まにあっく懐パチ・懐スロ

古いパチンコ・パチスロ、思い出のパチンコ店を懐古する
(90年代のパチンコ・パチスロ情報がメイン)

汽車ぽっぽII(三共、ハネモノ)

2015-12-16 19:02:55 | ハネモノ



1990年(平成2年)に三共から登場した、旧要件ハネモノ「汽車ぽっぽII」


★賞球…オール13
★ハネ開閉時間…オトシ0.35秒×2(左右オトシ入賞で、ハネは2回開く)
★ヘソチャッカー入賞で、ヤクモノの汽車が常時始動を開始(ヘソはハネ始動チャッカーではない)
★継続ラウンド数…最高8ラウンド
★大当り中、ヤクモノに最大5個貯留(5カウントで貯留解除)




盤面中央でクルリと回る、赤い汽車のヤクモノが印象に残る。ヘソとオトシにも、一風変わった特徴を持った本機。



90年秋頃~翌91年初頭に、小田急線・下北沢駅裏手の「下北レジャー」というパチ屋で実戦。
(90年代半ばに閉店。その後、跡地では「カレイド下北」が営業開始。現在に至る。)


在りし日の「下北レジャー」…すりガラスの自動ドアの正面がパチンコフロアで、左の階段を下りた地下がパチスロだった。当時、本機や「パニックコスモ(コスモII)」(三洋)を打ちに通った。地下では「ドリームセブン」(高砂3-1)、「ムサシ」(パイオニア2-2)と戯れた。91年に「ワイルドキャッツ」(アークテクニコ3-1)の貯金Verが入った。


因みに、下北レジャーのすぐ近く、小田急の踏切を渡った目の前には、「ワールド」という別のパチ屋があった。ワールドでは、「エンタープライズ」(三共)や「魔界組」(西陣)といった、旧要件ハネモノを打った事を思い出す。

夜、ワールドからレジャーに「ハシゴ」すべく踏切待ちをしていると、レジャーが入った線路向かいのビルの上に、「下北レジャー」と地味に書かれた屋上ネオンが見えた。一方、レジャーからワールドにハシゴする時は、踏切の前で派手に光る、「ワールド(WORLD)」のネオンが、嫌でも目に入ってきた。当時は、こうしたネオン看の類にも、味わい深い「情緒」があったと思う。


在りし日の下北沢「ワールド」…1Fがパチ、2Fがスロ。スロの実戦機種は「アニマルG」(アークテクニコ、2-1)、ワイルドキャッツ(貯金)、「ミスターマジック」(サミー3-2)など。ミスマジは、クローズとなるまで置いていたと記憶。跡地は、現在「大庄水産」になっている。


また、当時の下北沢界隈では、「ミナミ」「グリンピース下北沢店」「富士ホール」「ゴールデン会館」といったパチ屋・スロ屋も営業。グリンピの「ホワイトアラジン」(初代アラジン、白パネル)やスーパーウィンクル、スーバニが懐かしい…。上記ホールの中で営業を続けるのは、今や「ミナミ」のみ。



そういえば、下北沢駅周辺は、近年再開発が進み、小田急の駅は地下化され、シンボリックな駅前の踏切も消えるなど、1990年当時とは趣きが大きく変わっている。平成初期の当時を知る者からすれば、こうした変貌はちょっと寂しい気もするが、これも時代の移り変わりだから、仕方ない。



おっと、下北沢界隈の思い出にかまけて、本機の説明をすっかり忘れていた。






ヤクモノは大きく見れば二段構造。上段が平坦なステージ、下段は円型の線路を模したステージ。


「線路」といっても、実際にゲージは敷かれておらず、線路や風景の「イラスト」のみ。


で、その線路の上にあるメインヤクモノが、半円状にカーブした、「赤い汽車ぽっぽ」である。
(構造上、若干見づらいのが難点)


外観は「グリコのおまけ」のような華奢な作りだったが、そのチープさが、却って味わい深かった。


この汽車も「一層」にカウントすれば、本機のヤクモノは「三層構造」となる。まぁ、円形のステージと汽車をまとめて、「下段」と考える事も出来よう。


因みに、本機と同時期には、ライバルメーカーの平和も、「汽車ポッポDX」という旧要件ハネモノを出していた。単なる偶然とは思うが、同じモチーフが思いっきり「カブった」格好だ。


「汽車ポッポDX」では、ヤクモノの汽車がデンと正面を向いていて、前面の蓋がパカッと開いたり、汽車が奥から手前に出てくるなどの特徴があった。一方の本機は、円型の線路を模したステージの真上を、赤い半円状の汽車が、反時計方向にクルリと回る。同じ「汽車」でも、両機の構造やゲーム性は、全く違っていた。

そういえば、子供時代、地元近くに「汽車ぽっぽ」という和風民家型のレストランがあって、注文した料理や飲み物を、SL機関車のミニチュア模型(といっても結構大きい)が、テーブルまで運んできてくれた。本機を見ると、このレストランの事を自然と思い出す。


ところで、「半円状にカーブ」の表現では、本機のヤクモノをイメージしづらいかもしれない。ザックリ言えば、「ルーレット」の半分が欠けていて、残る半分が汽車の形をした、「水平回転体」である。

先頭が煙突付きの汽車で、その後ろには一応「運転席」もあって(運転士のイラストがある)、最後尾が石炭を積んだ貨車(=石炭車)。

「線路に沿ってカーブした、半円状の長い汽車型回転体」といえば、イメージして頂けるだろうか。


汽車は、普段停止したままだが、(1)ハネ開閉後(オトシ入賞時)、(2)センターチャッカー入賞後、(3)大当り中の貯留解除後に限り、円形の線路(ステージ)上を回転する。

(1)は2周で止まってしまうが、(2)は大当りするまで延々と回り続ける。また、(3)は、ラウンド終了まで回っている。


左右オトシ入賞で、「遮断機」を思わせる小さいハネが、「0.35秒」の素早い開放を2回繰り返す。

この時、踏切特有の「チンチンチン」という警告音が鳴ったハズ。

さらに特筆すべきは、左右オトシが「2回開きチャッカー」という点だ。「オトシ=1回開き」が定番のハネモノで、二回も開けば何やら得した気分になるが、その理由は、読み進めれば判るだろう。


一方のヘソ(センター)は、「チャンス」と表示された特殊なチャッカーで、ここに入賞しても、ハネは開かない。


しかし、この「チャンス」に入賞すると、停止中だった赤い汽車が、通常時にも拘らず、反時計回りに動き出すのだ。


つまり、ヘソのチャンスチャッカーは、「ヤクモノの動きを変える」という、重要な役割を持っていた。


本機に1チャッカーはなく、ハネ開放時は必ず「2回」開く仕組み。ヘソ入賞でもハネが開かない分、両オトシを2回開きにした訳だ。ただ、このスペックが「シブ釘化」につながったのも事実。


「左右オトシが2回開きで、ヘソがチャンス(ヤクモノの動きが変化)」というチャッカーの仕組みは、三共から同年登場した、ハネモノの先行機「レオパードII」を継承したもの。


レオパードIIは、通常時、ヘソの「ACT」チャッカー入賞で、ヤクモノ上部の山型プレートが反転し、さらに左右の砲台も停止して、V獲得の大きなチャンスとなる。但し、その後オトシに入ってハネが開くと、ヤクモノの状態も元に戻ってしまう。


一方の本機は、チャンスに入賞して汽車が動き出せば、大当りが来るまでの間、ずっと回り続ける。つまり、「常時回転」の状態になる訳だ。ヘソ入賞の効果が、レオパードIIよりもグレードアップしていた。


しかも本機は、汽車が「常時回転」している時に、とりわけ大当りし易い構造だった(理由は後述)。


つまり、チャンス入賞時は、文字通り、大きな「チャンス」となったのだ。


さらに、途中でタネ銭が尽きたり、ジリジリした展開に嫌気がさしたりして、汽車が回ったままヤメる客もいたから、ハイエナが効果的だった。


だが、時には、そのハイエナが仇となり、見事な「ダマシ釘」に引っかかる事もあった。ヘソのチャンスにはよく入っても、肝心の始動チャッカー(=左右オトシの2チャッカー)にサッパリ入らず、さらに寄り釘まで酷く、ヤクモノにさっぱり玉が入ってくれないケースだ。


こんなイジワル台に捕まってしまうと、「汽車が回っているから」と止められなくなり、ついつい投資も嵩んで、ミイラ取りがミイラになったりした。まぁ、「客に金を使わせるのが巧い台」だったともいえる。


もちろん、大当りのポイントが「チャンス入賞」という点は変わらないから、本機を打つ上で、ヘソ釘チェックは「最重要事項」であった。




おっと、始動チャッカーの話だけでは、記事が偏ってしまう。ヤクモノ内の「玉の動き」も説明しよう。


本機の大当りパターンを簡単にいえば、「上段から下段奥に落ちた玉が、反時計周りに回る汽車の力で手前に送られて、V手前のゼブラゲートを通り抜けて、そのままVに入れば大当り」となる。


因みに、「ゼブラゲート」とは、円型ステージと手前Vゾーンの間にある、黄・黒の二色線で囲まれたゲートの事だ。下段奥から手前に転がった玉は、このゲートの間を通過しないと、Vには入らない。但し、ゲート下の両脇には大きなハズレ穴があって、大半が行く手を阻まれてしまう。

逆に、ゼブラゲートを抜ければ、大チャンスとなる。但し、クセ悪台だと、ゲートを通過しても、最後にVの左右に蹴られてしまう、口惜しいパターンが多発した。まぁ、大当りまでには、いくつもの「関門」があったのだ。


ところで、先述の通り、本機はヘソの「チャンスチャッカー」に入賞すると、大当りし易い構造だった。


というよりも、逆に、チャンスに入らないと、なかなか大当りしなかったのだ。クセ良台ならともかく、普通の台では(もちろんクセ悪台も)、汽車が止まった状態は「ローチャンス」。特に、ハネ開閉1回目に拾われた場合は、ほぼ「ノーチャンス」となる。


一方、ヘソのチャンスに入って、汽車の「常時回転」がスタートすると、一転して、大当りの期待度はグンと高まる。

もちろん、Vを1回外したからといって、汽車の常時回転が止まる事はなく、大当りになるまで回転は続く。

但し、この状態でヤクモノに入れて、なかなかVに決まらない台は、致命的なクセ悪台となる。



それでは、なぜ、チャンスに入賞すると、普段よりも大当りし易くなったのだろうか?


その理由は、ヤクモノの汽車が「常時停止」か「常時回転」かによって、下段ステージ奥に落下する玉と、汽車が近づくタイミングが、大きく違っていたからだ。


チャンス未入賞時、ヤクモノの汽車は「常時停止」しているが、オトシ入賞でハネが2回開くと、反時計周りに回転を始める。汽車の回転周期は約3秒で、2周回ると再び停止。


しかし、汽車が回り始めるタイミングがいつも一定で、回転周期も「約3秒」と一定な上、下段に落ちるポイントも似通っていたから、落下した玉と汽車の「位置関係」も、大体が同じになったのだ。


この時、多くの玉が、反時計回りする汽車の「前面」に押し出されて、左奥から手前ゼブラゲートに向かって転がる。だが、ゲート下には、左右に大きな「ハズレ穴」があって、押し出した玉の大半が、左のハズレ穴にとられてしまう。


たまに、ハズレ穴をクリアしてゲートを通り、そのままVに飛びこむこともあったが、よほどクセが良くないと、そうそう決まるパターンではなかった。


ここで、一応確認しておくが、下段のハズレ穴は、「ゼブラゲート下の左右」と、「Vゾーン両脇」の計4か所もある。Vへの道のりが決して甘くない事が、お判りだろうか。



一方、チャンスチャッカー(ヘソ)入賞後は、汽車が「常時回転」を開始するから、下段に落ちる玉と、汽車との位置関係も、一定とはならない。汽車が常に回っている以上、ナキのタイミングによって、大きくバラつくのだ。


この時も、落下した玉が先頭車両に押し出されてしまえば、大半がゲート脇のハズレに入るから、大当りのチャンスは低い。


だが、先頭部ではなく、半円状の汽車の「中央」付近で玉を拾った場合、V獲得の大きなチャンスとなる。この中央部には、内向きの「傾斜」が付いていて、乗った玉を真っ直ぐ手前のゼブラゲートに送る、絶妙な「スロープ」と化した。


スロープに乗った玉が、そのまま手前のゲートを通り抜ければ、V入賞の可能性は高い。このパターンは、チャンス未入賞時だと、汽車の回転周期が合わない為、実現しづらいのだ。なお、クセ悪台では、このパターンからでも、V両脇に外れる事が多い。


なお、ヘソ未入賞時(汽車は常時停止)でも、以下の場合は、スロープに乗る事があった。

(1)上段ステージで、玉が玉突きしたり遊んだりして、下段への落下タイミングが遅れた場合

(2)オトシに「連続入賞」して、汽車が回っている状態で、追加玉がヤクモノに入った場合




さらに、汽車の最後部の「石炭車」も、大当りする上で大きなポイントとなった。


最後部に拾われると、石炭車の荷台部分に玉をいったん貯留する。貯留された玉は、反時計回りで手前に戻ってくるが、途中でこぼれ落ちる事なく、荷台に1個貯留されたまま、ゼブラゲートに到達する。そして、ゲートの間から「コロリ」と手前にこぼれると、そのままVを目指すのだ。

このパターンも、汽車が「常時回転」しているがゆえに訪れやすいチャンス。ヘソ未入賞時だと、汽車のタイミングがなかなか合わずに、実現しづらい(但し、不可能ではない)。


なお、1個貯留すべき最後部の石炭車に、たまに「2個貯留」する事もあった。しかし、この場合、却って玉突きが起こる為、両方共にVをハズしやすい。


ともかくも、大当りするか否かは、汽車が周回するタイミング次第。「中央のスロープ」や「後部貯留」を経由するのが、V入賞の「王道」パターンで、チャンス入賞で汽車が回り続ける状態では、王道パターンでVを射止める確率が、大幅にアップしたのだ。


なお、その他の大当りパターンには、下段奥に落ちた玉が、汽車をかわして手前に転がり、ゲート手前のハズレも回避して、Vに入るパターンがある。但し、これはレアなパターン。




かくして、Vを射止めると、汽車が停止した状態で、大当りスタート。この時、汽車はゲート下にある左右のハズレ穴を塞いで停止するから、下段ステージ奥に複数貯留するようになる。

なお、大当り開始と同時に、上段奥に「駅弁小僧」と称する、妙なキャラが出現。ハネ2回開閉まで上段に貯留するが、すぐ下段貯留に切り変わる。この動きが、特にV継続に影響した訳ではない。


最大貯留は5個。上段奥の二穴についたセンサーが5カウントした瞬間に、汽車が再び動きだして、貯留解除となる。正しくは、「最大4個貯留から、一瞬5個貯留となり、すぐ貯留解除」だ。


解除された玉は、奥から押し出されるようにして、、一斉に手前へ転がる。そのままゲート下のハズレに入る玉も多いが、そのうち1個がハズレをかわして、Vまで到達すればOK。貯留が5個あれば、6割以上の確率でV継続となった(ここでも、クセが継続を左右)。


貯留解除でVを外した場合、チャンスチャッカー入賞後と同様に、汽車は「反時計回り」を続ける。

「5カウントで貯留解除、10カウントでパンク」なので、残るチャンスは5個となる。

但し、汽車の常時回転中は、「スロープ経由」や「後方貯留」でVに入り易いから、貯留解除後の「復活」も多く、V継続率は悪くない。完走時の出玉は、800個程度。



オール13で、通常時の玉持ちも何気に良く、当初は「勝てる」印象が十分にあった本機。だが、日を追うごとに、オトシもヘソもシブくなり、やがて、サッパリ動かない「展示機関車」になってしまった…。


しかし、思い返せば、90年当時の旧要件ハネモノは、「ハマりを喰らう」といっても、せいぜい数千円程度。万券が吹っ飛ぶことなど、余程アツくならない限り無かった。90年夏、JR大宮駅のパチ屋で、クセ悪の平和「たぬき丼」を打ち、8000円負けたのが、旧要件ハネモノでの最大負け額。あの痛恨の敗戦は、その後のハネモノの立ち回りで、大きく役立った。


しかも投資は100円から可能で、「2.5円・4000発打ち止め」なら、ポッケに残った一枚の小銭が、1万札に化ける事だって、当時は普通にあった。


まさに、「ローリスク、ミドルリターン」の時代。


それに飽き足らなければ、オマケチャッカー付きのノーマルデジパチ、権利物、保留連チャン機、さらには一発台…と、他の「オプション」を選べばよかった。


換金率も千差万別で、自分の活動地域でも、「2.2円」で換金が低い分、釘が甘い店は多かった。


ひょっとして、パチンコの「遊技性」は、25年前の1990年の時点で、既に「完成」を見ていたのではないか?


実際、私にとって、最も「郷愁」が感じられ、かつ充実した時代が、この「旧要件末期」であった。


個人的に、「パチンコデビューの年」というのも、思い入れが深くなる原因だとは思うが…それでも、やっぱり「いい時代」だったな。