徒然草庵 (別館)

人、木石にあらねば時にとりて物に感ずる事無きに非ず。
旅・舞台・ドラマ・映画・コンサート等の記録と感想がメインです。

天保十二年のシェイクスピア

2014年02月02日 | 舞台
週末のDVDとして選択。
本当は癒しの作品を求めていたのですが(笑)あいにく手持ちに良いものがなかったので。



『天保十二年のシェイクスピア』
誤解のないように。天保十二年の江戸にタイムスリップしてきた、ウィリアム・シェイクスピアさんの話ではありません。 ←



完全超悪、というキャッチコピーに既に笑ってしまいましたが、観終わった後は、とにかく「上川さん、出演の役者さんたち、お疲れ様でした~(^^;」とねぎらいの声をかけたくなってしまいました。
上川主演と銘打ちつつ、正直見せ場までが長い!耐えられないくらい長い!wネタ的に鉈切り丸(=リチャード3世)とマクベスとリア王でツッコミ満載。時々ハムレットとロミジュリ、オセロ。要はシェイクスピアのパロディ満載です。

とにかくダラダラ長い(元の井上ひさし氏の戯曲が4時間越え)しかも歌があまり面白くない。芝居で攻めたほうがよかったんじゃないかと思ってしまうくらいに。そして新感線でもおなじみの俳優さん、客演の皆さんが勿体ない使われ方を(これってお約束?)…自分がナマで観に行っていたら、ちょっとキツいなーと思ったに違いないです。
原作戯曲は読んでいないものの、頭にシェイクスピアが入っていたらキャラ設定は素直に入ります。が!何せ登場人物が多い!多すぎる!wしかもシェイクスピア的小ネタを探すのが楽しくて&舞台(大道具)の衝立やら屏風やらに描かれた絵や文字がおもしろすぎて気になって!肝心の芝居の筋がうっちゃり状態!これでは本末転倒であろうに…ダメじゃん、自分…orz

(古田さん、阿部さん、その他新感線でおなじみの皆さん、もっと良い使い方があったんじゃないかなあ…。)

パッと感じた印象は「場末の見世物小屋感満載」――歌と踊りと殺しと女と大騒ぎ満載。これは去年の『マクベス』でも思ったことですし、正直に言うと暮れの歌舞伎座興行でも思ったことでした。つまり、その時の感想「シェイクスピア≒歌舞伎」的記号が再現されたような。今でこそ古典ですが、創作当時はアウトローだったり問題作だったりするわけで、底辺に流れる基調音は同じなのかもしれないな、とも。歴史に題材をとって換骨奪胎し、時流や権力に物申す、あるいは阿諛的なところも共通していると感じました。

上川さんの下種で悪党でビジュアル的にもほぼ原形をとどめていない(第一幕が特に)appearance、新鮮でした。殺しも騙しも女もヤリたい放題ですので、たぶんR15指定です(爆)そして相変わらずあの台詞回しは圧巻!流石。
勿体なかったのは音響が悪いこと!(収録機材の問題?)音と台詞がいまいち相性が良くなくて、それも聞いていてツラい部分ではありました。そして申し訳なかったのは、第二幕ラストの見せ場までひたすら長いので、いい加減飽きてしまいそうに(+金曜晩の疲労と睡魔に勝てそうにないくらい)なったことでした。

あくまで連想ですが「顔に醜い(火傷)跡がある」「身体障害がある」設定で、次に何か役を演っていただくとしたら『オペラ座の怪人』のファントム役なんて素敵かも!(ジェラルド・バトラー素敵だったし!大人の色気でここは!)と思ったのですが…あのお方、歌うたう役はダメだ!絶対ダメ!却下!と自分ですごくがっかりしました。(苦笑)

↓ 多分こんな具合

クリスティーン「先生が歌うとオペラ座が壊れるんで止めてください(真顔」
ファントム「えっ(涙目」

※あの先生ではクリスティーンは絶対にプリマになれないですwこの作品でも歌ってるシーンは微妙極まりなく(いやソレを言うならすべてのキャストの歌が微妙だった)歌、または歌うことへの緊張感、きっとあるんでしょうね。


ラウル「クリスティーン、君なら神の声で歌えるのに…何故そんな怪物に情けをかける!」
クリスティーン「ラウル様!この方は決して悪い人ではありません!芝居は最高に上手いんです!ただ歌が…歌だけが…っ!」
ファントム「頼むからもうやめてくれ(泣」 ← 


もうひとつ(スミマセン)…俳優さんの歌はどれだけ上手いひとでも芝居に織り込まれた瞬間に「台詞な歌」になってしまうので、日本語ではなおのこと、難しいかもしれないなあ…と感じております。それはまた別の機会に語りたいと思います。


そんなわけで。
今日一番ツボったのはキャッチコピーの一言。


「完 全 超 悪」! (笑)


お粗末さまでした!