食事でプリン体の摂取量をある程度抑えることはできるが、それで体内にある余分なプリン体が減るわけではない。そこで注目されるのが、プリン体に直接働きかけるといわれる乳酸菌PA-3株だ。東京女子医科大学の山中寿教授らのグループが、その作用を明らかにした。
試験は、血清尿酸値が7・0mg/dl以上で薬物治療を受けている高尿酸血症および痛風患者を対象に実施。まず4週間休薬してもらい、その後8週間、休薬を続けながら乳酸菌PA-3株の入ったヨーグルトを1日2回100グラムずつ毎日摂取する摂取群と、乳酸菌PA-3株を含まないヨーグルトを摂取した群に分け、血清尿酸値の変化量を調べた。その結果、コントロール群は休薬の影響で増えたが、摂取群はマイナスを示した。また、血清尿酸値が6・0mg/dl以上で、通院(薬物治療)はしていないが高尿酸血症境界域にいる男性に行った試験でも、同様のヨーグルトを摂取した人は血清尿酸値が低下した。
この結果を受け山中教授は、「乳酸菌PA-3株にはプリン体の吸収を軽減する働きがあると言っていいと思う」とコメント。「これまで乳酸菌は、腸内菌叢の改善や腸管感染に対する効果、抗炎症作用のほかさまざまな保健効果が研究されているが、プリン体の吸収軽減作用も今後の重要な研究の1つに加えられるだろう」と期待を示した。
「プリン体はうまみ成分でもあり、さまざまな食品に含まれている。それだけに、食事療法で尿酸値を抑えるのはなかなか容易なことではない。その点乳酸菌PA-3株は、上手に活用すれば、おいしく食事をとりながら尿酸値を抑えることも可能かもしれない。それは、痛風や高尿酸血症を進行させるリスクの1つであるストレスの軽減にもつながる」と山中教授。今後の可能性にも大きな期待をしたいと語った。