謹賀新年。皆様、本年も当ブログをよろしくお願い致します。
更新ペースは相変わらずのダラダラになるかと思いますが…。
さて、本年最初の記事は、特段の積極的理由もないが(笑)、三共から1993年(平成5年)に登場した現金機デジパチ「フィーバーパワフルV」を取り上げる。
それなりに打ち込んだ台で思い入れもあるので、「ヒツジ」と無関係でも問題ないだろう。
(「メリーさんの羊」がBGMの「メガトロン@藤商事」を、もう一度振り返るテもあるが…)
三共「フィーバーパワフルV」(1993年登場、新要件機)
・賞球…7&15
・大当り確率…1/240
・カラー液晶モニタ画面、9分割デジタル
・有効ライン…8ライン(タテ3、ヨコ3、クロス)
・大当り図柄…「7の3つ揃い」(2ライン以上揃っても同じ)or「オールフルーツ」
・最高16ラウンド継続
・平均出玉…約2300個
・数珠連チャン機(モード移行タイプ)
・大当り後は、無条件で天国モード突入
・センターデジタル絡みのハズレリーチで、通常モード転落(地獄モード無し)
・天国中の大当り確率…1/80
・ラッキーナンバー用サイドランプ(1~8)搭載
可愛らしい女の子キャラクター「夢夢ちゃん」(ムムちゃん)が主人公の液晶デジパチ「フィーバーパワフルIII」が華々しくホールデビューを飾ったのが、確か1992年(平成4年)9月。当時真新しい「タテ3×横3の9分割デジタル」を搭載した同機は、「三共初となるカラー液晶モニタ搭載機」として、大きな話題を集めた。さらに、同社お得意の「保留玉連チャン」もしっかり備わっていた。当然の如く、パワフルIIIは登場後間もなく人気となり、やがては「90年代・連チャンデジパチ」を代表する大きな存在になった。
なお、FパワフルIIIと同時発表された兄弟機「フィーバーパワフルII」(盤面共通、大当り確率1/220)は、全国的に設置の少ない「超マイナー機」であった。
(三共「フィーバーパワフルIII」、1992年登場)
翌1993年(平成5年)に入ると、まず1月にFパワフルIIIのカード対応型「CRFパワフルII」(オールフルーツで確変突入、保留連アリ)が登場。同年6月には、FパワフルIIIの9分割画面を継承した「フィーバーガールズI」もホールにお目見えする。コチラは、江口寿史氏デザインの美少女キャラ「オーロラ五人娘」(おたくの星座)がモチーフで、同名の実写版アイドルグループ(千葉麗子、千葉千恵巳などが参加)も話題となった。連チャンシステムもFパワフルIIIと同じで、保2~保4の各エリアを「1/16」で大当りに書き換えるタイプだった(ダブル発生率=約19%※)。
※保2、保3でダブった場合、トリプル以上に伸びる確率は約21%にアップ(⇒後述)。
こうした流れの中、FガールズIに続いて’93年秋にホールデビューしたのが、今回紹介する「フィーバーパワフルV」である。
名機パワフルIIIの直系後続機で、メインキャラの夢夢ちゃんや9分割液晶デジタルも、そっくり引き継いでいた(「メロン越え」も健在)。
ただ、「三共初のカラー液晶モニタ搭載」として鳴り物入りだったパワフルIIIや、タイアップ機で大きくプッシュされたガールズIと比べると、本機のデビューは若干「地味」な感じもした。
その為、当初は「FパワフルIIIの単なるセル(メラ)違い」と、勘違いされる事もあった程だ。
(実際、人気の高かったFパワフルIIIには、複数のセル(メラ)違いが存在した)
本機は、小田急線・Y駅前の「L」(現存)でよく打った(初打ちも同じ店)。当時、私はこのL店で、FパワフルIIIを頻繁に打っていた。また、FガールズIも新台入替以来、ずっとここで追っていた。
その為、L店における「パワフルIII⇒ガールズI⇒パワフルV」という時間軸は、今も鮮明に記憶に残っている。比較的客付きの良好だったパワフルIIIやガールズIと比べると、本機の人気は「イマイチ」の状態がずっと続いていた。
結局、L店は先輩格のパワフルIIIやガールズIより先に本機を外し、代わりにノーマル機「フィーバービューティフルII」を入れた。当時は、「ダービー物語事件」に象徴される連チャン規制が始まっていたが、なぜかバリバリの保留連チャン機ではない本機が、真っ先にL店から消えたのだった(その直後、ガールズIも撤去されたが、パワフルIIIはしばらく残り続けた)。
さて、本機がホールに並んだ当初は、ゲーム性(数珠連システム)を理解せずに打つ客も、決して少なくはなかった。
特に、先行機のパワフルIIIとガールズIの影響で、「三共の9分割デジタル=保留連チャン機」と思われがちだった背景もあって、本機で保留連チャンしないと、そのまま即止めする者もいた。当然、中身を知る者にとっては格好の「ハイエナ」の対象になった。
暫くすると、攻略誌等を通じて本機が「仕込まれた数珠連チャン機」と、徐々に広まっていった。
それでも、一部のオッチャン・オバチャン連中は、正確なシステムを知らぬまま、大当り後20回転ほど回して当らないと、そのまま台を捨てたりした。そんな後釜をすかさず拾うハイエナは、やはり功を奏した。
一方、肝心の「数珠連チャン」の中身は、当時としては少々「マイルド」な印象も受けた※。
(※但し、実際の数珠連チャン率は、それ程低くなかった。この点、後述の「★補足」を参照。)
本機は、通常「1/240」の確率で抽選されるが、大当たり終了後は無条件で「天国モード」に突入。即ち、「天国突入率=100%」というスペックだった。
天国Mの大当り確率は「1/80」で、通常時より3倍もアップした。ただ、この「1/80」というのが微妙で、同時期の数珠連チャン機と比べると、やや低めの数値ではあった。
(参考)同時期ホールで活躍した、主な数珠連チャン機の大当り確率(天国モード滞在時)
・フィーバーフェスティバルI(三共)・・・1/24
・フィーバー大相撲II(三共)・・・1/53
・ブラボーキングダム(平和)・・・1/25
・綱取物語(平和)・・・1/37
・パーラーキング(西陣)・・・1/16
・ミラクルフォースSP(西陣)・・・1/15
・春夏秋冬(西陣)・・・1/10
・春一番(西陣)・・・1/8
もちろん、初当り確率や天国突入率、転落率等が各機種で異なる為、単純な比較はできない。
しかし、約50回転以内の連チャンが当然、といった当時の数珠連チャン機において、「1/80」という確率はお世辞にも「甘い」とはいえなかった(※この表現は、やや不正確だった。「★補足」を参照)。
ともかくも、大当り後は必ず天国モードに入った本機。だが、天国滞在時に「特定の条件」を満たすと、通常モードに転落する。
その条件は、「センターデジタル絡みのリーチが外れる事」だった。本機は8ライン機で、センター絡みのハズレリーチは、以下の5パターンとなる。
大当り後、上記いずれかのリーチが外れた場合、天国(1/80)から通常(1/240)に転落する。
これを知らずに止めたオッチャン・オバチャンのハイエナが、オイシイ時期もあった訳だ。
なお、転落の契機となるハズレリーチのトータル出現率は、約1/17.7(⇒1/24.4とする資料もアリ※)。
また、配列上「右上がり」と「オールフルーツ」のハズレリーチが、他の3ラインより出現率が低いのも特徴。
※図柄配列から単純計算すれば「約1/24.4」だが、「ハズレ時に7が出易い」といった出目上の特徴(偏り)があった記憶アリ(FパワフルIIIも同様だったような…)。仮にそうならば、「1/17.7」説が正しいように思われる(要確認)。この点、「★補足」を参照。
つまり、「1/17.7」の転落リーチを引く前に、「1/80」の当りを引けば、数珠連チャンが発生。ヒキ次第では4連、5連とジュズることもあったが、早々に中央リーチが掛かり、あっさり外れてチョン…となるケースも多かった。
特に、出現率の低い「オールフルーツ」や「右上がり」が外れた時の悔しさといったら…普段は滅多に出ない癖に、こんな時ばかりアッサリ出るな!と、何とも恨めしく思ったものだ。
ある時は、「大当り後に単発打ちすると、中央のリーチが掛かりにくい」という噂も出て、自分でも試してみたが、結局は単なるガセネタだった。
もちろん、「数珠連」とはいっても、保留4つで当るケースもある。但し、保連率は約5%と低い。
★補足
あらためて本機の「数珠連チャン率」を計算したところ、天国モード(1/80)滞在時において
(1)大当り後「17.7回転」以内に当る確率≒19.96%
(2)大当り後「24.1回転」以内に当る確率≒26.15%
という数値が出てきた。当時の実体験からいって、(2)の26.15%は、やや高すぎの感がある。とすれば、やはり(1)の19.96%の方が、数珠連率として妥当のようにも思われる(FパワフルIIIの保連率約19%にも近い)。よって、現段階では、本機の転落契機となるハズレリーチの確率は、1/17.7としておく。こうしてみると、当時感じていたよりも、連チャン率は意外と高かった事に気づく。必ず天国モードに入る事を考えれば、「1/80」という値も決して悪くなかった訳だ。
(補足、終わり)
・FパワフルVの連チャンシステム(フィーバーパワフルIIIとの違い)
本機の大当り確率は、先行機のFパワフルIIIと全く同じで、「1/240」である。
但し、FパワフルIIIが一発抽選で当否を決めるのに対し、本機は二段階抽選を採用。
即ち、一次抽選が1/80(「0~79」、当選値「1」)で、二次抽選が1/3(「0~2」、当選値「1」)。
よって、通常時は、両者を合算した「1/80×1/3=1/240」で抽選を行う。
一方、大当り終了後は必ず天国モードに入り、二次抽選(1/3)がフリーパスとなる。つまり、一次抽選の1/80さえクリアすれば、大当り(数珠連チャン)となる訳だ。
もちろん、大当りを引く前に、転落契機の上記ハズレリーチを引けば、即・天国状態は終了。
これに対して、FパワフルIIIの保留連チャンは、大当り終了時に保2~保4の各エリアを「16通り」の乱数(「0~15」)に強制上書きする事で発生する。そのうち大当り乱数は1つ(「4」)なので、上書きされた各エリアでは、それぞれ「1/16」で大当りが期待できる訳だ。
(但し、保1は書き換えられない為、初当り後の保1ダブルは自力のみ)。
したがって、ダブル発生率は約19%となるが、初当り後に保2又は保3でダブった場合、トリプル以上に繋がる確率は約21%とさらにアップする。書き換えられた数値が最終的に保1へ入る為、保1~保4全てに連チャンの可能性が生まれるからだ。一方、保4でダブった場合、トリプル以上となる確率は19%のままとなる。
★余談…故・田山幸憲プロの「パチプロ日記」とフィーバーパワフルV
溝の口B店(「P・Sビッグトップ」)時代、田山さんは「FパワフルIII」(「V」ではない)を好んで打っていた時期がある(特に、「ピカイチ天国V」が撤去された後)。当時の日記を読む限りでは、戦績も相性も良かったようだ。
ただ、ピカイチがメインの頃、パワフルIII自体にそれほど興味はなかったようで、過去の日記を紐解くと、こんな事も書いてある。以下は、当時の日記の引用。
(B店、FパワフルIIIの実戦場面、以下引用)
二回目― 一週間ほど前に読んだ必勝ガイドの「安田一彦・デジパチ速攻診断」に、フィーバーパワフルのことが書いてあったのを思い出す。
しかし、あの時は「パワフルなんか、どうせ打たないんだからどうでもいいや」と、いいかげんに読み流してしまった。こんなことになるのならば、あの時もっと注意深く読んでおくべきだったと、今になって後悔する。
このパワフルにも天国モードが有るのか?確か「大当り後、中央がらみのリーチが外れるまで」とか何とか書いてあったぞ。だとすれば、中央がらみのリーチはかからない方がいい。
-などと考えながら打っていたら、八百円目に早くもそのリーチがかかって、お化けになってしまった。これにて、天国が消滅したということか…。
(「パチンコ必勝ガイド」1994年4.17号、田山幸憲のパチプロ日記(2月14日)より)
当時の田山プロは、B店でハネモノ(ニュービッグシューター、たぬ吉くん2、フライングカーペット、ニューヨーカー、ペッタンラビットなど)を追う一方、デジパチの「ダービー物語」や「ピカイチ天国V」(ダービー物語との入替)もメイン機種として打った。
この時期のB店にはFパワフルIIIも設置されていたが、あくまでピカイチがメインだった田山さんは、ピカイチが健在の間、あまりパワフルIIIには座らなかったと記憶する(その後、B店の常連「ヤカン君」がパワフルにハマった事をきっかけに、次第に実戦頻度も上がっていく)。
上記の日記は、いつもピカイチVを打っていた田山さんが、珍しくパワフルIIIを打った時のもの。どうやら、ピカイチ時代の田山さんは、当初FパワフルIIIのスペックをあまり詳しく知らなかったようだ(ダービー一筋、ピカイチ一筋…と気に入った一機種を打ち込んでいた為、無理もない)。
ただ、自分が今まさに対峙している「パワフルIII」の説明に、ガイド誌で安田プロが書いていた「パワフルV」の特徴(天国モードやセンターリーチ)を引き合いに出したのは、さすがに田山さんの「勘違い」だった可能性が高い。
(なお、「パワフルV」がB店にあったとする記録は、日記その他の資料でも全く確認できず。)
その後は、好んで打っていた贔屓の「ピカイチV」がB店から外されたのを境に、FパワフルIIIのシマをチェックする回数も次第に増えていった。そうして実戦回数を重ねるうちに、やがて、パワフルIIIは溝の口をネグラとする田山さんにとって、「切っても切れないメイン台」となった。
そして、「FガールズI」「エスケープ2」「あんたはエライEX」といった台と共に、溝の口再開発に伴うB店の「終焉」まで、粘り強く打ち続けた(田山さんもB店の閉店が近い事は知っていたが、予告なしの貼り紙一枚による唐突な「前倒し」閉店で、急遽のネグラ替えを余儀なくされた⇒桜新町「H店」(パチーノヒノ)にネグラを移動)。
★追記1★(2015.1.05)
CRフィーバーパワフルIIの画像とスペック情報を追加しました。
CRフィーバーパワフルII(三共、1993年1月登場)
・賞球・・・6&15
・大当り確率
設定1・・・1/218
設定2・・・1/240
設定3・・・1/260
・最高16ラウンド継続、出玉2300個
・有効ライン、大当り図柄はFパワフルIIIと同じ(8ライン、7の三つ揃いとオールフルーツ)
・オールフルーツで当ると、次回までの確変に突入
・確変中は全設定とも確率10倍アップ
・確変突入率&継続率…1/11
・保留玉連チャンもアリ
・アタッカーはFパワフルIIIと違い、FレジェンドIタイプのウィングアタッカー
・従前のCR機は全て「ヘソ5個戻し」だったが、この機種で初めて「6個戻し」を採用
(追記1、ここまで)
★追記2(2015.1.05)
夢夢ちゃんシリーズで、大当り中「結婚の夢オチ」が出てくるのは、1996年登場の「CRFビッグパワフルFX」です(夢夢ちゃんの学生時代から結婚に至るまでの流れが各ラウンドで出るが、最後は全て夢だった…というオチ)。この台は、液晶画面(内部的にサブ扱い)で図柄が揃う前に、小さい3桁7セグ(内部ではメイン扱い)の方が揃ってしまう為、アタッカーがフライングで開くのが大きな特徴でした。
因みに、「結婚つながり」でいえば、同じ1996年に三共から「フィーバー結婚の条件」という現金機のノーマルデジパチも出ています。
(追記2、ここまで)