※一部、記載内容を修正
1990年(平成2年)にマルホンから登場した旧要件デジパチ「オリンパス2」
★賞球…7&13
★大当り確率…1/232
※大当りカウンターの範囲は「0~232」の計233コマだが、カウンターが「232」に移行した瞬間、ただちに「0」へと変化する特徴がある為、実際は「232=0」となる。よって、実質的な移行コマ数は232コマとなり、大当り確率は1/232。このカウンター特性は、後続機「キャスター」も同じ。
★デジタル図柄…左・中・右ともに、0~9の赤数字と奇数の緑数字(計15種類)
★大当り…同色数字の3つ揃い(計15通り)
★最高10ラウンド継続
★アタッカー開放時間…約23秒
★出玉…2400個~3000個オーバー(出玉は多め)
★保留玉での連チャン性…あり
★奇数の三つ揃いで中デジ色違いの場合、小当り(アタッカー約4秒開放)
昭和末期のマルホン名機「スリープ」シリーズの流れをくむ、上部アタッカー式デジパチ。キンキン鳴り響く金属的な効果音に派手なBGMは、シマの遠くや店外からでも聞こえるほど。この騒がしさこそ、良くも悪くも、かつてのマルホンの「カラー」であった。
シンプルで小さな7セグは、「スリープ」を知るオールドファンには、馴染み深いものだった。一方、新宿での初打ち時、90年デビューでスリープ経験のない私は、それがかえって斬新に見えた。色違いのデジタルや上部アタッカーなどは、地元にあった「パールセブン」も想起させた。
1990年のマルホンは、「レーサー2」「レーサー3」「パーラー2」とドットデジタル機を立て続けに出したが、オリンパス2では7セグに回帰。その直後に出た「キャスター」(1990年)も7セグを採用。コチラは、目を引く縦型のデジタルと、オリンパスを凌ぐ連チャン性で知られた。同年末には、やはり派手な連チャン性がウリの「ロータリーセブン」も登場している。
まぁ、ドットにはドットの、7セグには7セグの味があり、どちらが良いとか悪いとかは、一概にいえない。いずれにせよ、シンプルなデジタルがスーパー発展もなく、ゾロ目で「ピタッ」と停止するあの瞬間、何ともいえぬ「一瞬の快感」を覚えた。リーチが外れる時もアッサリ止まるので、あとくされのない「潔さ」が感じられた。
自分の知る限り、本機は出玉を稼げる調整の店が多く、一度の大当りで3000発出ることも普通だった。その分、ヘソチャッカーの釘は、どれもシブかった記憶がある。左右のオトシも始動チャッカーになっていたが、コチラはさらにガチガチに締まっていた。この当時は、パールセブンも「いぶし銀攻略」で狙われた後で、出玉は多い代わりにちっとも回らない、シブ釘台が多かった。
本機の設置店は、自分の知る限りではそれ程多くなかった(都内・神奈川)。この時期、マルホンのデジパチというと、パールセブンにキャスター、それにロータリーセブンなどの姿をよく見かけた。
そんな中でも、記憶に残る設置店というと、初打ちした新宿・西口「ジャンボ」(現存)や、新宿・歌舞伎町の「金時」(’92年閉店→’98年、跡地に「BIS2」オープン→’07年閉店)、小田急・多摩センター駅「グラナダ」(現・ゴードン多摩センターB館)、それにJR巣鴨駅南口「三益球殿」(現・クラブニューヨーク東京すがも店)などが思い当たる。
一方、首都圏を離れると、静岡、愛知、大阪等のエリアは設置率も高かったようだ(マルホン本社は、愛知県春日井市)。そういえば当時、静岡の親戚の家に行った帰り、静鉄・新清水駅前の古臭い店で、オリンパス2を打ったことがあるな…(懐)。
(新宿「金時」…歌舞伎町の今はなき名物ホール。90年末の新規オープンから出玉も良好だったが、2年持たずに突然閉店となって驚いた。やはり、バブル崩壊の影響か…)
(多摩センター「グラナダ」…’90年、駅前ビル内に新規開店した綺麗なホール。隣の小田急永山駅には、系列の「多摩レジャー」(現・ゴードン永山)があった。)
(三益球殿・巣鴨店…こちらも駅前店で、南口ロータリーの一角で営業していた。この当時、巣鴨には夕方以降に出向くことが多く、ここは会社帰りの客でいつもごった返していた印象がある。ただ、行くたびによく負けていた記憶も…汗)
※新宿・ジャンボは、今も名前を変えず営業中なので、グーグルマップ等でご確認あれ。
(オリンパス2の内部的特徴)
★連続回転中は、右デジタルに「移行法則」が存在。
連続回転時、右デジタルは前回右出目プラス「2コマor3コマ」の位置で止まる事が多い(全体の約76%がこのパターン。残り24%はバラける)。これは、ハズレリーチ時も変わらないが、法則を知っていても、大当りや連チャンを促進できる訳ではない。
★大当り判定方式
大当り抽選用乱数カウンターの範囲は「0~231」の232コマで、当選値は「77」。よって、大当り確率は1/232。表示上の確率(1/225)よりも若干低い。出玉3000発でこの確率は甘いようだが、その分、回りの悪い台が多かった。
連続回し時は、チャッカー入賞時に拾った乱数を、保留格納エリア(1~4)にいったんしまった後、保留消化時に再び呼び出して、大当り判定を行う。
一方、単発回し時は、取得した乱数を格納することなく、ダイレクトで大当り判定に用いる。
F・レクサスIVD(三共)などは、単発回し時でも乱数を保1エリアにいったん格納する。その為、単発回しで当てると、保1に大当り乱数が入ってダブルが期待できた。だが、オリンパス2では単発回しによる特典はない。
ついでに書くと、F・レクサスIVDの大当り乱数は初期値と同じ「00」で、電源立ち上げ時は、4つの保留格納エリア全てに「00」が入っている。大当り中のアタッカー開放後は、オマケに入賞して保留が点灯しても、新たな乱数が上書きされにくい(エラー※)。よって、有名な「朝一単発打法」を使えば、大当り乱数の入った保留エリアを最大限利用して、4連チャンまで狙うことが出来た。一方、オリンパス2の大当り乱数は「77」で初期値「00」とは異なる。よって、朝一単発打法は通用しない。
※大当り中に、内部プログラムの処理量を部分的に増減させる事で、処理量の増える部分では大当り乱数の書き込み作業が後回しになり、結果として制限時間内(タイムリミット)に乱数を書き込む処理が間に合わず、チャッカーに入賞しても乱数の上書きが起こらないエラー。こうしたプログラム処理量の変化は、主に大当り中のBGMやランプの点滅などを変える事で操作していた。よって、当時の攻略誌はチャンスタイムを見つける為に、ラウンド中にBGMが変化するタイミング(例:Vゾーン入賞前と入賞後など)などを注視していた。
★保留玉連チャンの仕組みについて
オリンパス2を連チャンさせるには、まず保留ランプを4つ点灯させて、その段階で打ち出しを停止する。そして、保留を全部消化して、最後の保留玉で大当りさせる。当然、運の要素が大きい。
(→連チャン誘発手順1)
この手順1をクリアすると、保4エリアに入った大当り乱数が保1~保3にもコピーされ、4つの保留格納エリア全てが大当り乱数で埋まる。これが、連チャン発生の「前提条件」である。
オリンパスの場合、いったん4つ目の保留格納エリアに入った乱数は、保4が再点灯して新しい乱数が入らない限り、そのまま保4エリアに残り続ける。
同時に、保4に入った乱数の内容は、デジタル1回転ごとに保3に平行移動する。すなわち、保4の乱数が隣の保3に「コピー」されるのだ。たとえ、保留ランプが1つしか点灯していない状態でも、格納エリア内にしまわれた4つの乱数は、すべて左に1つづつ平行移動する。
ここが、他メーカーの機種と大きく異なる点で(他社の機種は、保留が点灯した箇所だけ、乱数の移動が起こる)、当時のマルホン連チャン機の特性ともいえる。オリンパスでは、保留の付いていない保4の内容が、保3~保1に大きな影響を与える。かかる特性を利用して、格納エリアを「大当り乱数だらけ」にすることが、大連チャンの下地となる訳だ。
なお、大当り後の保留消化時に、保4で「自力連チャン」した場合も、まったく同様に前提条件を満たす。なぜなら、この時も、保留満タン状態から自然消化させ、最後の保留玉で大当りする訳で、状況は全く一緒だからである。
さて、連チャンの前提条件が整ったら、大当り中は「チャンスタイム」のみ保留ランプを点灯させる。
(→連チャン誘発手順2)
大当り中に保留ランプが付くと、通常は保留が点灯したタイミングで、新たな乱数を拾う。これがハズレなら、せっかく4つの格納エリアを大当り乱数で埋めても、そこにハズレが「上書き」されてしまう。4個の格納エリア全てにハズレが上書きされれば、その時点で大当り後の連チャンも消える。
だが、大当り中は特定の時間帯に限り、内部で処理するプログラム量が通常より増えて、そのタイミングで始動チャッカーに玉が入っても(保留ランプが付いても)、新たな乱数を受け付けない「エラー」が発生する事がある。
始動チャッカー入賞時に乱数の上書きがなければ、保留ランプは点灯するものの、格納エリアに入っていた古い乱数はそのまま生き残る。後は、大当り乱数が残った保留の数だけ連チャンする。
注意すべきは、チャンスタイム中にチャッカー入賞した場合、大当り乱数が「新たに書き込まれる」のではなく、もともと格納エリアに入っていた大当り乱数を、チャンスタイム中にチャッカー入賞させることで「生き残らせる」のだ。チャンスタイム中の入賞によって、新たに大当り乱数が書き込まれたとすれば、それは「自力」で大当り乱数を引いたに過ぎない。
保4に一度入った大当り乱数は、保4ランプが再点灯しない限り、「半永久的」に保4の格納エリア内に残り続ける。つまり、大当たり中、保4を付けずに連チャンを継続すれば、(理論上は)絶えず保4の大当り乱数が保3→保2→保1とコピーされるので、永久連チャンも起こりうる(但し、本機のホール実戦では極めて難しい)。
大当り中、上書き回避のエラーが起こり易い「チャンスタイム」は、大当り開始から終了までの間で複数のポイントが存在する。特定のチャンスタイムのみ始動チャッカーに入賞させることができれば、格納エリア内の大当り乱数を高確率で維持することができる。
オリンパス2のチャンスタイムは以下の通り(カッコ内の数値は、エラー発生率)。
(1)大当りファンファーレが鳴っている間=13.75%
(2)アタッカー開放~V入賞前=5%
(3)V入賞後からアタッカー閉鎖予告音が鳴るまで
→V入賞後の経過時間によってエラー発生率が異なる。
(3-1)V入賞直後=76.66%
(3-2)V入賞から2~3秒経過した時点=42.5%
(3-3)V入賞から12~13秒経過した時点=30.36%
(3-4)アタッカー閉鎖予告音が鳴る直前=45%
ご覧の通り、同じV入賞後でも、入賞後の経過時間によってエラー発生率には差が出る。一番エラーが起きやすいのが「V入賞直後」であり、約77%という高確率で乱数上書きを回避できる。ただ、そのチャンスはほんの一瞬で、意図的に狙えるような代物ではない。入賞に成功しても、「偶然そのタイミングで入った」という感じであろう。
基本的に、「V入賞後~アタッカー閉鎖予告音が鳴る直前」は、すべてチャンスタイムとなる(エラー発生率にはバラつきがある)。この間に始動チャッカーに入賞した保留玉は、すべて連チャンの可能性がある。ただ、100%エラーが発生するチャンスタイムはなく、やや不確実でもある。
また、「大当り直後のファンファーレ間」や、「アタッカー開放直後~V入賞前」も、確率は低いながらも、一応はチャンスタイムとなる。
一方、ラウンド間に始動チャッカーに入賞させた場合は、エラーの起こる可能性は極めて低く、ほぼ間違いなく新たな乱数を拾ってしまう。その為、自力で大当り乱数を拾わない限りは、格納エリアにハズレ乱数が書き込まれる。
また、アタッカー閉鎖予告音が鳴っている間もエラーが起きにくい。さらに、最終ラウンドに至っては、どのタイミングで保留ランプを付けても、ほとんどエラーが発生しない。
このように、明らかにチャンスタイムとはならない時間帯もあるので、その間は極力「止め打ち」を行い、保留ランプを絶対に付けない事が重要である。
ただし…
オリンパス2は、ヘソよりも上にアタッカーが付いており、左右のオマケも始動チャッカーにはなっていない。オマケから玉が頻繁にこぼれる調整ならチャンスもあるが、オリンパスは3000発オーバーの大量出玉をウリにするホールも多く、玉のこぼれ自体が少なかった。
その為、チャンスタイム中に保留ランプを点灯させることは、それ程簡単ではなかったのだ。
システム上(理論上)は大連チャンの可能性もあるが、実際には、上記「連チャン誘発手順1」をクリアしてもチャンスタイムを生かせず、ダブル~トリプル止まりが大半だった。よほど頑張っても5~6連チャン程度が関の山で、ツボにはまって大爆発を見せること自体、かなり珍しかった。
さて、ここまで長々と書いてきて、最も大切な事に触れていなかった。
実は、上記の連チャンシステムは、後継機「キャスター」のものと、全く同じである。
オリンパス2とキャスターは、大当り確率が1/232と共通で、大当り乱数の位置も「77」と同じ。そして、登場時期も非常に近い。つまり、両者はいわば「双子」のような関係にある。
ただ、両者の決定的な違いが、大当り中の「チャンスタイム」であった。
オリンパス2は、チャンスタイムが広い代わりに、上書きを回避するエラー発生率が不確実な為、ハズレ乱数が上書きされる可能性が高い。エラー発生率のもっとも高い「V入賞直後」でも76.77%である。約4回に1回は、新たな乱数を拾ってしまう。
一方のキャスターは、V入賞後の一定時間内に始動チャッカーへ入賞した場合、ほぼ100%エラーが発生する(ほぼ確実に、乱数の上書きを回避)。また、大当り直後のファンファーレ時やV入賞前も、約50~70%の確率でエラーが起こる。
このエラー発生率の差が、そのまま連チャン率の差となって現れた訳だ。
しかも、キャスターはオリンパス2よりオマケの調整を悪くする店もあり、左右のオマケから玉がこぼれて始動チャッカーに入るチャンスも、オリンパスより多かった。
キャスターのアタッカー開放時間は約22秒と、オリンパス2より1秒ほど短いが、チャンスタイム中の始動チャッカーへの入賞機会は、キャスターの方が上だったのだ。
オリンパス2では大連チャンが滅多に起こらず、逆にキャスターで長い連チャンがたびたび起きたのは、このような違いによる。
ただ、オリンパス2やキャスターの連チャンについては、手入れなど特別の環境では発生しやすいものの、店での実戦となると、かなり難しい部分もあった。これは、上部アタッカー台の宿命であろう。チャンスタイム中に始動チャッカーへ入賞し易い台は、まさに爆裂連チャンを生む「お宝台」に他ならなかった。
因みに、キャスターの後継機である「ロータリーセブン」や、その兄弟機「ハッピーセブン」も、同様の連チャン誘発打法(保留全灯→全消化)を使えば、大連チャンに繋がった(ロータリーセブンよりも、確率が甘いハッピーセブンの方が連チャンに入り易い)。
但し、この2機種は大当り抽選方式が「2段階判定」であり、連チャン中に2次判定で外れる事がある。その為、一発判定のキャスターのように、連チャンが際限なく続く事はない。
なお、ロータリーセブン&ハッピーセブンは、例の「朝一単発打法」を使えば、「中当り」(アタッカーが1.5秒開放)の連チャンを誘発することが出来た。