コチラは、2年前の12月に記事にした「カクテルA」(大一、新要件デジパチ、1991年)。今回は、この過去記事をちょっと「掘り返して」みる。
カクテルAは、大一の平成新要件機・第一弾だ。ダイイチのダイイチダン…まぁ、どうでもいいか。この時代の大一のドットは好きだったな…。
(過去記事URL)http://blog.goo.ne.jp/selfconfide777mc/e/7ac049c462e1c06c58566ad0178d7ae1
「カクテルA」最大の特徴が、大当り中にヘソ下の「電チュー」※が開放すると、保留玉4個目で必ず連チャンするというものであった。電チューに玉が入らなくても、開くだけでOK。但し、電チュー開放前に保4が付いていないとアウトだ。
※旧要件デジパチでは、こうしたサブの電チューの存在は認められていなかった。新要件機では、メインアタッカーとは別の電動ヤクモノを設けて、小当り的なゲーム性を取り入れる事が新たに認められた(もちろん、メインアタッカーを使った小当りは以前にもあった)。
この特性を最大限に生かすべく、大当り中の全16ラウンドを、すべてフルオープンで消化する「連チャン促進打法」が存在した。私も、当時地元だった「パチンコL」(現存)で実践した経験あり。
しかし、店側もすぐに対策を取った。小デジ用スルー上の三角釘をガチガチに締め、小デジがちっとも回らなくなってしまったのだ。また、止打ちで不自然に長引く大当り時間を、店員に咎められることもあった。
さらに、連チャンプログラムの「仕込み」が仇となり、当局に目をつけられた本機は、ホールでの寿命も比較的短かった。個人的には、ドットデジタルの動きも含めて面白いと感じていたので、残念だった。
電チューは、アタッカー下の二桁小デジタルが「77」で揃うと、約3秒間開放する。小デジの当選確率は1/100となっている。小デジ変動時間は6.5秒。当然、大当たり中は普通に打つよりも、フルオープンで各ラウンドのタイムリミットを目いっぱい利用した方が、小デジの回転数も稼げる。
因みに、小デジタルがしっかり回る調整の場合、大当り中は普通に打っても小デジを17~20回まわせる。だが、これをフルオープンで消化すると、実に70回以上も小デジを回せたのだ。当然、小当り=電チュー開放のチャンスも、飛躍的にアップする。フルオープンが、いかに有効な打法だったか判るだろう。
このように、カクテルAの連チャンは電チューが握っていた。では、その内部的処理は、いったいどうなっていたのだろうか。
カクテルAは、「0~229」の大当り判定カウンター(230コマ)のうち、当選値である「4」を拾うと大当りする(大当り確率は1/230)。
そして、この「4」という数値、実は「電チュー開放」を示すプログラム上の「状態コード」でもあった。
大当たり中は、(1)小デジタルが当選中、(2)メインデジタルが当選中、(3)状態コードが「4」(電チュー開放中)、(4)保留ランプ4つ目が点灯中、という4つの条件を満たすと、強制的に保留の4個目を「4」(大当り値)に書き換える処理が働く。
「電チュー開放」を大当たり中の「チャンスタイム」とすると、チャンスタイムでは、必ず状態コードである「4」が、保4エリアに「コピー」されるようになっていたのだ。「大当り乱数」と「電チュー開放の状態コード」を共に「4」にすることで、あの保4連チャンが生まれた訳だ。
新要件機に移行する際、当局の「お触れ」(通達)によって、いわゆる「ドンスペ」系の旧連チャンシステムは、完全に封じられることとなった。ドンスペ系では、保留エリア内の大当り乱数が次々と他の空きエリアにもコピーされ、大当り中のチャンスタイムでエリア内の中身が維持される事で、ダブル・トリプルやそれ以上の連チャンも可能にした。しかし、新要件機では空いた保留エリアに大当り値を残すこと自体、禁じられてしまった(空きエリアには、必ず大当り値と異なる乱数が入らなければならない)。
各メーカーも、新たな連チャンシステムの開発に迫られており、カクテルAのような「裏技」の誕生も、ごく自然な流れであったといえる。まぁ、大一の旧要件デジパチは、連チャン性に関しては比較的おとなしかったイメージもあるが。新要件で認められた電チューを連チャンに絡めるあたり、当局に対する「皮肉」のようなものも感じる。
そういえば同じ大一でも、フルパンの連チャンなんかは、大当りカウンターと出目用のタイムカウンターを同調させた上、デジタル変動時間、リーチ時間や大当り消化時間もうまく計算して、大当り後の保1消化時にピッタリ大当り乱数を拾うよう、巧みな設計がされていた。リーチ瞬間の中デジタルを見れば、連チャンするかどうかの判別も出来た。文系人間の私(専門は政治学)からすれば、こういった当時の連チャン機開発者の発想力には、頭が下がるばかりだ。