佐久市 ヤナギダ 趣味の店

長野県佐久市野沢93番地
ヤナギダ☎0267-62-0220

『手紙』

2025-03-13 12:40:26 | 日記
いっしょに、夜の新宿の街を
散歩した時、山崎さんは「心
にも、心臓みたいに、いくつ
かの部屋があったらいいね」
と言いましたね。

私もあの時、同じようなこと
を思っていました。ここは
マコトの部屋。

ここは山崎さんの部屋。心を
そういう風に
二つに分けることができた
なら、

私はふたりを均等に、同じ重さ
で、同じ深さで、愛することが
できるのかもしれません。

でも、それは不可能です。
心も躰も人生も魂も、人にはひと
つきりしか、与えられていない
ですものね。

本来ひとつであるべきものが、
分裂したところから、悩みや
葛藤が生まれます。マコトが
私に注いでくれるような

「ひとつきりの丸ごとの愛」を、
私も抱きたいと願っています。
それができるかどうか、わか
りません。

でも私はいつか、清らかで、純粋
で、透明で美しい心を持った
人間になれることを夢見て、
あるいはそういう世界を目指し
て進んでいきたいのです。

たとえ今は醜く、汚れた魂を
抱えていても。

一生を通して、たったひとりで
いい、その人のことを全面的に
受け入れ、死ぬまで無条件で
愛することができたなら、

それはなんて素晴らしいことだ
ろうと、私は思うのです。



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あおむけに髪洗われて泡のなか私の頭蓋の形を思う

2025-03-13 12:37:47 | 日記
かけひきなど意識せず

自然体で恋はしたい


と思うものの 素のままで

心をぶつけ合うと

よじれた部分も 生まれてくる

時には 化粧も必要だろうか

    

素のままで、 

疲れない恋になるには

ある熟練と よじれる心を 積み重ね

解き放つまでの  長い  長い

時間を経ていくのだろう
   

小休止といっても

余裕のある心でなければ

迷うだけの  うつろな時間に

なってしまう


それでも 積み重ねたら、

いつか 実になる日が

来るのだろうと・・・・・

そう思って


ひとりの夜を

いやおうなく過ごすのもいい



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「いい仕事は心の“解毒罪”」

2025-03-13 12:36:00 | 日記
「人間は業を溜めて、自分や
周囲の人の人生に悪影響を及
ぼしている。

今生きている自分が、業をこ
れ以上増やさず消していくよ
うに努力する必要がある」
という。

業を解消するためには、自分
以外の人を喜ばせることです。

最初は意識してでもよいから
人に奉仕し、努力するように
努める。

また、業は心の歪、曇りから
生じるものだから、毎晩、今
日一日自分のしたこと、考え
たことを反省するとよいそう
です。

「魂の修行には奉仕すること
が大切」と言うと、ボランテ
ィア活動などを思い浮かべる
かもしれませんが、

もっと日常的、永続的に実践
できる奉仕があります。それ
は仕事を通じてなされる奉仕
です。

労働の本来の目的は、社会に
貢献したり、人に奉仕したり
することにあると思います。

毎日自分がしている仕事を
通じて、「どうしたら世間の
役に立てるか、お客様に喜
んでいただけるか」を真剣
に考えてみることです。

本当にお客様に喜んでもら
うためには、たいへんな努
力と創意工夫が必要です。

しかし、そのプロセスを通
して、魂の修行はなされて
いくのです。
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肉じゃがの匂い満ちればこの部屋に誰かの帰りを待ちいるごとし

2025-03-13 12:34:35 | 日記
配慮という思慮深さ

いつも上品なついたての
むこうにいるようなあな
たに
風の吹く帰り道


YouTube
coltrane/hartman

https://www.youtube.com/watch?v=v14tteKHuFk&list=PLRUIzjKvoTkYF9GsXALMOFCOeUcYwwbUP

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「優しい人」番外編

2025-03-13 12:33:31 | 日記
目の前に、上りの電車がゆっくり
入ってきて、停まった。ふたりと
っも、まるで申し合わせしたよう
に、立ち上がらなかった。

さっきから、帰りの電車を一本、
もう一本、と、遅らせていた。
ひとたび電車に乗ってしまえば、
ふたりの時間は数分後には終わる
と、わかっていたから。

「じゃ、今から行こう」
いつになく、強い口調だった。
「今から?どこに?」

優しい人はわたしの手を取ると、
改札に向かってずんずん歩き
始めた。わたしの手を取ると、
改札に向かってずんずん歩き
始めた。

わたしの手は炎のように熱く、
優しい人の手は真冬の月のよ
うに冷たかった。

まるで私の欲望を鎮めようと
するかのように、優しい人は
力を籠めて、わたしの手を握
りしめていた。

わたしたちは激しく、求め合
っていた。けれどもそれを言
葉で確かめるということは
しなかった。確かめなくても、
わかり過ぎるほどに、わかって
いたから。

入ったばかりの改札を通り
抜けて、わたしたちは駅の
外に出た。

駅前の大通りまで出てから、
優しい人は右手を上げて、
流しのタクシーを拾った。
タクシーに乗り込むと、優
しい人は運転手に向かって
告げた。

「休めるところまでお願い
します。できるだけ、遠い
ところで」

そんな言い方をしても、運転
手は一組の男女をどこかに
連れていってくれるものなの
だということを、わたしは初
めて知った。

ひとつしか年の違わない優
しい人が、ひどく大人びて
見えた。
車のなかでも、わたしたち
は固く、手を握り合ったま
まだった。

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17歳  -ショート小説ー

2025-03-13 12:32:01 | 日記
<二十年前のあなたへ>
いきは良い良い、帰りはこわい。
時の壁を超え、未来行きのタイム
マシンに乗って、あなたから届いた
お手紙を読んでいる最中に、つい、
そんな歌を口ずさんでしまい
ました。

ごめんなさい。東京駅から、下りの
新幹線に乗り込んだあなたは、うつ
むいて、今にも零れ落ちそうな涙
を、必死で堪えているというのに。

可愛像なあなた。
あんなに期待して、はち切れそうな
思いで胸をいっぱいにして、会いに
いったというのに、とうとう彼に
会えなかったね。会えなかっただけ
じゃなくて・・・・

つらかったね。ずいぶんつらい目に
遭ったね。

東京駅から電車を乗り継いで、彼の
住む街に着いたとき、あなたは駅
構内にある緑色の公衆電話から、
彼に電話をかけてみました。まだ、
携帯電話のない時代でした。

彼の電話は、留守番電話に切り替
わっていたので、あなたは伝言を
残し、駅前の喫茶店に入って、三
十分ほど時間を潰したあと、また、
かけてみました。

彼はまだもどっていなかった。
「もしかしたら、あたしの手紙、
届いていなかったのかな・・・・」
そんな風にも、思ったね、まるで、
自分に言い聞かせるように。

迷わずにいけば、駅から歩いて二十
分くらいのところに、彼のアパート
はありました。

公園のベンチに座って、彼への短い
メモを書き、――東京駅に着いたと
き、もう一度だけ、お電話してみま
す、と未練をたっぷりこめて――
それを手に、ふたたびアパートに
向かいました。

階段の下まで来たとき、あなたは
ふと、近くにあるごみ置き場に
放置されたままの、黒いビニール
袋に目を留めました。

猫かカラスに荒らされて、袋は破れ、
中身が飛び出していました。
「あっ」
と思って、あなたはごみ袋のすぐ
近くまで歩み寄っていきました。

さまざまなごみに混じって、見覚え
のある、うすいピンクの封筒。
ブルーのインクで記された、あなた
の文字。「青山晴彦様」。


それは、あなたがちょうど一週間前
に出した、手紙でした。
好きです。
会いたいです。
会いにいってもいいですか?
懸命に綴ったあなたのへの気持ちが、
あなたの気持ちが、あなたの声が、

まるで悲鳴を上げているように、
耳に飛び込んできました。
可哀想な手紙。
ごみと一緒に、捨てられてしまった、
恋。

ついさっき、あなたは、新幹線の
デッキに備え付けられているごみ
箱のなかに、彼へのメッセージと
ともに、その手紙を捨てましたね。

彼に捨てられた手紙だったけど、
自分で捨てる、ということが、
あなたにとっては、大切だったの
でしょうね。

あなたの自分の手で、恋を埋葬し
たかったのでしょう。

たくさん、泣きなさい。
二十年前のあなた。今、泣きたい
だけ、泣きなさい。

大丈夫。涙を流した分だけ、あなた
は優しい人になれるし、今味わって
いる悲しみの深さと同じだけ深い
幸せを、いつか、味わうことができ
るから。

だから、好きなだけ、泣きなさい。
今夜、部屋に戻ったら、滝のように、
雨のように涙をながして、その涙の
雨に、打たれるといい。

そうすればあしたの朝、つぼみは
きっと、花開くでしょう。雨を吸い
込んだ分だけ強く、たくましく、
可憐な花となって。

わたしはいつでも、これからも、ずっと
ここにいて、待っています。
あなたが成長して、大人になって、私
に会いにきてくれる日を。

もしも偶然どこかで、あなたを見かけ
たなら、うしろからそっと、声を
かけるね。

「また会えたね。二十年前のあたし」
ふり向いたあなたが、満開のお花畑
のような笑顔の持ち主だと嬉しいな。
それからふたりでカフェへいきま
しょうか?

そこで、今度はわたしがあなたに、
語って聞かせましょう?
この二十年間に、わたしがめぐり
会った、恋の物語。話しても、話しは
尽きないと思います。

なぜなら今、あなたの流している涙
に負けないくらい、堰(せき)の切れた
河のように、洪水のように、わたしも涙
を流してきたから。

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心散るならば満開の木の下でそっと言われたかったさよなら

2025-03-13 12:27:53 | 日記
私はリュックから手紙を
取りだし、もう一度読み
始める。

 電車が揺れてガクンと
停まった。斜めになりなが
ら片手で吊革につかまり
窓の外を見る。
線路脇に数本のヒマワリ
が咲いている。

体を起し、手紙の最後の
行に目を落とす。
[今、素晴らしい恋をして
ますか?]

 小生意気な昔の私から、
今の私へ厄介な宿題を
出されてしまったカンジ
だ。

 まだ、宿題をやっていない
今日なのだが・・・・・。

 昔の私にひとつだけ
教えてほしいことがある。

「ねぇ、一体どういう恋が
素晴らしいの?」

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