キャラメルボックス Feat. D-BOYS
『また逢おうと竜馬は言った』東京公演
ご無沙汰&筆不精しております。
早くも6月半ばを過ぎたことに呆然としている庵主です。
今年前半の舞台は、そこそこ(最低限とはいえ)観ていたのですが、記録に残す心身の余裕がなく、本館(twitter)で呟いて終わり、という情けない状態でございました。
2月 『きみのいた時間 ぼくの行く時間』(キャラメルボックス)3回
3月 『きみのいた時間 ぼくの行く時間』(CB)1回
『フォーゲット・ミー・ノット』(CB)1回
4月 『乱鶯』(新感線)1回
5月 『ナミヤ雑貨店の奇跡』2回 他、ライブやコンサートが数本。
それでも!!心待ちにしていた作品が5月末、ついに開幕しました!
キャラメルボックスの『また逢おうと竜馬は言った』!!!
しかもD-BOYSとのコラボレーション!!!(嬉!)
BLACK版では「この人しかいないでしょ!」のオカタツ竜馬に、あの陳内くんががっぷり4つで競演!
そもそも陳内くんの岡本は、去年の『パスファインダー』(これも大好きな作品で、DVD購入したほど!)からの「いつか観たい!」と願っていたキャスティング。こんなにも早く夢が叶いました!
そして2バージョン(黒白)と聞けば、あの名作『鍵泥棒のメソッド』を思い出さずにはいられない!
WHITE版のオトナで知的&おちゃめな大内さんの竜馬には『SHIP IN A BOTTLE』で共演した三津谷くん。『真田十勇士』でも華奢な見た目に反して素晴らしい身体能力と、ガッツあるお芝居を見せてくれたのが蘇ります。さらにDステの『駆け抜ける風のように』で好演が光った山田くんと前山くん。
これは期待するなと言うほうが、お・か・し・い!(笑)
と言うわけで、多忙な中、なんと2回も東京遠征を敢行し、最終的に黒5回、白4回を見届けた記録を残しておくものであります。(これ、黒白無限ループにまんまと嵌ったクチですな…それほどに毎回見ごたえのある&中毒性のある舞台でしたがw)
キャスト(敬称略)
BLACK
岡本:陳内将
竜馬:岡田達也
ケイコ:渡邊安理
本郷:山田悠介
棟方:小多田直樹
時田:前山剛久
石倉:原田樹里
小久保:前田綾
さなえ:実川貴美子
カオリ:大滝真実
伸介:大内厚雄
土方:三津谷亮
WHITE
岡本:三津谷亮
竜馬:大内厚雄
ケイコ:渡邊安理
本郷:山田悠介
棟方:小多田直樹
時田:前山剛久
石倉:原田樹里
小久保:前田綾
さなえ:実川貴美子
カオリ:大滝真実
伸介:岡田達也
土方:陳内将
☆
ACT.1 東京公演(5/28~6/12)
①5月29日(日)マチネ BLACK初日
何故、前日の28日(土)WHITE初日を敢えて観ない選択をしたか?わざわざ遠征するのに?と友人にはだいぶん問い詰められたのですが。理由は至ってシンプル。「達也さんの竜馬でまず観たい!」これは、一昨年の『駆け風』で「もう終わりだよ」と宣言されていた当たり役!やはり自分としては、再びナマで真っ先に観たい!それが理由でした。
『パスファインダー』で見せた陳内くんとの絶妙のコンビネーションも、キャラメルの名作中の名作と呼ばれる作品に載せたら、最高のマリアージュになるはず。この直感、外すわけがない!と、確信しておりました。
で、実際観たら…。
観たら…。
もう、嬉しくって×∞(無限大)!!最初からラストまで笑顔!まさしく「夢」が叶いました!
D-BOYSの皆さんの、キャラメルボックスとの「お芝居の親和性」にも脱帽する2時間。作品自体は正直「90年代」の価値観やキャラ設定が色濃く残り、主役二人(岡本&竜馬)の成長物語として絞り込んだ見方をせざるを得まい、と覚悟していたのですが、いやいやどうして!!!キャラクター以上に演じる人の世代交代がこんなにもテイストを変えてくるとは!かつて『ヒトミ』『TRUTH』で感じた驚きと感動が今一度蘇るようで…文字通り、感無量。若くて、元気で、新しい「名作の復活」に立ち会った気持ちがしたのでした!(あと、最近ずっとキャラメルのお芝居観ると、いろんな意味で「滂沱の涙」状態だったので、今回の初見では素直に「ハッピーエンド」のような爽やかな後口に浸れたのも、意外なことでした。)
山田くんの本郷。おそらく歴代本郷の中で一番素敵で魅力的な「現代の」本郷イメージを作ってくれました。これまで、岡本はともかくも本郷というキャラにさほど魅力を感じなくて、ケイコさんは何故この男にそこまで惚れたんだ、と思わずにはいられなかったけれど、安理ちゃん演じるエキセントリックなケイコに対して、無骨すぎるほどの男臭さが、逆に中の人の持つ爽やかな魅力に中和されて、時代遅れ&嫌味にならなかった…という気がしました。岡本が魅力的な役なのは竜馬あってこそですが、一方で、男としての対極をこれほどステキな形で若々しく見せてくれたのは、成井さんの「あて書き」的な愛情かな?と。安理ちゃんに引っ張られてか、最初は硬さが目立った本郷が、どんどん「振り切っちゃう」二面性をさらけ出してくれるようになったのも、観ていて笑いをこらえきれない面白さ!!!個人的には、WHITEの本郷のほうが、よりコミカルで(いい意味での)隙のあるキャラに仕上がっていて、BLACKはもっと男っぽさや頑固さ、一直線さ、冷静さが表に出ていて、これは二人の岡本(みっちゃん&陳ちゃん)との、中の人とのバランスや関係性もあるのかな?などと楽しく想像をめぐらしておりました。
前山くんの時田。これまた、90年代の作品に「2016年の空気」を吹き込んでくれた功労者!と思います。チンピラ臭の抜けない(笑)小多田さんの棟方といいコンビで、いわゆる古いヤクザになるか、イマドキのマフィア(笑)になるか…彼の整った顔立ちと、相反した「食えないヤツ」といった空気感が、逆に「ゆとりですが何か?!」を極めても「過剰」にならないファッショナブルさを生み出していたと思います。彼の存在が、このお芝居そのものを「今っぽく」見せていたと言っても過言ではないかと。彼のような雰囲気を生み出す役者さんは、キャラメルにはいないですもんね(笑)。
この二人のアクションがまた、キャラメルではありえないほどのテンションの高さとスピード感。
やっぱり若いってステキです(笑)。
クロスキャストで初めて観る、大内さんの伸介と、三津谷くんの土方。伸ちゃんは何だかデジャヴ…去年の『時をかける少女』で演じてたアラフォー独身変人の大学准教授が結婚したら、こうなったりして…(苦笑)。
そして、みっちゃん演じる土方は、やはりその華奢なシルエットから「線が細い!副長と言うよりは沖田くんテイストだなあ…棟方を引っ張るようにはちょっと見えない」と感じたものです。こう見えてチャンバラ男子、もとい新選組大好きなので、初見はちょっと辛めの採点にさせて頂きました。
☆この日のアクシデント
井の頭公園でケイコのハンドバッグが池ポチャする!
安理ちゃん、陳ちゃん、達也さん「うわあああああ!」(場内も騒然www)
②6月11日(土)マチネ BLACK2回目
1年ちょっと前に大阪に転勤になって以来、元来ホームグラウンドであった東京公演は「遠征」になってしまい、なかなか舞台そのものを観る機会を作れなくなりました。が!29日のBLACKを一緒に観た友人(CB初心者で岡田達也ファン)と「オカタツ兄貴様の2500ステージだと?!観るべし!ハイタッチだと?!行くべし!」と勝手に盛り上がり、急遽遠征2回目を組んだ次第であります。そしてBLACKを観たら断然WHITEが観たくて仕方がなくなり、神戸まで待ちきれなくなり、ついでだから行ってしまえ!と決行に及んだと言う…。
その2回目。
二人でまず驚いたのが「陳内くん、こんな声だったっけ…?」
CB史上最も過酷な役、と評された「岡本」…初日の愛らしさとたくましさを絶妙にブレンドした、陳内くん版「岡本」の声は、無残にも罅割れてしまっておりました。「たった二週間で、何があった?!」と、改めて慄然とする我々。
しかし!声はかなり嗄れてたけれども、お芝居は断然グレードUPしていて、何よりキャスト同士の台詞やアクション、殺陣のスピード感が素晴らしかった!と唸らざるを得なかったことも事実。完全に初日とは別物で、開演10分も経たないうちに汗が額から、顎から滴り落ちる陳ちゃん岡本の熱演と、終盤に行くにつれて容赦なくボロボロになって(されて)いく彼の様子に、客席から思わず拳を握り締めて「頑張れ!」と声なき声援を送らずにはいられない!
そして圧倒的な安定感と言えば!この人、岡田達也様@竜馬。この日が記念すべき通算2500ステージ目、というのに、気負わず、焦らず(当たり前か)、この人の演じる坂本竜馬そのもののように「自由自在」!こんなにも五感の全てを安心して委ねて観ていられる役は、そうそう無い!!!この舞台観られてホントに良かった!と友人ともども、心震える思いをしたのでした。
そして東京初日に観て「意外さ」が先行した、みっちゃん土方。だいぶ芯が太くなって、声もドスが効いてきて、ワルの棟方が憧れるような「一線をとっくに越えた狂気をその身に潜めたダークヒーロー」像に近づいてきました!これはちょっとワクワクしてしまった驚き。そうそう。この子は華奢で可愛らしい外見に似合わず「佇まい、特に眼に宿る狂気」を演じられる役者さんでした。近くで見れば見るほど伝わってくるのかも!
☆この日の気づき
陳内くんはラストシーンに近づくにつれ、岡本を演じつつも素の「中の人」が垣間見えるようなシーンが増えてきました。それは役との同化が深まっていたからでもあろうし、一方で「達也さんの2500記念公演を何とか無事に!」という想いが迸っていたのだとも思います。実際、最後の「帽子を胸に照明を浴びるシーン」は、ホッとしたような、何ともいえない笑顔で、こっちまで「無事に終わった~!」とつられて微笑んでしまったのですから。
☆この日の主役挨拶
2回目のカテコ、何事もなかったかのように達也さんがいつもの挨拶。途中で隣の小多田さんが耳打ち!達也さん「え?」という顔で戸惑う→逆隣の陳ちゃんからも耳打ち!→ご本人、照れ笑いで「私事ですが、今日で入団通算2500ステージを達成いたしました!」とアナウンス、場内大喝采!鳴り止まぬ拍手!「こうして今までこれたのも、支えてくれた劇団の皆さん、観に来てくださるお客様、そして丈夫な身体に生んでくれた両親のおかげと感謝しています…って、母がこうして生んでくれたわけで、父親はギャンブル好きなんですが。(爆)それは関係なくて!今の言わなきゃよかった!(爆笑)2500は一つの区切りとして、これからも2501、2502…と積み重ねていこうと思います。本当にありがとうございます!(拍手)」
ここで、陳ちゃんが「ずいっ」と進み出て、高らかに宣言!
「岡田達也さんの2500ステージを祝して!胴上げします!」
劇場内騒然、舞台上も騒然!(後から聞けば、仕込みなしの完全アドリブだったとか!)しかし、そこは気心知れたキャラメルボックス。あっと言う間に主役を取り囲む!周囲を見回す達也さんの口が「だいじょうぶ?」と動くのを、私は確かに見たwww
ワッショイ!ワッショイ!で11人の胴上げで宙を舞う達也さん。
「人生で一度はやってみたいけど、野球でリーグ優勝した監督にでもならないと絶対無理だと思ってた…まさかこんな形で、夢が叶うなんて…」
珍しく?感無量な表情で呟く主役に、サプライズが成功してひたすら嬉しそうな陳ちゃん。
この二人&キャラメルボックスの「絆」が、サンシャイン劇場に居合わせた全員に強く強く伝わった、素敵な瞬間でした。
☆この日のハイタッチ
すみません、リアル竜馬Ver.の達也さんとハイタッチ!というだけで頭が「真っ白に」なってしまい、何とか「大阪から観に来ました!おめでとうございます!」と言うのが精一杯でございました。←このチキンハートめ!
③6月11日(土)ソワレ WHITE1回目
この日は流石に東京公演終盤の週末とあって、マチネもソワレもサンシャイン劇場は満員御礼に近い状態。そして今日東京での最終公演となるWHITE座組のお芝居を観るのは、私たちには初めてになります。
大内竜馬とみっちゃん岡本の関係性は、いかに?
達也さんの伸介はどんなバカップルっぷりを見せてくれるか?
陳ちゃん土方は間違いなくカッコいいはずだ!(期待度MAX!)
みっちゃん&大内さんの岡本&竜馬は、言うなればのび太とドラえもん。あんなにダメで弱くてヘタレた岡本観たことない!!流石「歴代最弱」と評されただけはある!と妙な感動が。何かあると「りょ~まぁ~!」と泣きつく様は、まさしく「のび太」そのもの!(笑)それを首根っこ掴んで引きずりつつ、厳しく優しく見守るオトナな竜馬。イイなあ!と笑顔になってしまう対比の面白さ。
とはいえ「CB随一の過酷な役・岡本」は、やはりWHITE版でもみっちゃんの喉を蝕んでおりまして、終盤かなり声が心配になってしまうありさま…なのに!ラストに近づくにつれ、みっちゃんの「燃え上がれ!燃え尽きろ!俺の小宇宙!」みたいな弾けっぷりが千秋楽マジック?もう明日がないと思ってやってるでしょ!?というのが丸分かり。周囲が止めようもないほどに「振り切れた」お芝居。終盤の見せどころ「…惚れたよ!」からの激白シーンは、もう汗と涙でぐっちゃぐちゃになりながら、それでも全身全霊で「前に進もうとする」岡本に、序盤のどうしようもない弱っちい姿からの成長を感じて、こちらまで胸が熱くなるほど。
最後の「旅立ち」場面には、照明だけではなく、文字通り真っ白に燃え尽きた微笑を浮かべたみっちゃん岡本がおりました...よく頑張ったね!エライ!と健闘を讃える温かい拍手が鳴りやまず。彼のチャレンジにも、彼が作り上げた岡本にも、私は惜しみなく拍手を送っておりました。
そして!期待していた陳内くんの土方が、それはもう想像の何百倍もカッコ良かったのです!今か今かと待ちわびた、登場の瞬間…「うわあああああああ!」(叫)一発で目も心も奪われたことを白状します!(笑)やや厚めに流した前髪、ブルーグレイのアイシャドウが綺麗に入った眦、少し冷笑気味に唇をゆがめる仕草が、どれも素晴らしく恐ろしく色気のある土方で、すらりとした立ち姿に浅葱のだんだら羽織がまあ似合うこと!(『駆け風』沖田の記憶が脳裏を過りました!)
殺陣も前よりずいぶん重みのある剣捌きができるようになって(観る側は大内さんの竜馬から迸る「剣気」にゾクっとさせられつつ)果敢に立ち向かい斬り結ぶ有様は、まさしく一幅の錦絵の如く。登場時間はおそらく2時間のうちの15分ほど、台詞もほとんどないというのに、何という印象深い美しさ!いや~、本当に、賛嘆の念を禁じ得ませんでした!!!
☆この日の「ブルータスよ、お前もか」
帰りの新幹線、キャラメル歴25年の友人が「今日のマチソワどうだった?」とメールを送ってきました。「素晴らしかった!神戸が待ちきれない!」と返したところ「私も今更ながらもう1回ずつ観たいと思った…」とのこと。以下やりとりの一部。
「どっち?黒?白?なんなら神戸に来ればいいのに!」
「遠征はできないけど、もう一度だけどちらかと言われたら、白!」
「あら意外。アナタなら黒かと」
「確かに竜馬は岡田達也が一番良かった。竜馬として全く違和感なく観られたし、とにかく上手いし流石だなと。ただ陳内くんの岡本は、頑張っていたけど、何だか想定内というか。あとは私が観た時、疲れが出てただけなのか、ちょっと発声が…。どうしても最初に観たWHITE版三津谷くんの、今まで見たこと無い、恐らく最弱な岡本だけど、最後にみせる強さに惹かれたから~」
「なるほどね、スタート地点は低いけど2時間の間に見せつける成長っぷり、ってのは分かる!」
「…と、いろいろ書いたが、一番の理由は、白はとにかく陳内歳三の麗しさが勝ったという訳だ!!!(ドヤァ!!」
「(絶句)………しかし彼の演じる土方主役で成井さん真柴さんに2時間ものの新作書いて欲しいくらい」
「激しく同意。あんなにはまった土方、滅多に出会えない!!彼の土方で一本芝居観たいと思うくらいに感動した。岡田伸介と別のところで目が釘付けになったわ!w ただ、発声はもっと頑張ってくれないとね!」
私は知っている。CB古参ファンである友人が「土方なら栗塚旭か上川隆也がマイ双璧!山本耕史はちょっと甘口すぎる」と常日頃言っていた歴史&時代劇好き女子でもあることを。その彼女の双璧に割って入った陳内将…恐ろしい子!!(白目)
そんなわけで、1日で2つの全く違う舞台を観ることができた満足感と完全燃焼感!
翌日のBLACK東京千秋楽も観たいなあ、と欲張りそうになる気持ちをググッと押さえて、この日は帰ったのでした。
☆ ★ ☆ ★
ACT.2 神戸公演(6/16~6/20)に続く...