頬杖ついて、寝ころび
ながら、星や魚などの話をぼ
んやり聞いているのは、いい
気分だった。
ひとつずつ、あなたの人柄や、
あなたの興味のあるものを知る
こと。一気にではなくていい、
少しずつ、ほんの逢瀬に・・・。
奥の深い人だと思った。それが
愛情、恋情につながっていく。
肌合いに関してはうぶなくらい、
はにかみとためらいを見せる。
およそ痴話ゲンカなど似合わない。
たぶん、美容院なんて、いっさい
関係のないはずのあなたの髪に、
いとおしく触れる。
静かな寝息は、どこかの静かな
山間で、せせらぎのなかの魚を
追っている夢か、天体望遠鏡を
のぞいている夢を見ているから
なのだろう。
この人に、あまり恋のややこし
さをねだってはいけないと思う
私がいた。
* * *
しめやかな恋情
どんなにモダンな生活様式
だろうが
シティーライフに囲まれて
いようが
男と女の ふたりきりの
ひそかな時間や営みに
確実に うまれる
そうでなければ 恋とは
いえない 愛とは言えない
熱く激しく 現代的な
スリリングな恋もあるだろ
うが
シニカルにかまえながら
結局ドロドロしていく
一過性の行きずりではない
からこそ
しめやかに 柔らかく
そして心地よく
乾いた風の吹く恋もあるのだ
渇望ではなく 潤いから生まれ
た風