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横田の里の常連さんが綴る里のネタ特集

体の不調は「唾液」を増やして解消する

2015年07月08日 | 夏ネタ

ヒトの体の6割は水分でできている。だから「乾く」ことは健康によくない。なるべく「潤い」を保たせるほうがいいのだが、老いは「乾き」を連れてくる。口の中にも…。本来潤っているべき口の中が乾くとどうなるのか。そこにはさまざまな病気の原因が潜んでいるらしい。

 歯周病が糖尿病や血管系の重大疾患と関係がある-とする研究結果が、近年発表されている。

 そもそも口の中は歯周病菌をはじめとする数多くの菌が棲(す)みついていて、これが血管から入り込んだり、免疫力の低下した高齢者などが飲み込んだりすれば、体の中で悪さをするのは当然のことなのだ。

 ここで別掲の「唾液減少シグナル」を見てほしい。ここに列挙された項目は、いずれも唾液が減ることで引き起こされる現象なのだ。言い換えれば、きちんと唾液が分泌されていれば、こうした症状は防ぐことが可能であるだけでなく、歯周病菌などの菌の繁殖を押さえ込む作用もある。

 そこで今回紹介するのが、その名も『体の不調は「唾液」を増やして解消する』(PHP研究所刊)。著者の森昭氏は、京都府舞鶴市で歯科医院を開業する歯科医師である。人口8万人の小都市にありながら、診察の予約は3カ月待ちという人気歯科医師が上梓したこの本には、唾液の持つ驚愕の実力が記されている。

 たとえば「がん」。発がん作用のある物質の多くは、唾液に30秒浸けるだけで、発がん作用が低下していくことが分かっている。

 インフルエンザウイルスも、唾液がきちんと出ていれば、喉粘膜のバリア機構が作用して、感染発症を防御できる。

同様に、食中毒予防にも唾液は重要な役割を果たしている。ものを食べるとき、よく噛んで唾液を多く出すことで、胃酸分泌のスイッチがオンになり、食中毒の温床となる菌がたとえ胃に入っても、胃酸の強力な殺傷能力で無害化されてしまうのだ。

 このほかにも、糖尿病、動脈硬化、高血圧などの“病気”の予防に役立っているだけでなく、肥満、口臭、認知症、アレルギー、各種ストレス症状など、現代人を悩ます数多くの健康障害の予防効果を唾液は持っている。

 そんな大事な唾液を枯渇化させる要因はいくつかあるが、著者が特に問題視するのが「口呼吸」だ。

 肛門は排便の瞬間だけ開門するのと同じように、口も食べるときと話すとき以外は閉じておくのが、本来の姿なのだ。

 本書では他にも、食事はなるべく硬くて大きなものをゆっくり食べる。胸を開く姿勢を心がけることで唾液腺を刺激する。朝と就寝前の入念な歯みがきの励行など、唾液の分泌を促すために日常でできる取り組みが、わかりやすく紹介されている。

 「うれしいことに、唾液は何歳からでも増やすことができます。本書で紹介するお口エクササイズを始めると実感しますが、唾液が増えるだけでなく、小顔効果も期待できますので、女性にもオススメです。いつでもどこでもできるお金をかけない健康法です」と語るのは、編集を担当したPHP研究所生活文化出版部の渡邉智子氏。

 薬や健康食品に頼る前に、自分の体が作り出してくれる“万能薬”の唾液に、少し目を向けてみてはどうだろう。 (竹中秀二)

■森式「唾液減少シグナル」
・歯肉が腫れている
・歯肉から出血する
・歯肉や舌にかゆみがある
・滑舌が悪い
・パンやクッキーが飲み込みにくい
・唇が渇いたり出血する
・急に虫歯が増えた
・頬の裏側をよく噛む
・舌に痛みを感じる
※1つでも当てはまれば要注意。5つ以上なら要診療。