徒然草庵 (別館)

人、木石にあらねば時にとりて物に感ずる事無きに非ず。
旅・舞台・ドラマ・映画・コンサート等の記録と感想がメインです。

2015年下半期 観劇メモ(抄)

2015年12月14日 | 舞台
あっという間に師走も半ば。2015年も残すところ2週間余り。
すっかり筆不精になってしまっている庵主です。

なかなか落ち着いて書く時間が取れないのですが、せっかくなので下半期に観に行った舞台の簡単なまとめだけでもしておこうと思います。



10月 
★キャラメルボックス『水平線の歩き方』(大阪2回・大垣1回)
 主役の岡田達也さんの魅力を余すところなく味わえる佳作でした。「もう若くはない」年代の男の、内面の焦りや諦めの悪さ、未熟さと成熟性のアンバランスさ、そして何よりも「愛されるダメ男」こういう役をやらせたらホントに良いなあ…と、じんわり。そしてがっぷり四つに組む相手が女傑w岡田さつきさん。この人の可愛らしいけれども芯の強い肝っ玉母さん役が、また笑いと涙を誘うわけで。改めて1時間とは思えないストーリー展開と意外性のある(そして含みを持たせた)結末にグッときました。
初演と同じキャストでの再演はこれで最後だろうという話。もし、次に上演するなら誰がどの役を、と思うと、それもまた楽しみです。


★キャラメルボックス『きみを送る』(大阪2回)
 外部脚本家による新作。『水平線~』と同じキャストが全く違うストーリーを物語るわけなんですが、最初に観た時はどうにも…「どうやってオチつける気だ?」と心配になってしまうくらいで、しかも登場人物がいろいろツッコミ所ありすぎて話にこっちが入っていけない、という奇妙な体験をしました。
二回目に観て、ようやく「謎解き」で「勘違いの繰り返しが巻き起こすドタバタ劇」である、と理解して、それなりに楽しめるようになりましたが…キャラメルっぽくなさを気に入るか、気に入らないかは観た人次第かな?評価の分かれる作品だと思いました。ちなみに、この作品の中で一番キラキラと魅力を放っていたのは、小多田さん!彼の良さがものすご~~く引き出されていて、面白い!思わずニヤニヤ。これはもう絶対脚本家が当て書きしたに違いない!と信じています!!


★赤堀雅秋作・演出/北村一輝主演『大逆走』(大阪)
 今年観た舞台の中で一番消化不良。3時間も時間かけて上演する必要があるのか?2時間で十分!と東京公演を観に行った友人が言っていたけれど、全く同感です。脚本演出家の自己満足!?と思うほど、無駄に長いお芝居。くどくて、鬱陶しくて、冗長に過ぎる。余計な話盛り込みすぎ。もう1幕もので十分だったのではなかろうか、とすら。展開にイライラしてしまい、心に余裕がないと観るの辛かったです。キャストはもっとテンポの良い芝居できる人たちばかり揃えてるから、余計に残念。キャストの無駄遣い。チケット無駄に高かったのも不本意。



11月
★ゲキ×シネ『SHIROH』&『蛮幽鬼』(塚口)
 新感線にご無沙汰だった今年。ゲキ×シネも大画面で見るのが本当に久しぶりで、二日連続興奮しすぎて眠れないという始末(笑)。塚口サンサン劇場さん、素晴らしい企画をありがとうございます!!


★末満健一作・演出/D-BOYS Dステ『夕陽伝』
 D-BOYSというより、個人的には池岡くんのお芝居を見たくて、なかなか取りづらいチケットを何とかゲット。そしたらまさかの最前列!!!という…1回しか観られない時には泣いていいのか笑っていいのか。
 それにしても、スエケンさん作品らしい派手な見どころがメガ盛り!美しさとおどろおどろしさと生々しさ。最前列で観る殺陣の迫力!しっかり楽しめました。池岡くんも期待通り!!いや、期待以上!昨夏の「涙を数える」でなんて芝居の上手い子なんだ!と驚き、この夏の「時かけ」爽やかな好青年からの!狂気溢れる役。振り幅の凄まじさと演技の上手さ、改めて驚かされました。そして遠藤副長@猿美弥の年齢にに似合わぬ落ち着きと曲者感、小芝風花ちゃん@陽向の愛らしさ&見事な変貌っぷり、山本亨さん@の凪大王の重厚さ。個人的には出雲役の荒井くんもGJ!聞けばDステ最高傑作との声もあるそうで。観て良かったです♪ (※誤解を恐れず言うなら、ちょっと新〇線っぽかったかな?)




12月
★末満健一作・演出『TRUMP』(大阪2回)
 偶然にも秋のスエケン祭り(笑)になってしまった2作品目。こちらもお馴染みの役者さんが客演しているので楽しみにしていました。これまた期待通り!(笑)とにかく世界観がしっかりしていて、ゴシックホラーでも読むような重厚感と、映像的なまでのビジュアルの美しさ。メインと周辺を取り巻く数人には明確なストーリーがあって、スピンオフがいくつでも書けそうな感じです。(ウルのお兄ちゃんのラファエロとダリ卿の話だけでスピンオフOK!)
 なお個人的に、ヴァンパイアものは学生時代愛読していた菊地秀行氏の『D』シリーズに加え、本家ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』、さらには『カーミラ』を英語で読破しているくらい好きです(笑)。もちろんアン・ライスの『ヴァンパイアクロニクル』も全部読んでます(笑)。だから用語やお約束は結構「常識w」で、スルっと理解できたのも、作品世界に素早く馴染めた要因でしょうか。
 ちなみに『TRUMP』大阪初日はmarbleバージョンで、もともとクロスキャストの2バージョンを混ぜて、さらに変化させたもの。私はreverseバージョンを2日目に観ましたが、結局このmarbleが一番気に入ったように思います。(truthバージョンも観たかった!)
オカタツさん(女装がめっちゃめちゃ可愛かった…ただのオカマですwハイ)とメタルさん(カッコよすぎますw)は別格として、ウル高杉くん、初主演だけどとても良いお芝居を見せてくれました。初日のクラウス役陳内将くんも凄かった!アレン演じてる2日目も良かったけど、私はあの狂気とボケの両極を漂うクラウス(正体がまたとんでもない存在だったわけで、二重三重に驚いたw)の空気感、陳内くんらしくて好きでした。




★キャラメルボックス『BREATH』(神戸3回、東京3回)
 今年最後にキャラメルボックスが総力を挙げて用意してくれた「特大のクリスマスプレゼント!」まさしくそんな作品です。東京ではまだ公演中なので、ぜひ未見の方に観て頂きたい!恋愛だけではない、家族や同僚、友人…人が人を想う時のあったかい気持ちに満たされる2時間です。
 神戸初日終演直後の感想は、とにかく「やられた~っ!」悔しいけどこの一言でした!キラキラの人間模様がいっぱい詰まった2015年最高の締めくくり。笑いと涙と胸キュン、てんこ盛りです。30周年の締め括りに相応しく、過去作品からのいろんな繋がりが(イヤミでない程度に)ちりばめられていて、私のような2年目ファンでも、観ていて「そう来るか!」「それ卑怯!ずるいよ~!」「涙キターーー!」座席で内心七転八倒、床を転げ回りたい程ツボる設定、場面、台詞、お芝居、見せ場が「これでもか!」と怒涛の連続。そしてどのキャラクターも見ているうちに「愛おしくなる」こと請け合い!
 何このキャラメルボックス!でもこれぞキャラメルボックス!期待通りで期待以上。この幸福感をどう言い表して良いかわからない。「予想通り?」と聞かれたら「予想通りって想像の範囲内でしょ?でも全然違う&想定外もいっぱいで、でもその驚きも想定内で..」と何時間でも語れる!ほどです。



 畑中さんは宣伝通り「彼にしかできない!」と納得のキャラクター。ファン必見。当て書きもここまで来ると最早壮大なクロニクルでファミリーヒストリー。相手役が林貴子ちゃん。このカップルのスピード感溢れる&パワフルな絡みは最高♪いいぞもっとやれwwwと喝采を送りたくなります。で、やっぱりあの愛すべきモフモフ感は最強w。


こっちがGreenの森めちゃんと。


 そして鍛治本さん演じる土居広務くん。シナリオ的には美味しい役なのに、勿体ないね、もうちょっと深められるんじゃないか、と。キャスティングなのか、演出方針なのか、または役解釈の違いなのか、と友人とは議論が尽きず。もっと言うなら去年の『太陽の棘』を観ているので、多田&岡内、鍛治本&小林という既視カップリングが尚更議論を白熱させたのかも?「CBで鍛治本さんに期待し、なおかつ観てみたい役は?」「諸先輩方のように当たり役を書くとしたら?」とか、ビール片手に熱すぎるトーク。容姿も身長も映える華やかさを持つ反面、真っ直ぐで好青年過ぎて、鬱屈や闇、男のサガとか業みたいな部分を演じるには、まだまだ修羅場経験が足りないのかなあ…でも、その持ち味を活かすなら、とことん甘い二枚目だけで世の女性ファンの夢を満たす役に徹するのもアリじゃない?なんてねw。
 いやキャラメルに業だの鬱屈だの求めちゃいけないのかもしれないけど『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』とか『TRUTH』もやるんだから、私はあの役にはもうちょい頑張ってほしかった、そう言ったら友人が「それで芝居が凄かったら、主役カップル食っちゃうよ」うん、それは分かってるんだ…w



 
 『BREATH』に関しては、東京にGreenチームの公演も観に行ってきたばかりで、いろいろと語りたいことはあるのですが…。またこれは作品全体をゆっくり振り返る時に書いてみたいと思います。


 ☆


 以上、走り書きでしたが2015年下半期の観劇メモでした!

 今年も拙ブログにお付き合いくださいましてありがとうございました。 
 来年も素敵な舞台にいっぱい出会えますように。