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当たり前の顔して幸福になる

節約、運用などについて書きます。

芝公園六角堂跡/西村 賢太

2017-04-15 22:27:26 | 
新聞の書評で読んだこともあり、図書館で借りて読みました。


独りの死者と生者、鬼気迫る“夜”と“昼”。ここ数年、惑いに流されていた北町貫多に東京タワーの灯が凶暴な輝きを放つ。その場所は、師・藤澤清造の終焉地であった―。何の為に私小説を書くのか。鬼気迫る四作品。


世に出る前は半狂人的な自虐を作風にしていたのが、有名人となった今はそれを自覚的に書くというなにやら入れ子構造的な作風になっていました。
芸の進化というより中二から大人になったという感じのような気がします。

作品自体は、表題作の「芝公園六角堂跡」が本編であとはその変奏曲もしくは後日譚という感じでしたが、これはこれで面白いと思いました。
商品・西村賢太を定点観測的に読むのであれば読んでおいたほうがいいかなと思います。

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応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)/呉座 勇一 (著)

2017-03-09 17:09:00 | 


室町後期、京都を戦場に繰り広げられた内乱は、なぜあれほど長期化したのか。
気鋭の研究者が戦国乱世の扉を開いた大事件を読み解く。


応仁の乱については、教科書、でさらっと学んだ程度で、小説やドラマでも馴染みがありませんでした。
人物名とか人物関係が複雑で、読むのに多少難渋しましたが、応仁の乱の実相を学べた気がします。
応仁の乱についてほとんど何も知らなかったんだなということが分かりましたし、義政以降の室町幕府についても知ることができてよかったです。

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なぎさ/山本文緒

2017-03-03 21:21:38 | 


故郷を出て佐々井と二人、久里浜で暮らす冬乃のもとに、連絡を絶っていた妹・菫が転がり込んできた。一方、芸人に挫折し会社員となった川崎は、勤め先がブラック企業だと気付いていた。妹の誘いでカフェを始めることになった冬乃だが、夫に言い出せずにおり―。小さな秘密が家族と暮らしに変化をもたらしてゆく。生き惑いもがきながらも、人生を変えてゆく大人たち。傑作長篇!


山本文緒は初めて読みました。
内容は人間交差点というか、苦難を抱える人同士の関わり合いを丁寧に描いていました。

直木賞も受賞した作家におこがましいとは思いますが、人間を描くのはうまいなと思いました。
気になったのは「スマホのバッテリーが切れた」という表現くらいです。
言いたいのは、そのくらいこの小説は見事ということです。

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罪の声/塩田 武士

2017-02-23 21:28:48 | 
恐喝に使われた音声が自分だと気付くというフックが面白そうということで読んでいみました。
新聞の書評とかでも結構、取り上げられていました。


「これは、自分の声だ」
京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声とまったく同じものだった――。


グリコ・森永事件をモチーフにはしているのですが、内容はフィクションです。
これほどの難事件がスラスラと解決していくのは、フィクションならではでしょうし、個人的にはちょっと乗れませんでしたが、単なる過去の事件ではなく現在という視点がありましたので、そこは新鮮に感じました。

日航機墜落事故を題材とし、新聞記者たちの姿を克明に描いた『クライマーズ・ハイ』と構図が似ていますが、力量という意味ではまだまだのような気もします。
ただ、Amazonや読書メーターの感想ではかなり高評価となっていました。

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スクラップ・アンド・ビルド/NHKのドラマで見て違和感があったので読んでみることに

2017-01-09 20:42:49 | 
NHKのドラマで見て違和感があったので読んでみることにしました。
芥川賞の作品にしては少し単純というか安易過ぎないかなと思って。


「早う死にたか」毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。日々の筋トレ、転職活動。肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して…。閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!第153回芥川賞受賞作。


老人介護というよりは、若者から見た高齢者、世代間の争いを描いていると思いました。
早く死にたいという祖父の願いを叶えるというのを勝手な思い込みとすれば、もしかすると相模原の事件にも通じるのでは。
高齢者が子どもを死亡させる事故も書かれていましたし、結構、現代を反映している小説だったんだなと感心しました。

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