ノ サ モ
都 相太
愛知県ー三千里鉄道・理事長
2002年12月19日、偶然に訪れた若者数人と、開放速報にくぎづけになっていた。たしか午後9時過ぎ、あなたの得票数が相手側をうわまわった。
私たちは、ここ日本の地で静かな感動を味わい、国家・権力が、より軽やかになっていくことを実感し、幾多の命のひきかえに勝ち取った民主主義の果実を味わった。
5年間続いた金大中政権を引き継いで、南北の交流の活発化と朝鮮半島の平和の維持について、なんの疑いを抱かずに過ごすことができた。
同族が再び戦いあう、ばかげたことを遠くに遠くに押しやった。
いま、あなたはいない。
そのわけを、あれやこれやと自問する日々。
悲しみの葬列は果てしなく続いている。
今になり、ノサモのサモ(思慕)の響きが、あなたより5歳年上の私の胸を打つ。
現実を、とくと見ろ、とあなたは叫んでいるようだ。
野良着と麦藁帽が、ことのほか似合うあなたであった。
戦争のにおいが近づいている。
その警告であったのだと、私は納得している。