先頃、厚労省が「日本人における野菜の摂取量ランキング」を初めて公表し、ダイコンが1位となって話題を呼んだ。20位まで順位が並ぶが、どの野菜をもっと食べればよいかなどの助言はなく、「毎日プラス1皿」(+70~80グラム)を示しただけ。せっかく初めて公表されたランキングも、これでは消費者が活用しづらい。食べることは健康の基本、そこに新たな医療の必要性が見えてきた。
【食物繊維が足りていない】
「今回のランキングは、国民健康・栄養調査をもとに、11月のある1日の調査結果となっています。翌日には摂取量が変わるかもしれず、四季を通したデータでないことから、あまり意味があるものとはいえません」と、日本臨床栄養学会理事長などを歴任し、健康に役立つ栄養素に詳しい「品川イーストワンメディカルクリニック」(東京都港区)の板倉弘重理事長は指摘する。
確かに、「今日はダイコンを食べていない」人が、いきなり「日本人はダイコンを一番食べている」といわれても、なんだかピンとこない。では、日本人の野菜摂取の現状は、どのようになっているのか。
「国民健康・栄養調査などの結果を見ると、半数以上の人が1日に食べる野菜の量が少ないといえます。結果として、食物繊維の摂取量が少なくなっています。腸内の解毒や免疫強化、大腸がん予防など、食物繊維は健康に役立つのですが、それが足りていません」(板倉理事長)
そもそも野菜は、食物繊維を多く含むものが多い。厚労省の「毎日プラス1皿の野菜」を増やすと、食物繊維の摂取量は10%アップするが、板倉理事長は「それでも足りない」という。2皿程度増やすように心がけるとよいそうだ。
【個人に合わせた情報提供が不可欠】
しかし、2皿増やす野菜はどれがいいのか。野菜には食物繊維が豊富といっても、できることならば自分に必要な栄養素も合わせて取り入れたい。
「ビタミンやミネラルは、それぞれの野菜に特徴があります。ナスには、色素のアントシアニンが豊富に含まれ、目の健康に役立ちます。トマトに含まれるリコピンは、抗酸化作用があり、ブロッコリーはビタミンCが豊富です。そういった情報も消費者の方に、きちんと伝わるシステムが必要です」(同)
現在、農林水産省では、ビタミンやミネラルなどを通常以上に含み、機能性を持つ野菜などの開発に力を入れている。消費者庁の機能性食品表示では、生鮮食品として、「三ケ日ミカン」や「大豆イソフラボン大豆モヤシ」が、骨の健康に役立つことで表示できるようになった。しかし、自分に合った野菜を選ぶには、まだ情報が不足している。
「医療機関で、ビタミンやミネラルの身体の反応も含めた栄養学的な診断により、個人に合わせた食事指導の体制が必要です。国策として、予防に寄与する医療を提供することで、野菜を自然に選べるようになり、病気も防げるでしょう」と、板倉理事長は話す。予防に向けた新たな医療システムの構築が望まれる。 (安達純子)
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