デジタルツールには、「調べる(=ウェブ検索など)」、「つながる(=メールやSNSなど)」、「見る・聴く(=ビデオやオーディオプレーヤー)」といったさまざまな機能があるが、当欄では「記録する」機能やツールを紹介することが多い。データベース・アプリやサービス、スキャナーなどの紹介に偏っているのは、当欄をご愛読の方はお気づきだと思う。
記録好きで整理好きの筆者の好みがモロに出ていて恐縮だが、今回ご紹介する「デジタル歩数計」もまた“記録ツール”である。
最近の歩数計は歩数を測るだけでなく、歩いた距離や消費カロリーのほか、上った階段数や心拍数、睡眠時間や寝返りの回数(=睡眠の質)などを計測できるものもある。そのため、「活動量計」と呼ばれることも多い。さらに、そのデータをスマートフォンやパソコンに転送し、長期の記録保存やグラフでの一覧などもできるのが特徴だ。
携帯電話やスマートフォンにも活動量を測る機能はある。だが、スマホをデスクに置いたまま席を離れることは意外に多く、正確な歩数が測れない。歩数計や活動量計はやはり、身に付けられる専用ツールがベストだと思う。
そんな筆者が現在使っているのは、「fitbit flex」(実売価格税込み1万1000円前後)=写真〔1〕。米fitbit社製の活動量計だ。歩数・消費カロリー・歩いた距離・アクティブな時間を記録できるほか、睡眠管理やバイブレーター(振動)による目覚まし機能を備えている。
fitbitシリーズには服に挟んだりポケットに入れて使う「zip」「one」、リストバンド型の「flex」「charge(HR)」、そして時計型の「surge」(日本未発売)がある=同〔2〕。いずれも無線でデジタル機器にデータを転送する方式で、パソコンとは製品に付属するUSBハードウェアキー=同〔3〕、スマートフォンとはBluetoothで接続する。転送されたデータは、パソコンからはfitbitサイト内の「ダッシュボード」、スマホからは専用アプリ(無料)で確認できる。
実は筆者は2年ほど「one」を使っていたのだが、ズボンのポケットに入れたまま洗濯する失態を2回やらかしてしまった。1回目はoneの生活防水機能が頑張って復活したのだが、さすがに2回目には耐えられなかったようで、利用不能になってしまった。そこでflexを選択したという次第だ。
fitbitは製品によって搭載されている機能が微妙に異なり、携帯性とファッション性を重視したflexは液晶画面がない。その代わりに5個のLEDランプが目標歩数の達成度などをナビゲートし、データの詳細確認やアラームの設定などは接続した機器側で行う。
oneからflexに替えた当初は、液晶画面がないことと、腕時計と一緒にリストバンドを着けることの違和感に戸惑ったが、利用開始から1週間ほどで自分なりの使い方を決めたことで、使い勝手はぐんと良くなった。
まず、歩数をはじめとする活動量はそれほど頻繁に確認するものではなく、時々スマホで見ればいいと割り切った。実際、oneを持ち歩いていたころも、1日の終わりに歩数を確認する程度だった。1日に1度か2度、スマホの画面で活動量一覧=同〔4〕=や睡眠時間・寝返り回数=同〔5〕=を見れば十分なのだ。
また、flexのリストバンドを使わないことにしたのも大きい。実はflexの本体は100円玉程度の大きさで=同〔6〕、それをリストバンドに差し込んでいる。そこで、この本体だけをコインケースに収納することにした。出かけるときには必ずコインケースを持つので、flexの存在をまったく意識することなく、1日の活動が記録できるようになったのだ。
活動量計のようなツールはなるべく意識することなく持ち歩けるのがいい。そういう意味では、本体が小さく、どこにでも収納できるflexはベストな選択だった。デジタルツールを使う際は、日常の行動に無理をきたさないモノを選ぶということも重要だと思う。 (佐々木浩二)