~90年代・懐かしのパチンコ番組~
「パチンコスタジアム(旅情編)」(テレビ東京)レビュー
「拡大版スペシャル・イン名古屋」
・放映日:1997年(平成9年)9月18日(木)
・MC:斉木しげる
・ゲスト:ダチョウ倶楽部(肥後克広、上島竜兵、寺門ジモン)
・ロケ地:正村竹一資料館(名古屋市西区)、「中川コロナワールド」(名古屋市中川区)
・対戦機種…CRFピストル大名JX(SANKYO、1997年)、CR華観月Z(京楽、1997年)
冒頭、斉木名人とゲスト・ダチョウ倶楽部の3人による「緊急会議」。今回で実に「99回目」の放映となるが(第1回放映は95年10月)、MCの斉木は、「名人」を名乗るにしては物足りない戦績が続く。一方のダチョウ倶楽部も、出演時の番組視聴率こそ非常に高いが(過去2回出演時の視聴率は歴代1位と3位)、メンバーの戦績自体はイマイチ。過去に大当りしたのはジモンだけで(「CR花満開」にて単発2回)、肥後と上島はここまで全く良い所がない。
そこで、今回は放送枠をいつもの15分から「25分」に拡大すると共に、軍資金も通常の1万円から「2万円」に倍増する事に決定。そして、決戦の地に選んだのは、パチンコの本場である「名古屋」。意気揚々と現地に乗り込む名人たち…と思いきや、カメラが「引き」になった途端、なぜか「会議室」(セット)の背後に巨大な名古屋城が見える。そう、すでに彼らは名古屋入りしていたのであった(笑)。
最初に名人達が訪問したのは、貴重な古い手打ちパチンコ台などを展示する「正村竹一資料館」(ミュージアム)。 歴史を感じさせるレトロ台の数々に、興味津々の4人。「正村ゲージ」を開発するなど「パチンコの父」と言われた正村氏が、なぜ「特許」を取らなかったのかを、案内係(管理人)の鈴木さんが説明。故・正村氏は、「(他メーカーが)真似したくなるような良い機械を、どんどん作ればいい。みんなで仲よう使えばエエがや。」と敢えて独占的な特許を取らず、メーカーが自由に技術を使う事を望んだという。
神妙な面持ちで話を聞く名人。だが、ダチョウの三人は話そっちのけで、手打ち台に夢中。あきれた斉木、「我々芸人も、いかに大勢の人に楽しんで貰えるか、こういう精神でやらないと」と諭すが、ダチョウの耳には届かない。名人も、玉を一発づつ手で入れる「単発式」の台が気になる様子(そういえば、この放映日の1か月前にリリースされたVシネ「パチプロ日記」(斉木名人が田山プロ役で主演)でも、若き田山プロが小店で手打ち台を打つシーンがあった)。かつて鳴らした(?)腕を披露すべく、「秘技・浮かし打ち」なる技を使うと、一発だけ打った玉が見事センターチューリップに入賞。チーンジャラジャラと出てきた玉に、「15発(賞球)の重みが違うな」と、しみじみ語る名人。肥後やジモンも、「(床に)落ちている一個の玉で、勝てるかもしれない」と納得顔。
資料館で有意義な時間を過ごした4人は、今回の対戦ホールとなる「中川コロナワールド」に向かう。天然温泉施設も備えたアミューズメントパークで、設置台数は760台と多い。建物やホール内の広さに圧倒される名人たち。さっそく、景品コーナーでお目当ての品々を物色。ジモンは個人的に集めている「スヌーピー」の人形、リーダーの肥後は「機関車トーマス」の缶詰(単に、「森本レオ」のモノマネがやりたかっただけ?)、そして上島はなぜか「俺の友達、ワンカップ(大関)」(玉60発)。また、この店の冷凍景品コーナーには「タラバガニ」(玉2000発)まで置いてある、という充実ぶり。「ここ、景品スゴイなー!」と真顔で驚く上島。
今回の勝負は「拡大版」という事で、持ち金は通常の倍となる「2万円」。思わず「ヨッシャ―」と喜ぶダチョウの面々。だが、よく考えれば、この番組はすべて「自腹」勝負である。何だか複雑な面持ちで、とりあえず3000円分のパッキーカードを購入するメンバー。
ここで、今回の対戦台が紹介される。「CRフィーバーピストル大名JX」(SANKYO、大当り確率1/257)と、「CR華観月Z」(京楽、大当り確率1/337)の2機種だ。時期的に、ちょうど「リミッター」付きのCR機が台頭した時代。もちろん、両機種ともしっかりリミッター付き。
「CRFピストル~」は人気アーケードゲーム「ピストル大名の冒険」をモチーフにした液晶デジパチで、7種類のスーパーリーチが特徴。宣教師とお坊さんが出てくる「お祈りリーチ」や、力士軍団がジャンプしながらデジタルが全回転する「相撲リーチ」をはじめ、「鯨ひみつリーチ」「鯨潮吹きリーチ」「でか手リーチ」「でか足リーチ」など、多彩なアクションがウリ。赤い忍者が画面を横切る「リーチ予告」もあって、ゲーム感覚で楽しめる。確変図柄は「三・五・七・ん」の4つで、突入率は4/15。
(相撲リーチ)
一方の「CR花観月Z」は、大当り中に演歌歌手・田川寿美(たがわとしみ)の歌が流れる「タイアップ物」。実写映像を背景に、花札が回転する美麗な画面が特徴で、スーパーリーチは7種類。紅葉や雪など四季の風情タップリの「雅リーチ」から、サウンドが変わって巨大な筆を抱えた寿美ちゃんが現れると、信頼度の高い「寿美ちゃんリーチ」。寿美ちゃんが、筆で中デジタルの札を次々塗り替えていく。また、信頼度100%の全回転リーチ「御来光リーチ」は、確変時のみのアクション。朝日が昇る富士山に背景が切り変わり、スクロール中のデジタルが右⇒中⇒左の順で揃って全回転する。さらに、デジタル回転中に「チャララー」という効果音が鳴り、上から赤短が降ってくる「赤短予告」は、予告が連続してからリーチが掛かると期待度アップ。確変図柄は奇数の6種類で、突入率は1/2。
(寿美ちゃんリーチ)
この二機種の他、ホールで活躍する「新基準CR機」5種も併せて紹介。「CR将軍ちゃま3」(平和)、「CRフィーバークイーンJX」(SANKYO)、「CRタートルダッシュRX」(サミー)、「CR大江戸日記6」(ニューギン)、「CRラッキートマトZ」(西陣)といった新機種が紹介される。これら新基準機は、確変時の継続回数が初回を含めて「5回まで」に制限されている(リミット付き)。その代わり、従来のCR機よりも確率は高めである。
今回も、いつものように番組が指定する「ラッキーリーチ」で最初に大当りした一名には、「温泉宿泊券」が贈られる。今回は、正村氏が創設した「ホテル太閤」のペア宿泊券(一泊)を進呈。一気にテンションが上がるダチョウのメンバー。気になるラッキーリーチは、「CRFピストル~」が全回転系の「頭山桜の介リーチ」(桜の介の頭に生えた桜がニョキニョキと伸びて、画面上から花びらが降る)、「CR華観月Z」が「勝負リーチ」(画面下に「手」が現れて、中デジタルの札を高速で配っていく。3周目に入ればアツい)。
さて、いよいよ勝負開始の時。まず、4人が座ったのは京楽「CR華観月Z」。開始早々、斉木名人にラッキーリーチの「勝負リーチ」が掛かる。中デジの札を配るアクションが2周を超え、3周目に入るとアツいが、名人は3周したにも拘らず1コマ過ぎてハズれる。次いで、ジモンにも幸先よくスーパーリーチ。コチラは、中デジタルがズームアップを繰り返す「拡大リーチ」。拡大リーチには「ノーマル」と「低速」の2種類あり、低速のほうが信頼度は大幅に高い。で、ジモンに来たのは、期待できる「低速」の方だ。「十二」のリーチが掛かり、拡大しながら進む中デジタルが、二コマ手前の「十」から超スローへと切り替わる。そして、けたたましいBGMと共に、デジタルは「十二」で停止。大当り一番乗りは、またもやジモンだった。しかも、再始動アクションから、確変の「五」に昇格するヒキ強ぶり。気分がすっかり高揚したジモン、「パチンコは勘!データはいらない!」と豪語する。
(C)テレビ東京
(いきなり確変を引いて上機嫌のジモン)
一方、肥後と上島は台データを収集すべく、店内に設置された「データロボ」をチェック。「やっぱり、パチンコはデータだから」という肥後に、チョビヒゲを付けた上島は、「そうですかな、部長」とコント風に答える。「お前とコントやる為に来たんじゃないんだよ」と、上島の頭をドツく肥後。こういう「小ネタ」も、高視聴率を支える要因だろうか(笑)。データロボのグラフで当日の「好調台」を探し出し、上り調子の「878番台」(CRFピストル大名JX)が狙い目と判断した二人。データチェックを終えると、我先にとシマに直行する。
激しい台取り合戦(笑)の末、お目当ての878番台をゲットしたのは肥後であった。一方の上島、やはりデータロボで好調さが窺えた「880番台」(右隣の台)に着席。すると、お座り一発で上島の方にリーチが。掛かったのは全回転系の「相撲リーチ」だが、上島は「お、どすこいリーチ!」と勝手にリーチを命名。隣で見ている肥後、「あー、これは当ったな。どすこいリーチはめったにハズさないから」と知ったかぶり(実際は、3割程度しか当たらない)。すると、本当に「ん・ん・ん」の三つ揃いとなり、大当り&確変ゲット。「よおーし、来た来た~」と、テンションが上がる上島。
「二番手」の台に先を越された肥後だが、すぐに「相撲リーチ」が掛かる。コチラを本命台として選んだ以上、ここはビシッと決めたいところだ。すると、隣で大当り中の上島が、「これでハズれたら面白いのにな~」とからかう。すると、デジタルは無情にも「ん・七・ん」で大ハズレ。思わず大笑いする上島。一方の肥後、カメラに向かって「ウソ―!」と信じられない表情。まぁ、彼の中では「鉄板」なのだろうが、相撲リーチ程度ではこれが「普通」であろう。
(C)テレビ東京
(相撲リーチを外して唖然とする肥後)
開始早々、ジモンと上島の両名が確変を引き当てるという、好調な展開。だが、リーダーの肥後には当りが来ない。「おかしいな…」と首をひねりつつ、パッキーを追加購入する肥後。一方の斉木名人は、ゲスト二人に先を越されても、まだまだ余裕の表情。「オレは、後で一気に抜くから」と、後半での逆転宣言。だが、低速拡大リーチなどのアツいリーチがハズれまくり、実際はあまり余裕なし。さらに、一番に大当りを出したジモンも、確変中の「ハマリ」に捕まってしまう。実は、華観月Zの確変中の確率は、1/84.3と低めに設定されている(「CRFピストル大名JX」の場合は、確変時=1/51.4)。にわかに雲行きが怪しくなってきた「CR華観月Z」のシマ。
一方、「CRFピストル大名JX」のシマでも、リーダーの肥後が苦戦を強いられていた。スーパーリーチの「でか手リーチ」もアッサリ外れて、「オレ、ダメなんだよ~」と自信を喪失した様子。それを尻目に、隣の上島(確変中)はラッキーリーチの「頭山桜の介リーチ」が掛かり、そのまま「八・八・八」で大当り(ワンセット終了)。見事にホテル宿泊券までゲットして大喜びの上島、まさに「絶好調」である。一方の肥後にも、再び「相撲リーチ」が掛かる。「どすこいリーチ!どすこいリーチ!」と期待を込める肥後。上島も、「もう来るよ」とリーダーを励ます。停止直前、高速で全回転するデジタルをグッと見つめる肥後。だが、無情にもデジタルは「三・六・三」での大ハズレ。「ギャハハハ」と馬鹿笑いする上島。またもやチャンスを逃した肥後は、頭をかきむしって「アーッ!」と悔しがる。悲喜こもごも、実に対照的な光景。
(C)テレビ東京
(温泉宿泊券ゲットでガッツポーズの上島)
さて、華観月のシマでは、確変中のジモンが次の当りを引けずに、ハマっていた(出玉もジワジワ減っている)。さらに、斉木名人から「竜兵(上島)が、ラッキーリーチで宿泊券を取った」と聞き、完全にやる気を失ってしまう。そんな二人の背後を、台車にドル箱(二箱だけ)を乗せた上島が、「ラッキーリーチで当てた玉はいかがですか~」と、嫌味タップリに通り過ぎる。「誰と(旅行)行くの?」と尋ねる名人に、「ウチのカミさんと行こうかな~」とニヤける上島。うつろな表情のジモンとは対照的。ただ、ジモンも一応「確変中」なのだから、もう少し楽しげな表情を見せてもいいと思うが…完全に飽きてしまった模様。
そして、さらにドツボな展開なのが、リーダーの肥後である。せっかく掛かった「でか足リーチ」(大当り時は「金の玉」が落下する)にも嫌われ、「どうなっとんじゃー!」と不満を爆発させる。追加3枚目の3000円パッキーを買い、「(朝)七時の電車に乗って名古屋まで来て、そんで出ないんだから…」と、憤懣(ふんまん)やるかたなし。それを見ていた上島、「台、代わってみる?」と、今まで自分が打っていた好調台を肥後に勧める。不調なリーダーを思いやる上島の「気遣い」であろうか。すると、台を変わった肥後に、いきなり「でか手リーチ」が掛かって、見事「八・八・八」で大当りする。待望の初フィーバーに、「よっしゃー!」と喜びを爆発させる肥後。まぁ、当った絵柄は単発なのだが…。
これで、大当りが一度も来ていないのは、斉木名人ただ一人となった。「後半追い上げ宣言」は単なるハッタリなのか?このまま終われば、「名人」の称号など吹き飛んでしまう。その名人の背後を、肥後と上島の二人が「玉、いかがっすか~!」と台車に出玉を乗せてアピール。名人に「大丈夫ですか?」と皮肉っぽく声を掛ける二人だが、名人は意に介さない様子。だが、内心は決して穏やかではない筈だ。
出玉を一旦交換した肥後と上島。確変で2回大当りを引いた上島は4412発、その上島から台を譲って貰いフィーバーさせた肥後は2452発をゲット。「俺が台譲ったからだよ!」という上島に、「いやー、有難うございます」と、頭の上がらない肥後。すると、上島も、「いやいや部長、これからもよろしくお願いします」と、再びチョビヒケで「小ネタ」を披露。相変わらず、息の合ったいいコンビ(おっと、ジモンの立場は…?)である。その後、二人は再びデータ収集をすべく、データロボへと向かう。
ここで、斉木名人の台にも変化が。「十」(鹿)の雅リーチが掛かると、画面左からアニメキャラの寿美ちゃんが出現して、待望の「寿美ちゃんリーチ」に発展する。さすがに興奮を隠しきれない名人、「あ、ことみちゃんリーチだ!」と叫ぶが、「寿美」は「ことみ」ではなく「としみ」が正しい(笑)。それはともかく、この寿美ちゃんリーチが見事大当りとなり、晴れてメンバー全員が大当りを引くことに成功。「大当りゼロ」の退屈な回もある中で、これは快挙とも言える。やはり、予算と時間のアップが大きいのだろう。すると、ハマリ中のジモンにも全回転の「御来光リーチ」が掛かり、ようやく2回目の大当りをゲット。確変ループはなかったが、ようやくハマリを抜けたジモンには、安堵の表情も見える。
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(ようやく初当りを引いたが、単発絵柄なので複雑な表情の名人)
ここで、全員の出玉を途中集計する。上島=4412発、肥後=2452発、ジモン=3700発、そして斉木名人が2131発。確変で2回の大当りを引いた上島がトップ。同じ2回のジモンは、確変中のハマリも災いして2位。一方、3位の肥後とラスの斉木名人は、共に大当り1回で即交換しているが、出玉に大きな開きがある。実は、「CR華観月Z」のアタッカーは「9カウント」で、平均出玉が約2100個と少ないのだ。華観月Zで勝つには、やはり1/2の確変ループをいかに伸ばせるかにかかってくる。
勝負再開後は、再び上島がヒキの強さを見せつける。データロボで選んだ「華観月Z」で、ラッキーリーチの「勝負リーチ」が掛かり、これが三周目まで発展して「十一」の三つ揃いとなり、またも確変をゲット(賞品はなし)。一方の斉木名人にも、同じく「勝負リーチ」が掛かる。コチラも三周目に突入するが、あえなく一コマ先でハズレ。「さっきもそうだったんだよー」と悔しがる名人。ただ、名人も最後の最後で意地を見せて、炎リーチから「ニ・ニ・ニ」の単発当りを引く。
ここで勝負はタイムアップ。最終結果は、上島=8576個、斉木=4249個、ジモン=3700個、肥後=2452個。ピストル大名と華観月の両機種で確変を引き当てた上島が、栄えあるトップを飾る。加えて、出場者全員が大当りするという快挙も成し遂げ、各々お目当ての景品をゲットする。
最後に、番組定番の質問コーナー。「あなたにとって、パチンコとは?」という名人の問いに、肥後「グループ解散のきっかけ!」、ジモン「引き際!」、上島「運の悪い奴とはやりたくねー!」。自分の事をズバり言われてキレる肥後、「こっちこそ、やりたくねーわ!」と上島に絡む。最後まで「小ネタ」を忘れる事のない、サービス精神旺盛なダチョウ倶楽部であった。
(了)
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