猫山三里

日記。というか自分の記録にもなれば。

大怪石

2013-10-03 19:49:40 | 
空港で朝飯を食べてから牛女の伝説を追って西宮市へ向かいました。その道中に、甑岩(こしきいわ)なる霊岩があると聞いて越木山神社にも寄ってみました。



境内に入るとすぐに目に飛び込んできたのが刻印石。









奥へ進むとご神体の甑岩があります。大体この字を「こしき」とは普通は読めん(笑)。







しかし噂たぐわぬ巨石であります。岩のそばには湧水もでていました。

「甑」というのは酒造りの米や麻布の材料にる麻の茎を、ものすごい蒸気を噴き出しながら蒸す道具で、「甑岩」はそのような形をした甑から当てられたそうです。

で、この甑岩は「越木岩」とも呼ばれるように木を越えるほどで、高さが12m、まわりは大人が手で繋いで30人分というでかさ。

西宮ふるさと民話によれば、

今から400年程前、大阪城の石垣を築く工事が始まった頃の事。日本全国のお殿様が家来に命じて、あちらこちらの山を探させ、大きな石を見つけては、大阪へ運んできました。あるお殿様が、この甑岩に目を付けました。「あんな大きな石なら、城の石垣にすれば、さぞ見事なものであろう。是非もっていって、手柄にしたい。 早速切り出せ。」

それを聞いた甑岩の村の人たちは心配しました。「この岩は昔から白い龍が住み着いている神さまの岩だ。これを割って、ここから運び出すようなことをすれば、どんなたたりがあるやもしれん。お願いです。おやめ下さい。」

村の長老達は必死になって役人に頼みました。けれども役人達は、この申し出に耳を貸そうとはしませんでした。「お殿様の言いつけだ」と、大勢の石切職人がいっせいにうち下ろした槌の音で、ノミが岩に食い込みました。カーン、カーンと響く音は、山々にこだましましたが、見守る村人の耳には、山鳴りの音のように無気味に聞こえるのでした。「これは大変だ。必ずたたりがあるぞ。」大声で怒鳴りましたが、石切職人たちの耳には届きません。

ノミを打つたびに火花が散ります。それがだんだん激しくなり、そのうちに岩の裂け目から白い煙が吹き始めました。おそろしい事が起こるに違いないと思う間もなく、その煙が白色から黄色へ、そして赤に、それから青、黒へと変わり、それらが入り交じって、ものすごい勢いで音を立てて吹き出しました。

その熱気は、不思議な力をもっていて石切職人達は手足をふるわせ、苦しみもだえ、斜面を転がり落ちました。そして、やがて息絶えてしまったのです。

その様子を見た役人達も、さすがに震え上がり、命からがら逃げ出しました。
こんな事があって、甑岩はいっそう人々から大切に思われるようになったとのことです。



まさに霊岩。大怪石です。