追憶の彼方。

思いつくまま、思い出すままに、日々是好日。

アメリカ大統領選

2016年08月08日 | 政治・経済
アメリカ大統領選は民主党ヒラリー・クリントン、共和党トランプの二人で
争われることとなった。
 
大統領候補が選出される過程で強く感じたことは、トランプと民主党候補
だったサンダースが左右の違いはあっても二人のポピュリズムが有権者の
圧倒的な支持を受けるという米社会の一種ヒステリー症状に、アメリカ国
民の多くが理性を失う程の大きな閉塞感に陥っているという状況を浮かび
上がらせた事であった。

粗野で、民主主義の重要性を軽視し極端な排外主義を唱える凡そアメリカ
大統領にふさわしくない危険極まりない人物、トランプを熱狂の坩堝の中
で大統領候補に押し上げてしまった共和党支持者は移民によって職場が
奪われているという考えに共鳴した白人労働者層が中心であった。
この構図は当にイギリスのEU離脱と全く同じ排外主義である。

一方バーニー・サンダースは親族の多くがホロコーストで死亡したポーラン
ド系ユダヤの移民の子として生まれ、アメリカ大統領候補としては異例の
民主社会主義者として候補者選びで一大旋風を巻き起こした。
最低賃金の引き上げと大学授業料無料化を強く打ち出し多額の奨学金債務
の返済に苦しむ若者の熱烈な支持を得たことが大きかった。
更に地球上で最も裕福な62人が所有する富が世界の人口の半分を占める
下層階級の人達36億人分の富とほぼ同額、大金持ちは想像を絶する
贅沢を味わい、片や悲惨な貧困にあえぐ何十億に上る人がいるとして格
差是正と貧困の解消を新自由主義とグローバリゼーションからの脱却に
求めると唱え共感を得た。

しかしサンダース氏の主張にはパナマ文書で明らかになった大企業、
富裕層の租税回避の不正を撲滅するという程度で、富の再配分とか
累進課税の強化というような社会主義的政策は殆ど語られていないし、
グロバリゼーションによって「米国人が時給何セントにしかならない
低賃金国の労働者と競争させられるのは間違い、不公正だ」との主張
には、グローバルな貧困層の救済、後進国の経済開発により世界的な
紛争、犯罪を軽減するという世界のリーダーとしての視点が全く欠落
している。
この点ではトランプ程極端ではないが、排外主義から一歩も出ていないの
ではないだろうか。 グローバリゼーションには欠点もあるが利点も多い。
此処まで進展した潮流を止めることは副作用も大きすぎる。大統領は世界の
リーダ―として問題の解決に当たるべきであろう。

クリントン氏は対日政策で厳しく対応してくることが予想されるが、格差と
人種差別により分断されたアメリカ社会の統合、国際協調という点では最も
安定感があるのではないだろうか。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする