ、前に進める」――舞台を観終わった後、そう捉えている自分がいました。安っぽい言い方かもしれませんが、自分が生きていることにじんわり感謝した、とでも言えばいいのでしょうか。
あの感覚は、1日経っても上手く言葉に表すことができないでいます。
いいお芝居でした。
また3月東京に凱旋したら、今度は古くからのキャラメルボックスファンの友人と一緒に観に行きたいと思います!(^-^)
≪追記≫
1995年版DVDを見ながら涙したのも、2014年公演の後に仄かな温もりが心に湧き上がってきたのも、同じ問いかけ「生きているってどういうこと?」に対して私なりのひとつの答えの出し方だったのかもしれない、とブログを書き終えてから考えました。
日常で改めて思い返すことがなくなっていた「生きているということ」のシンプルな意味とその重さ、大切さに気付かされて心が震えたのが1995だとしたら、2014では絶望や困難の中でさえ「生きているということ」の持つ可能性や希望の確かさを(それこそ小沢の掌の温もりのように)私は見出していたのだと思います。
そして何故か嬉しい気持ちになっていたのは?
これまで「ひとの話や記録媒体の中での存在」だったキャラメルボックスが、生身で私の人生の舞台にやってきた!これからはお芝居を「いまの時代」のライブで観られるんだ!ということが嬉しかったのだと思います。学生時代から好きだったよ、と言う友人の足元にも及びませんが、私にとってのキャラメルボックスは、これからです!(笑)
Story has just started!
心から感謝をこめて!ありがとうございました!!(^-^)
□ □ □
≪アフタートーク追記≫
この日は上演後に作家の角田光代さんと真柴あずきさん(『ヒトミ』脚本執筆、そして1995の佐久間先生~v)のトークショーがありました。角田さん、客席を見て「平日の昼間なのに舞台観に来れる人は、一体何をしている人達なの?」と怪訝に思われたようですが、「普通の宮仕えサラリーマンが何とか仕事やり繰りして観に来ているのです〜!」と心で呟いておりました(苦笑)ちなみに観た感想で「ヒトミって、あの女の子の名前だと思ってたら、最後『ああ、このヒトミか!』って思ったの!そこが一番の感想」と言って真柴さんをびっくりさせていましたが、実は私も1995初見時、同じシーンで同じことを思った!ものですから、不思議な一致でそっちにもビックリ!
角田さんは真柴さんとは大学の演劇サークルつながりということで、学生時代のエピソード「真柴さんはとにかく怖かった、なんかわからないけど迫力があった」(隣で物言いたげな真柴さんがキュートw)「大学時代にサークルの女子全員でチョコをひとり一つ買って、それを同じサークルの男子にくじ引きで配るという風習があって、それが生まれて初めてのバレンタインチョコ体験だったのに『やらされ感』ですっかりアンチバレンタイン化してしまい、36になるまでチョコは買わなかった!」とか、なかなか聞けない?不思議話を伺えました。しかしあまりにも色気とは縁遠いエピソードばかりで、バレンタインスペシャルというよりは・・・おっと、こんな雪の夜に誰か来たようですw
≪蛇の足≫
典子さんのハイヒールは8センチじゃなくて5センチでも良いと思います。舞台上での「歩きにくそうな気配」が伝わってきてしまって…腰から下、ヒザのラインがどうしても気になって、気になって。(^^;
【公式サイト】
http://www.caramelbox.com/stage/acoustic2014/hitomi.html
会場となったEXシアターはヒルズにほど近い、2013年秋に完成したばかりのライブハウス!
まさかここが劇場になるとは思いませんでした(^^;
1か月前の公演告知に加え、平日のお昼公演ということで?残念ながら満員には程遠い状態でしたが、おかげで3列目の中央付近、非常に良い席を入手!一歩シアター内に入ると、まさしくDVDで観たものに近い舞台セット――ホテル/病院の壁、3人掛けソファ、1人掛けソファ、手前にあるのは海岸の砂浜?そして、グランドピアノ!――が目に飛び込んできて、もうドキドキMAX。あれがホントに目の前で観られるんだ!とテンション上がりすぎて、ちょっと足元がフラっとしながら着席。もうどうしたら良いやら。誰か頭から冷たい水でもぶっかけてください状態…(笑)なお予習のために1995年の初演版DVDを見ていきましたので、ストーリーと登場人物の相関、おおまかな台詞の流れは頭に入っている状態です。(2004年の再演版は未見)
それにしても「何がそんなにテンション上がってたんだ?」と言う理由は、ひとつに「2014年のいま、この時代の『ヒトミ』が観たい!」ここにあったと思います。
どれほどキャストが素晴らしいお芝居をしていても、いかんせん舞台は「総合芸術」・・・19年前という(避けようもない)「一昔前感」は否めません。ただ、それを差し引いても「また、絶対に観たい」と思うほどに、物語がとても強い吸引力を持っていると感じたのです。
舞台に比べたら小さく区切られたごく一部の画面ですが、物語そのものの持つ深いテーマ「生きているってどういうこと?」が、「いまを生きている」自分に投げかけられているようで。そのためには「いまの物語」を観に行かないと!――この心境の変化をうまく言えないのですが、きっかけは「キャスト」だったのが、むしろ初演を見た後は「この物語が観たい!」と、逆になっていたようにすら思いました。
ふたつめは「いっさいの事前情報をシャットアウトして飢餓感MAXで初見」を自分に課していたこと。CM、劇団サイト、ツイッターで流れる稽古の様子など、先入観を作りそうなものは可能な限り遠ざけ、自分の感覚と受容力を「まっさら」にしておきたかったのです。だからもう直前あたりは「耐えろ自分!見ちゃダメだ!読んじゃダメだ!」状態!(笑)
そんなわけで?午前中に入っていた会議や仕事が押してしまい、かなり気持ちは焦って会場入りしましたが、前説にもちゃんと間に合いました!(笑)あんなに面白いとは!そして携帯チェックは大事です!(爆)どの劇場の公演でもあのくらい丁寧に携帯チェックすればいいのに!と、昨今のウッカリ率の高さに辟易としている私は思ったのでした。
□ □ □
≪キャスト≫ (敬称略)
■登場人物______■1995______■2014
水谷ヒトミ______坂口理恵_____実川貴美子
小沢________上川隆也_____多田直人
岩城先生______近江谷太朗____稲荷卓央
佐久間先生_____真柴あずき_____岡内美喜子
大友先生______菅野良一_____鍛冶本大樹
郁代(ヒトミの母)____大森美紀子____坂口理恵
典子(ヒトミの親友)__岡田さつき_____渡邊安理
朝比奈(ホテルマン)__西川浩幸_____左東広之
若杉(ベルボーイ)___今井義博_____鈴木秀明/関根翔太
あつこ(清掃係)____津田匠子_____岡田さつき
1990年代後半のキャラメルボックス作品では『TRUTH』(1999年、DVD/2005年版も視聴済み)を見ていたので、初演版ではああ!と思う俳優・女優さんもたくさんいらっしゃいました。そして今回初演で演じた方が別の役を演じていらっしゃるのが、きっと長く見てきた方なら感慨無量なのだろうなあ、とも。(超・初心者の私ですら19年という時間を思ってその重みや深みに思いを馳せるくらいでしたから!)
これから大阪公演、名古屋公演を経てサンシャイン劇場に戻ってくるということなので、これからもっともっとお芝居は馴染んで良くなっていくと思いますし、あくまでも初日初見の感想となりますが(ネタバレごめんなさい!)ただ確実に言えるのは ―― いまの『ヒトミ』が観たい、という私の願いは「叶えられました」!!!(嬉!)
明転して、舞台にキャストが揃う第一幕第一場。
キャストたちの視線が一点・・・ヒトミに集中する、あの瞬間の得も言われぬ緊張感!
「やっぱり舞台はナマで観てこそ!」と、ゾクゾクするような興奮を味わいつつ、新しく形作られた『ヒトミ』の世界にぽんっ!と飛び込めた気がしました。
1995年版を見ているときに、どうしても拭いきれなかった「当時の自分の年齢(=もちろん今よりはるかに若い!)からみたら感じたであろう、登場人物たちの『遠さ』」・・・ヒトミはもっと大人の女性に見え、彼女を見守る小沢君はもっともっと遠くにいるような「落ち着き」を見せ、周囲の人間模様もどこか「別世界」、1995年という時代背景が作っていた「壁」のようなものが、2014年版ではスルっと自然に消えて無くなっていた・・・そんな感触です。
もちろん、1995年当時からファッションや社会・時代背景だけでなく、私たちの生活スタイルそのものが大きく変わってしまったように、台詞やディテールの小さな変更は当然ありました。それは私には「こう変えてきたか!」「なるほど、こっちの方がスッと入る!」「あ!ここを変えるとこういう面白さがあったのか!」という、(本来のストーリーに加えて)「キャラメルボックスが描く2014年の縮図」を楽しむワクワクでした。ヒトミを中心に人々が織り成すかかわりを象徴するようなコリオグラフィーも「おっ」と思う目新しさ、ちょっとしたヒネリやアドリブも「きっとこの公演がDVDになって、10年後に見たら『あ~この頃こんなのあったね』って絶対思い出す!」と笑えてしまったり。
物語の深いメッセージ性だけでなく、まさしく「舞台は時代を反映するもの」として、本当に本当に!面白かったのです。そしてDVDの画面では切り落とされてしまっていた、広い舞台全体で繰り広げられる「お芝居」のエネルギー!
実川さん演じるヒトミの、小動物のような可愛らしさや健気さ、不安定さ、そして透明感。
多田さん演じる小沢の、やんちゃで元気な男の子がそのまま大きくなった?とでも言うべき元気やパワー、純粋さ。
弟や妹、あるいは会社で仲の良い後輩たちのカップルでも見るようなリアリティ。坂口さんの繊細でどこか悲壮感すら漂うヒトミや、上川さんの言葉少なに優しく見守る小沢とは全然違います。
今では彼らよりも年上になった(笑)私から見た、27歳のふたりが「すぐ隣にいる」ような。手を伸ばせば「そこにいる」ような・・・この感じこそが「いまの空気感」だ、と私は受け止めました。
岩城先生の「私はプロフェッショナルだ」と一本バーンと筋の通ったブレなさも、若いキャストの中でとても良い存在感を醸し出していましたし、佐久間先生の凛としてしなやかな存在感と好一対。今回の典子はキャリアウーマン風にスーツを着こなしながらも姐御肌なところは変わらず、何だか親近感?!(笑)初演のヒトミ=坂口さんが今回演じるお母さん(郁代)は、観ているだけで涙が滲んでしまうような・・・実川さんのヒトミを見守る目、まさしく「母のような優しくも強いまなざし」じわっときました。朝比奈さんと若杉くんの掛け合い漫才(違!)はやっぱり面白いんだけど、俳優さんの個性が加わると同じセリフでもこんなに違って聞こえる、とか、初演の典子さん(=岡田さん)が姿を変えたあつこさんは、やっぱり「あつこさん」!以外の何者でもなく。どこまでホントなんでしょう?(笑)そして大友先生はすごく「イマドキの」好青年。でも「私の知っている誰か」にとても似ていて、でも思い出せなくて、最後まで気になって気になって(違)ゴメンナサイ!(^^;
BGMや主題歌は初演と同じくSpiral Life。会場がライブハウスということもあり非常に音響効果が良くて、かえって「大きすぎるんじゃないか」と思う瞬間もありました。が、セリフの響き方を含めて音の良さにびっくりしたのは事実!
終演後、劇場を出て六本木の駅に向かう道すがら、何とも言えない余韻がじんわ〜り温かく胸に上がってきました。
あれだけの吸引力を備えたストーリー、生で観たらDVDなんかよりももっとシリアスで重いインパクトが来るはず!と思っていたのですが、それは肩透かしにも似た不思議な感触でした。
「生きているってどういうこと?」
あれほど「重い」と感じたそのテーマが、何故か「そう、自分はこうして呼吸して歩いて考えながら生きている。そうやって生きているからこそ、前に進める」――舞台を観終わった後、そう捉えている自分がいました。安っぽい言い方かもしれませんが、自分が生きていることにじんわり感謝した、とでも言えばいいのでしょうか。
あの感覚は、1日経っても上手く言葉に表すことができないでいます。
いいお芝居でした。
また3月東京に凱旋したら、今度は古くからのキャラメルボックスファンの友人と一緒に観に行きたいと思います!(^-^)
≪追記≫
1995年版DVDを見ながら涙したのも、2014年公演の後に仄かな温もりが心に湧き上がってきたのも、同じ問いかけ「生きているってどういうこと?」に対して私なりのひとつの答えの出し方だったのかもしれない、とブログを書き終えてから考えました。
日常で改めて思い返すことがなくなっていた「生きているということ」のシンプルな意味とその重さ、大切さに気付かされて心が震えたのが1995だとしたら、2014では絶望や困難の中でさえ「生きているということ」の持つ可能性や希望の確かさを(それこそ小沢の掌の温もりのように)私は見出していたのだと思います。
そして何故か嬉しい気持ちになっていたのは?
これまで「ひとの話や記録媒体の中での存在」だったキャラメルボックスが、生身で私の人生の舞台にやってきた!これからはお芝居を「いまの時代」のライブで観られるんだ!ということが嬉しかったのだと思います。学生時代から好きだったよ、と言う友人の足元にも及びませんが、私にとってのキャラメルボックスは、これからです!(笑)
Story has just started!
心から感謝をこめて!ありがとうございました!!(^-^)
□ □ □
≪アフタートーク追記≫
この日は上演後に作家の角田光代さんと真柴あずきさん(『ヒトミ』脚本執筆、そして1995の佐久間先生~v)のトークショーがありました。角田さん、客席を見て「平日の昼間なのに舞台観に来れる人は、一体何をしている人達なの?」と怪訝に思われたようですが、「普通の宮仕えサラリーマンが何とか仕事やり繰りして観に来ているのです〜!」と心で呟いておりました(苦笑)ちなみに観た感想で「ヒトミって、あの女の子の名前だと思ってたら、最後『ああ、このヒトミか!』って思ったの!そこが一番の感想」と言って真柴さんをびっくりさせていましたが、実は私も1995初見時、同じシーンで同じことを思った!ものですから、不思議な一致でそっちにもビックリ!
角田さんは真柴さんとは大学の演劇サークルつながりということで、学生時代のエピソード「真柴さんはとにかく怖かった、なんかわからないけど迫力があった」(隣で物言いたげな真柴さんがキュートw)「大学時代にサークルの女子全員でチョコをひとり一つ買って、それを同じサークルの男子にくじ引きで配るという風習があって、それが生まれて初めてのバレンタインチョコ体験だったのに『やらされ感』ですっかりアンチバレンタイン化してしまい、36になるまでチョコは買わなかった!」とか、なかなか聞けない?不思議話を伺えました。しかしあまりにも色気とは縁遠いエピソードばかりで、バレンタインスペシャルというよりは・・・おっと、こんな雪の夜に誰か来たようですw
≪蛇の足≫
典子さんのハイヒールは8センチじゃなくて5センチでも良いと思います。舞台上での「歩きにくそうな気配」が伝わってきてしまって…腰から下、ヒザのラインがどうしても気になって、気になって。(^^;