雪のドイツから戻ってまいりました庵主です。
遅ればせながら、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、私の2015年舞台初めは『真田十勇士』再演初日!
初演は2013年8~10月。私が上川さんに本気でハマるきっかけになった記念すべき舞台です。
大阪への遠征を含めて都合6回観ました。
こうした大規模商業演劇で、たった1年で再演決定という奇跡的な成り行きをみるとは思いませんでした。もちろん期待・大!!!気合入れて良席チケット取って、待ち構えておりました。
当初マイ初日を10日(土)に設定していたのですが、この日に超のつく前方SS席が来たので、あわてて初見として少し後ろから全体を俯瞰するS席を追加。思わぬ初日ピン参戦でさらに驚いたことに!席に行くと隣に見知った顔…観劇仲間の友人がいるではありませんか!?
一瞬「この日一緒に来る約束してたっけ?!」と大混乱w
実はその友人の知り合いが急病で来れなくなり、全く関係の無い(もちろん別々に取っている)ハズのチケットが回りまわって彼女のところに…そして千数百分の1の確率で私の隣の席だった、というわけ。
新年早々神様の悪戯にしてはビックリ!!!いや~~~。驚きましたね(^^;
そんなわけでざっくりとした初日覚え書き&レビューです。
真田十勇士(2015)
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≪公式HP≫
http://www.sanadajuyushi.com/
≪スケジュール≫
東京公演 2015年1月8日(木)~1月25日(日)
名古屋公演 2015年1月31日(土)~2月1日(日)
大阪公演 2015年2月5日(木)~2月8日(日)
福岡公演 2015年2月13日(金)~2月15日(日)
≪キャスト≫ ※敬称略 ☆印は初演から変更
上川隆也 (真田幸村)
柳下 大 (猿飛佐助)
黒川芽以 (ハナ・花風)☆
葛山信吾 (霧隠才蔵)
山口馬木也(服部半蔵)
松田賢二 (由利鎌之助)
渡部 秀 (真田大助)
相馬圭祐 (豊臣秀頼)
小須田康人(大野修理治長)
粟根まこと(根津甚八)
鈴木健介 (望月六郎)☆
吉田メタル(三好清海入道)☆
俊藤光利 (大野治房)
佐藤銀平 (三好伊佐入道)
玉置玲央 (穴山小介)
三津谷亮 (筧十蔵)
賀来千香子(淀の方)
里見浩太朗(徳川家康)
☆
脚本:中島かずき
演出:宮田慶子
主題歌:中島みゆき「月はそこにいる」
題字:紫舟
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ゲネプロの写真等から舞台装置・衣装はほぼ初演と同じと思っていましたが、その通りでした。若干衣装を新調したキャストもいましたが、全編九割以上変わりはないと思います。
あの壮大な八百屋舞台(スロープ)は、客席側の前端が緩やかな曲線を描く木材の「寄木細工」それがなだれ落ちるようなデザインになっていて、今回ACTの最前・A列は潰されています。よって最前列はB列です。なお(当然ですが)通路位置に変わりはありません。
キャストのメイクや扮装で明らかに違っていたのは以下の通り。(見落としあるかも)
■由利鎌之助
顔に走る刀傷(左額から鼻~右頬まで)と、無精髭。初演時より長い髪の束ね具合が乱れていて、左側の前髪がザンバラに落ちている&ハイライトに入った白髪が余計に目立つ。
■大野治房
初演時になかった口髭発生。
■真田幸村
第二幕の西芳寺での羽織が、炎のような裾模様の入った黒地&赤の羽織から、登場シーンでも着ている赤い金襴羽織(孔雀色の裏地)に。あれシックでよかったのになあ…。
続く「飲んだくれシーン」でも金襴羽織のまま。
■冬の陣後の総郭の様子、セットは壊されて廃墟になっている。
その他シナリオの変更点など。
■冒頭の徳川方の侍と農民のシーンが全カット。
■最初に出てくるのは鎌之助。
■ハナの店で佐助と鎌之助が清海&伊佐とやりあうシーン、十勇士全員が出てくる。
■ハナの正体がバレるシーン、完全変更。幸村と才蔵が明確に見抜いてハナを詰問→半蔵や徳川方の忍びが出てくる。ハナも開き直って佐助の目の前で正体を明かす。幸村が小芝居をするシーン&関連のやり取りは全てカット。
■第一幕は場面の変更が多く、第二幕はほぼそのまま。家康vs幸村のガチバトルが長く&位置変更になってた。
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≪印象≫
初演はとにかく素晴らしいパワーと美しさに満ちた傑作だったので、今回キャスト変更もあって「どう変えてくるか、あるいは変えないでくるか」が一番の楽しみでした。
以下、かなり辛口になります。
素人のなんちゃって劇評ですので、こういったものがお好きでない方は閲覧中止をお勧めします。
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観る側の「初日割引」を差し引いても今日の出来は正直なところ「50点」でしょうか。
上川さんコスプレプロモビデオ(笑)要素を除いて芝居単体だったら、今日はコスパ的にあり得ない…割に合わない!と思ってしまうこと間違いナシでした。
偶然同席した友人(当然初演を観ています)も「・・・」と渋い顔。第一幕終了段階でお互い思わず顔を見合わせて「む~~~」と唸ってしまったのでした。
初演を超えよう、初演よりいいものにしよう、という
作り手・演じ手の強い意志と意気込みは感じる。
でもそれが全て空回りしている印象。さらに強い「やり過ぎ感」。
まず、初演からの変更キャストさんについては、似せている部分があったり、変えてきている部分があったり…中途半端感が目立ち、いっそ思い切りキャラ設定変えたほうが良かったのではないか?と思う部分が多々ありました。初演が強すぎて、逆に「変えないとあの存在感に勝てない」というキャラもいましたし。
そして初演から続投キャストの皆さんも、初日ゆえまだ固さが残り、お芝居全体が馴染んでいない印象です。その中で安定感があったのは甚八さん、治長さん、大御所様。ほかは声が出ていなかったり、今ひとつだったり。←このあたりはきっと今後変わると思っておりますが。
舞台というのは公演を重ねるほどにどんどん進化していくものですが、今回の再演初日については「初演の大千秋楽からの進化」ではなく、全く新しい舞台の初日として、これから1ヶ月、舞台の上のキャストと私たち観客が磨き上げていく「スタート地点」というイメージを持ちました。逆に言えば、期待が大きかった分、ちょっと失望にも似たがっかり感があったのも事実です。
一番の違和感は「何かにつけてtoo much」なこと。初演のストイックに厳選した見せ場の緊張感が好きだったのですが、今回はさらに「これも」「あれも」と盛り込みすぎて、シーン一つ一つが「やり過ぎ感」…パンクしているな、あるいは盛り込みすぎて雑になってるな、と思うシーンが多く、これは一体どう解釈したら良いのだろう…と困惑する場面も少なからずありました。(選択と集中の間逆)
無理矢理全員の見せ場を作ろうとする→冗長になる、あるいは不要に盛り上げようとした結果滑っている、そんな印象です。シンプルにそのまま行けば良いのに、いらないものをどんどん投入して味付けがめちゃくちゃになった料理のよう。
元々初日の舞台は「味の染みてないおでん」ですが、そこに加えて「おでん(和食)なのに無理矢理新しさを狙ってトマト缶入れてみた!」みたいな、カオス。もともとの良さがアレでは消えてしまいます。
盛りだくさんてんこ盛り狙い?…その割には、第二幕ラストの十勇士討ち死にシーンが「大雑把」「勢いだけで流している」用に見えてしまい、演出としてどうなのかな?とも。
BGMも、気のせいでしょうか…同じものを使っているとは思うのですが、シーンと音楽の相性が「馴染んでいない」どうにも舞台ではなく映像的で安易なSEの重ね方に思えてしまい、これまた「初演ってこんなんだったっけなあ…?」多分キャストの動き・台詞とSEが合っていないところもあったせいかと思います。
動きと言えば、殺陣。ダイナミックな殺陣が売りの一つでもある作品ですが…今日は全然ダメでした。キャストによっては完全にタイミングがあっていなかったり、乱闘シーンで一人だけ上手くてモブの動きがついて来れていなかったり、動きの噛み合わなさがキャストの無用な緊張感(固さ)を生み…これは今後変わっていくとは思いますが、今日に限って言えば「アレはないわ~」でした。
主演の上川さん(来年の大河は何故この方の幸村様じゃないのだ!)も、様子見モード+終盤ちょっとお疲れモードのようで。もちろん、折々のカッコいいシーンは流石なのですが、こちらとしては期待値の7割。なお、カテコの初日挨拶はなしでした。
そうそう!殿のアドリブ@めしやは「どんなに上手い料理でもあいつらの手が作ったと思うと初日から気持ちが萎えてしまうわw」←初演思い出して爆笑w
というわけで。
上川幸村様&愉快な仲間たちとの再開は嬉しかったものの、お芝居としては「今後に期待!」
(1月11日追記)
2回目観に行ってきました。初見より随所の芝居や演出の冗長さが「キュッ」と締まって、とても楽しく観ることができました。テンポもよく、殺陣のスピードも上がり、初日とは全く別の芝居を観ているようでした!高揚感に満ちたエンディング、カテコのキャストの皆さんや座長の笑顔にもあらわれていたかと。
真田十勇士 (2015年再演) 2回目・ネタバレあり
http://blog.goo.ne.jp/sally_annex/e/efda490e8686cbfdf92a1d682dd2d46d
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≪おまけ:ACTシアターのお花≫
今回もいろんな方からのお花が届いていました。一部をご紹介します☆
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次回は10日(土)観劇予定です。