昭和のパチスロ1号機「パルサーXX」をご存知だろうか。
1985年(昭和60年)に日活(現・NET)から登場した1号機で、開発・製造は山佐が担当。
山佐の伝統ともいえる多彩なリーチ目が特徴で、その奥深いゲーム性がファンの心を掴む。
しかし、当時の1号機は攻略や改造の対象となり易く、これを防ぐべく1987年(昭和62年)に1.5号機への改修が一斉に行われる。このパルサーXXも、例外ではなかった。
パルサーXXの後継機には、「パルサーXXII」「パルサーXXΣ」の2種類が存在する。
パルサーXXII(1.5号機) パルサーXXΣ(1.5号機)
私は現役時、この1.5号機版・パルサーXXを打った経験を持つ。ただ、『II』と『Σ』の何れを打ったかまでは、残念ながら覚えていない(※追記…その後、当時の資料が見つかり、私がパルサーと出会った歌舞伎町「ニュープリンス」には、『Σ』が設置されていた事が判明)。
で、ふと疑問に思ったのが、「『II』」と『Σ』の違いって何?」という事である。
外見上は、下パネルの色と、「XX」ロゴ脇の「II」「Σ」のマークぐらいしか、違いは見当たらない。中身については、どうなのだろうか。
この疑問について、複数の有名レトロ台サイトにおいて、「II」は新規導入用、「Σ」は改修用といった説明がある。
既に1号機のパルサーXXを導入していた店では、1.5号機へ改修する際に「Σ」を冠する一方、新規に機械を導入するホールには「II」の方を販売した、という事である。
つまり、パルサーを入れていた店、入れていない店で差別化を図っていた訳だ。メーカーにとっては、その方が好都合だったのだろう。
とすれば、「II」と「Σ」は、内部プログラム的に同じであろう事も、容易に想像が付く。
ただ、両者の相違点を調べるうちに、ある重大な問題点に気が付いた。
それは、実際は改修用が「II」であり、「Σ」が新規導入用ではないか、という事だ。
「パチンコ攻略マガジン」1987年12月24日号(創刊号)に、このような記述がある。
「パルサーには、1号機パルサーXXとの入替用としての1.5号機パルサーXXIIと、新規の販売用として今年8月に登場した1.5号機パルサーXXΣの2種類がある。つまり、ホールにすでに1号機パルサーXXがある場合にはパルサーXXIIに入替をし、今回新たに入れるホールにはパルサーXXΣが納入されるということになる。だがこの2機種は、名称を除くと、ほかは全く同じである。また、1号機とも変わってはいない。」
これを読む限り、従来ネットに出ている情報とは、まったく正反対である。
また、1988年11月30日発行「プロが教える秘密のパチンコ術」には、こう記されている。
「パルサーXX、パルサーXXIIに続く、パルサーシリーズの最新鋭機が、このパルサーXXΣだ。」
つまり、先に登場したのが「XXII」で、その後に「XXΣ」が登場した、というニュアンスになっている。
1.5号機の趣旨からいって、既にホールにある機械を「改修」する方が先で、新規の「導入」はその後になる筈である。とすれば、先行の改修用が「II」で、後発の新規導入用が「Σ」とは考えられないだろうか。
よくよく考えてみると、単なる改修機ならば、1号機の機種名に単純に「II」を付けるのが普通である。あえて「Σ」という変則的なマークを付する以上、そこには何か特別な理由があるのではないか。
また、下パネルの色を見ても、1号機のパルサーXXと色が同じなのは、「Σ」ではなく「II」の方である。単なる改修であれば、中身のプログラムを差し替えた上で、下パネルに「II」のシールを貼る、という簡易な手法も取れたハズだ。一方、パネル色が異なる「Σ」は、単なるシールの張り替えでは済まず、新たに機械を販売するしかないだろう。
そうしてみれば、やはり改修機の方が「II」であって、新規導入用が「Σ」と考える方が自然であろう。
これは、山佐の1号機「プラネット」の後継機「プラネットII」「プラネットV」についても、全く同様である。すなわち、既にプラネットを導入していたホールには改修用の「II」を、新規導入店には「V」をそれぞれ販売したという事だ。
今回は、有名ブログ等の既存情報に異を唱える形になったが、これも当時の資料の検証結果である。
以上の理由により、今後、当ブログでは、1.5号機「パルサーXXII」を改修用、「パルサーXXΣ」を新規導入用、との説を取る。さらに新たな情報が入り次第、報告したい。
★追記(2016.1.8)
スロ隠居中さん、コメント有難うございます。
貴重な当時の体験談、大変参考になりました。
そういう「生」の情報は、どれだけ過去の文献を
探しても滅多に出てこないので、重要な証言ですね。
今後も、何かお気づきの点などありましたら、お気軽に
コメントお寄せ下さい。