労働法の散歩道

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法定休日とはいつか

2017-10-15 08:31:02 | 休日

法定休日がいつか、この記事をお読みになる前に、ご自身の勤務先がどれにあてはまるか判断するガイドとして、要点を冒頭に書きます。

  • 週の起算曜日の定めの有無
あればその曜日、なければ日曜日が起算曜日となります。
  • 4週4日の変形週休制の適用の有無
あれば4週の起算日の定めがあるのでその日付から4週ごとに区切った枠内で判断、適用なければ原則の週休制ですので、週ごとに判断します。
  • 法定休日の曜日等特定する記述の有無
あればその日がその週(4週)の法定休日であり、それ以外の休日は法定外休日。
  • いずれの休日労働であれ35%以上の割増を支払う旨の記述の有無
法定休日を特定したものとして扱います(詳細は後述)。

以上の観点を、お勤め先の就業規則に記載がないか前もって洗っておいてください。以上で法定休日を特定できなければ、いつが法定休日か、引き続き下記の記事をお読みください。

休日とは

労基法35条に定める休日とは、週1日(以下「週休制」という)、また例外として4週4日(以下「変形週休制、または変形休日制」という)をさし、それ(ら)を法定休日といいます。それ(ら)以上に付与する休日を法定休日と言います。これら休日とは、使用者が指定する労働者の労務提供義務を免除された日のことです(広義の「所定休日」)。これら休日以外の日は、労働日となります。

休日(所定休日:広義) 法定休日
法定外休日(所定休日:狭義)
労働日

また休日は、暦日の0時から開始して24時間継続して与えなければなりません。これについては交替制等いくつかの例外があります。なお、労基法でいう休日とは前者の法定休日をさします。法定休日は0時からはじまるので、法定休日の前日から労働している場合、前日24時をもって前日始業からの労働は終わり、法定休日0時からのあらたな労働が開始されたものとして扱います。法定休日労働には時間外労働という概念はありません。日8時間超えてもすべて法定休日労働です。これが法定休日ですと、前日からの労働は0時をまたいで続いているものとして扱います。また法定休日労働が24時に達すれば、翌日が法定休日でない限り、法定休日労働は終わり、翌日0時のあらたな勤務の開始となり、日や週の労働時間のカウントに入ります。

一斉に休ませる休憩時間とは違い、休日を従業員全員にいっせいに与える義務はありません。年中無休の事業場では、各人別の休日カレンダーを組むことになりますが、あくまでも各人ごとに週休制(または変形週休制)を厳守せねばなりません。

代休や年次有給休暇とは

労働者が労働日の中から日を指定して休む日ですので、使用者が与える休日とは違います。代休・年次有給休暇をとってもその日は労働日のままで、休日にはなりません。別途その週(4週)に休日が確保されてなければなりません。

公休とは

公休という用語は、労働法関係にはありません。使用者のさだめるところによりますので労基法は関知しません。労基法は最低基準ですので、公休をどう定めるにせよ、労基法に反することはできません。

週とは

就業規則等に特に定めがなければ、暦に従い日曜にはじまり、土曜に終わります。変形週休制の場合は、4週の起算日を就業規則に規定しておかねばなりません(例:令和2年4月1日より開始)。任意にとった4週や、月に置き換えることはできません。

法定休日とはいつか

法は、週最低1日、または4週4日と定めているだけです。就業規則等で曜日特定してあればその日が法定休日となり、それ以外の休日は、法定外休日となります。

就業規則等で定めていない場合は次のとおりとなります。

法定休日がいつか特定してなくても、就業規則にいずれの休日労働に対しても、35%以上の割増賃金を支払う、との規定を設けてある場合は、週の最後の休日(変形週休制の場合は4週最後の4休日)を法定休日と定めたものとして扱います。(H6.1.4基発1号)

そういった定めもない場合は次のとおりとなります。

週の休日のうち、最初にやすめた休日がある場合、その日をもって法定の休日を与えたことになるので、他の休日は法定外休日となります。変形週休制の場合は実際にやすめた4休日を4週の最初から数えることになります。

週の休日が複数あり、週の休日をすべて労務に服した場合は、週の最後の休日が法定休日となり、その最後の休日も休めず労務に服したなら、法定休日労働として35%割増賃金の支払い対象となります。変形週休制も同様で、4週の最初から休日労働しており休めた休日がない場合、4週の最後にのこった4休日が法定休日となり(途中やすめた休日があれば、その日は法定休日としてカウントします)、労務に服した日は、35%割増賃金支払対象となります。なお、週枠(4週枠)が月や賃金計算期間をまたいでも、月や期間の切れ目に影響されず、その週枠(4週枠)での判断となります。

法定休日に労務に服し、35%以上の割増賃金を受けたなら、使用者は労働者を休ませたと同義になるので、追加の休日や代休を付与する義務は労基法上、使用者にありません。また代休を与えることでもってしても、割増賃金支払い義務が消滅するわけではありません。

以上みてきたことは、 Wikipedia「休日」(労働基準法)にも図表入りで解説されていました。

そのwikipedia 休日の記事が全面書き換えとなりましたので、古い記事を当ブログに転載しましたのでご覧ください。

労働基準法における休日(外部サイト)

36協定との関係

正式には「時間外労働、休日労働に関する労使協定」といいます。協定届(A4横長の所定様式)の中央枠下段に、休日労働に関する協定内容を記載させます(枠内上段は時間外労働。)。

この欄は、法定休日労働の協定内容のことです。法定外休日労働は法定労働時間を超えた部分につき枠内上段の時間外労働に含まれます。下段記載欄のひとつに「所定休日(広義)」はいつか、記載させますが、単なる労基署の参考事項です。

よって記載可能な法定休日労働の月間最大日数は理論上次のとおりとなります。

週休制で法定休日が

  • 曜日固定の場合:月5回まで
  • 曜日不特定の場合:月6回まで

変形週休制では

  • 曜日固定の場合:月5回まで
  • 曜日不特定の場合:月8回まで

また2019年4月労基法改正で、特別条項を記載させる36協定様式があらたに設けられたとともに、月100時間、複数月平均80時間も盛り込まれました。これらには、法定休日労働時間を含んでの判断となります。2010年改正時は、時間外月60時間超5割増し賃金対応につき法定休日を特定しておくメリットがありましたが、今回の改正では逆に特定しておくメリットがなくなったと言えるでしょう。なんとなれば、特別条項発動しようにも、時間外+法定休日労働ですでに限度時間超過していて、発動できないというケースもあり得るからです。その場合は、月の変わり目まで定時でかえらせ残業させないか、法定休日が曜日特定されているなら、その日に働きに出るかです(協定回数内に限る)。

給与計算期間との関係

法定休日に35%割増賃金つけて支払う、としているだけの就業規則(支払規定)の場合は注意が必要です。すなわち月(給与計算期間)の切れ目が週(4週)を跨いだ場合、いつが法定休日であるか、前月の勤怠データーを引っ張り出して、その月の最終週(4週制なら前月4週の起算日)からの休日労働の動向を把握しておかないと、正しい判断ができません。法定休日が確保されたとしても、週40時間超えがないかのチェックもかかせません。前月データーとの突合せから免れるには、いずれの休日労働にあっても、35%割増賃金を支払う、としている会社もあります。そうすると最初にも述べたように、その週の法定休日がいつかを押さえたうえで月間時間外60時間超えの50%割増もまた煩雑な処理になります。

(2017年10月15日投稿 2022年8月29日編集)

関連記事(休日)

法定休日とはいつか(演習)

法定休日とはいつか(演習2)

変形週休制

振替休日と代休の違い

変形労働時間制と休日の関係

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